35みんなが(最終話)
馬車は小高い丘の上にある見晴らしの良いレストランに走った。
レストランに着くとさっそく料理を堪能した。
どれも繊細な味付け、盛り付けも工夫がしてありジュリアーナは何を見ても感激して自分はどんな料理にしようかと楽し気に話をした。
それだけでも充分幸せな気分になれるほどだった。が俺には今日するべき事があった。
食事が終わりデザートが出される間に俺はジュリアンの前に跪いた。
「ジュリアーナ。俺、いや、私には君しかいない。君以外の女性は目に入らない。未来永劫この身体が朽ち果てるまで君を愛すると誓う。どうか、私の妻になって下さい」
小さな箱を開けて俺とジュリアーナの瞳の色のアメジストの指輪を差し出す。
「テオ!こんな。立って下さい。私には無理です。あなたには国王と言う立場があってキルナート国の為にもふさわしい方と結婚するべきです」
「国王はディオンに譲った。ハルビート公爵やリンズベル侯爵もディオンを国王として後押ししてくれる事になっている。何の問題もないんだ。だからジュリアーナは王妃にもならなくていい。安心して俺と結婚してほしい。これでもまだだめ?」
「テオ‥いいの?国王を棒に振っても?」
「国王になるより君といたい。俺はこれからの人生は自分の為に生きて行きたい。そのためにはジュリアーナ、君がいてくれないとだめなんだ」
「もう、国王がカフェの店主だなんて、キルナートの国民が知ったら何て言うか‥」
そこに客が入って来た。
ハルビート公爵やリンズベル元侯爵。カイル・リンズベル、食料品屋のゲイル、妻のべリス、パン屋のリックに肉屋のウィル、バートンさんや騎士のロイドがいた。
「ジュリアーナ幸せになっていいんだ」
「おじい様」
「国王をやめてもいいって言ってるんだよ。結婚するって言ってやりなよ」
「べリスさん」
「みんなそれでいいって思ってるんだ」
「ゲイルさん」
「こんな男はいないぞ。私にはわかる」
「バートンさんまで」
「ジュリアーナにはいつも感謝してるんだ。あんな旨い料理が作れるのは君が心を込めて料理を作ってるって事だろう?」
「わかるんですか?」
「もちろんだ。私は元ここのオーナーなんだ。今は息子に代替わりしてあちこちの店を食べ歩くのが趣味でな。ジュリアーナの店で食べたオムライス。あれには本当に驚かされた。君のその発想にまた料理への情熱が湧いて来た。そんな君には絶対に幸せになってほしい。彼は国王をやめてでも君の願いをかなえてくれる男だ。思い切って彼の胸に飛び込んでみたらいいんじゃないか?」
「「「「そうだ!だからプロポーズを受けろジュリアーナ!」」」」
「もう、みんなして‥」
「ジュリアーナ結婚して下さい」
「もう、テオ、私、2度目なのよ‥それでもいいの?」
「ああ、俺だって2度目だ。お相子だ。必ず幸せにする。そして俺も幸せになる。そして未来を決めるのはジュリアーナいつだって君だから。俺の未来と君と共にある!」
「ええ、‥‥テオドール、私と結婚して下さい」
「「「「「おめでとうございます!!」」」」」
店中から拍手が沸き起こりおめでとうの嵐の中、俺はジュリアーナを抱きしめ唇を奪った。
何度も。もう我慢はしない!
でも、ジュリアーナ。これからの未来を決めるのは君だから。と心に誓う。
~エピローグ~
カトレーヌはデヴェーラ国に連れ帰られ二度と王都に姿を現す事はなかった。噂では北の厳しい修道院に送られたとか。
ゾルはあれからキルナートには絶対に近づくことはなかった。何しろ禁忌魔法を破壊する魔力を持った女がいるとわかったからだ。
ダリルは王都にやって来た父から一から叩き直してやると渇をいれられ、朝から晩まで領地経営の何たるかを教え込まれているらしい。すっかりやつれ目は落ち込み、艶艶していた金髪も見る影もなく禿げて来たらしい。
結婚式はジュリアーナの希望でやらないことにした。だって俺もジュリアーナも二度目だからな。
でも、ジュリアーナのウェディングドレス姿見たかったけど仕方がない。
あいつがダリルと何にもなかったって聞いた時にはマジ舞い上がった。
ジュリアーナの初めてはほんとにすげぇ可愛かった。今では毎晩感じる声や顔が見れて滅茶苦茶俺は幸せなんだ。
あいつがイク時の顔ったらすげぇ可愛くて、これ、俺だけが知っているひみつだ。
ジュリアーナが経営するカフェ【キャット】は相変わらず大人気で今月の新作はナポリタンスパゲッティ、ベーコンや玉ねぎたっぷりで目の前でかけてくれる粉チーズがまた大人気だ。ケーキはちょっと和風なみたらし団子を出したらこれも大人気商品になった。
「ジュリアーナ、団子の捏ね具合はこれくらいか?」
テオドールは鼻の頭を白くして一生懸命団子の粉を捏ねている。
「ええ、完璧よテオ。それを一つずつ丸めて」
「おお」
「それが終わったらお茶にしましょう」
「ああ、俺、カフェラテ」
「わかった」
ほんとジュリアーナって天才だよな。コーヒーに泡立てたクリームを入れるなんてあれ、マジ旨いからな。
「テオ、いつもありがとう」
「そんな、それは俺のセリフだ。いつもうまい飯ありがとう。これも」
俺はカフェラテを飲む。
「元国王がこんな事‥」
「それを言うなら元貴族令嬢もこんな事」
「ふふ、今晩は久しぶりにオムライス作ろうかな」
「俺の大好物。愛してるジュリアーナ」
「私も愛してる」
何気ない時間がこんなにも幸せだなんて知らなかった。
毎日、ジュリアーナの手伝いをしながらあいつのそばにいてあいつと同じ空気を吸ってあいつのそばに寄り添ってあいつと一緒に寝て、すべてが二人一緒でそんな時間が途方もなくかけがえがなくて幸せ過ぎる。
俺は死ぬまでこの幸せを噛みしめて生きて行きたい。
最後にジュリアーナ視点
私、まさかテオドールが国王をやめてまで結婚するなんて思ってもいなかったんです。
幸いに前世の記憶があってこの世界にはない料理も知ってるしそれが結構受けてカフェも思って以上に順調だったし、他にも服のデザインとかアクセサリーなんかも作れたらいいかもなんて考えてて、確かにテオドールの事は好きだけど愛だけじゃ生きて行けない事もわかってたから。
でも、テオドールは遠慮なしに私に行動で示してくれて、これでも男の人に対しては不信感もあったんですよ。でも、そんなもの全部吹き飛ばすほど彼の愛は大きかった。
だから、もう素直になる事にしたら、もうすっごく幸せで。
私の未来はテオドールと共にあると確信してます。
これからも色々な事があると思うけど彼とならどんな事でも乗り越えられるって思えるから。
~おわり~
本作品を最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。良かったら評価などよろしくお願いします。それではまた次回のお話でお会いできることを楽しみにしています。はなまる




