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賞味期限切れなんて誰が決めるんです?私の未来を勝手に決めるなんて許しません!  作者: はるくうきなこ


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28ジュリアーナがいなくなって(ダリル)


 ジュリアーナと離縁してすぐにカトレーヌが屋敷に来た。

 正直素直にうれしかった。

 数日は執務など放ってカトレーヌとの時間を優先した。宝石店に買い物に行き結婚指輪を選んだ。

 彼女の瞳に合わせた青色の大きな石は、特に色が濃く希少な価値のある石を選んだ。

 ドレスも何着か頼んで観劇にも出かけた。

 

 だが、5日目の朝、家令のトリードから苦情が来た。

 「旦那様、執務が滞っております。昨日すでにベイルン公爵家から新しい事業の打ち合わせはどうなっているのかと問い合わせが来ております。朝のうちに何とか返事をしませんと」

 「ああ、わかった。カトレーヌすまない。どうしても抜けれない仕事が出来た。買い物は明日にでも」

 「ダリル、仕事と私。どっちが大切なの?私達は新婚でしょう?せめて1カ月くらいは仕事なんかするべきじゃないわ」

 「ああ、でも、我が家は王族とは違うんだ。家と家の繋がりもある。それにこれは新たな事業の話で急ぎの仕事なんだ。わかってくれるだろう?」

 「はぁ、ダリルって付き合い悪いのね。いいわ、私一人で買い物に行って来る」

 「でも‥」

 「護衛を連れて行けば問題ないでしょう?」

 「ああ、そうだな。でも、気を付けるんだよ。君は王女殿下でもあるんだからね」

 それから数日私は執務から離れられなかった。

 執務室に入ると机の上に高く積まれた手紙や報告書、管理簿や決済を待つ書類。領地からの急ぎの手紙もあった。


 私は驚いてトリードに尋ねた。

 「一体どうしたんだ?こんなにたくさん。どうして処理をしなかった?」

 「今までは各家への連絡から返礼の管理、贈答品の手配はもちろん席次に至るまで奥様が前もって整えておられました」

 「ああ、それは女の仕事だ」

 細かな社交の調整や屋敷の使用人の管理、返礼もそうだし、まして贈り物の品選びなど男のする事ではない。

 「ですが、いきなり奥様がいなくなられて引き継ぐ者も決まっておりません。使用人も何をどうしていいのか決められません」

 「だったらトリード。お前が指示すればいいだろう?」

 「そういうわけには参りません。奥様は公爵家の人です。権限がありそれをこなせる知識もお持ちです。私達は判断された事をこなすのが仕事でございます。ですから、奥様がいらっしゃらない以上これらはすべて旦那様の仕事と言う事になります。どうか、ご指示をお願いします」

 「まったく!」


 諦めて机に座り書類を見る。

 夜会の招待状。ああ、高位貴族の夜会には参加だな。カトレーヌを連れて行けば皆驚くはずだ。

 茶会の席次?わかるかこんなもの。

 使用人の管理簿?知るか!

 贈答品の手配?今までの記録があるんじゃないのか?それを見て適当に送っておけばいいだろう!

 私はある程度書類を仕分け出来た書類をトリードに渡す。

 「夜会の招待状はこの3件だけ行く。その他は昨年の通りでやっておいてくれ」

 「わかりました。管理簿はどうされますか?」

 「執事長に任せる」

 「わかりました。それでベイルン公爵家にはどのような返事を?」

 「ああ、わかっている。だが、あれは領地にいる父が進めていた案件だ。新しい織機を入れて商品を大量生産して、その製品をベイルン公爵領の船で港に運ぶと言う。私ではなく父上に話を通せばいいではないか」

 ベイルン公爵家とバルハン公爵家の領地は隣り合わせで、お互い綿花を作っている。生産量は圧倒的に我が領地が占めていてベイルン公爵領の綿花を家が買い上げ布地を仕上げ、商品をベイルン公爵家の船で運ぶ事業を始めようとしている。

 話は領地で父親同士が進めていて私は最終決定をする立場にあった。

 ちなみにベイルン公爵家は元妻ジュリアーナの義理母の実家でもあった。その縁もあっての事だったが、たとえ離縁したとしても事業には差しさわりはないと思っていた。

 それにジュリアーナと義理母の仲は良くなかった。

 だが、私は知らなかった。

 ベイルン公爵家がキルナート国のリンズベル侯爵家と強い信頼関係があったと言う事を。


 ベイルン公爵家には父に話を通してくれれば私は何も言うつもりはない事を手紙に書いて届けさせた。

 すると午後にベイルン公爵が訪れると前触れがあった。


 ベイルン公爵を我が家の応接室に通す。挨拶を交わし茶が出された。

 私は最初に口を開いた。

 「申し訳ありません。そこまでお急ぎのこととは存じませんでした。それで急ぎのお話とは?」

 「この事業はジュリアーナ様がこの家の方だからこそ、成り立った事業とご存知のはずですが?あの方を離縁してすぐにカトレーヌ王女殿下を屋敷に入れて仕事は放って贅沢をするのはこの家のやり方でしょうか?」

 ベイルン公爵の口調はかなり怒りが含まれていた。

 「いや、待ってくれ、どういう事か説明してくれ」

 「説明もなにも、布地の配色やデザインや織り方までジュリアーナ様が全て取りまとめられておりました。春には秋の夜会シーズンの夏には冬のシーズンに向けた色合いやデザインを色々なところから情報を集め次に何が流行るのかを見極めておられたのです。だからこそ私はわが領地の材料を預ける事にしたのです。配送の面でも便宜を図りお互いの利益になる事だからこそだった。なのに奥様と離縁されてしまいました。だから新たな事業を始める意味が亡くなったのです。もしやるとすればジュリアーナ様を中心とした形にしたいと思っております」

 「ですが、父は何と?」

 「お父様はすでにご承知されております。すでにその報告は届いているはずですが?それさえまだ?」

 「待ってくれ、そんな事が知られればうちの商売に影響が出てしまう。だから」

 「それくらいの事お分かりになって離縁されたんでしょう?何を今さら。お話は終わりです。では、失礼します」

 ベイルン公爵はすっと席を立つとさっさと帰って行った。

 その翌日から次々に支払の催促や督促。新たな取引にも影響が出始めた。


 











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