第48話 「宣誓」
新吉原の現状など露知らず、ゴルゴーン国民との対話に臨む鈴空。
ゴルゴーン国民に気持ちは届くのか………
僕は、リュアレ達と共に、ゴルゴーン国の宮殿にいた。ゴルゴーン国が新吉原の傘下に入るにあたり、国民へのあいさつと今後の方針を伝える為だ。
「良く集まってくれました。まずは、三つ蛇頭である私から、重大な報告があります。皆、落ち着いて聞いてください。決してパニックにならぬよう」
リュアレは、先陣を切って国民の前へと出た。国民は、リュアレを注視し、彼女の言葉に固唾を飲む。
「先日、ゴルゴーン様と一つ蛇頭が、天狗からの刺客と思しき者に暗殺されました」
前もって心の準備をしていた国民達は、予期せぬ最悪の事態にざわめく。その場に膝を付き、泣き崩れる者もいれば、信じられないと大声で訴える者、これからの生活を不安視する者と反応はそれぞれだ。
「私達、レラージュ3姉妹は二つ蛇頭と共闘し、これに対処。しかし、力及ばず、二つ蛇頭は命を落とし、私達も返り討ちにあってしまいました」
(国民)
「二つ蛇頭も殺られたの………?三つ蛇頭まで返り討ち………」
「もうこの国は終わりだー!」
「あぁ、この先どうなるんでしょ?今度は国ごと滅ぼされるの?」
「お、落ち着け。リュアレ様が先程おっしゃられていただろう」
「しかし、この状況は………」
「今、敵に攻めてこられたら、ひとたまりもないわ」
国民達は、一気に不安を嘆き出した。だが、報告の前にリュアレがパニックにならないように釘を押していたおかげで、最低限に抑えられている。
「皆の不安は良く分かります。国王のみならず、国の最高戦力である、一つ蛇頭、二つ蛇頭が殺されたゴルゴーン国は、過去に類を見ないほどに弱体化しています。そこで、私は決断しました」
リュアレは、国民達の気持ちを汲みつつ、意を決して話を切り出した。
「ゴルゴーン国は、新吉原という国の傘下に入ります。彼らが、その新吉原の国王とその配下達です」
リュアレの紹介で、僕達はゴルゴーン国民の前に姿を現した。
(国民)
「新吉原?聞いたことの無い国だ」
「何者だ?あのヒューマンと亜人は」
「しかも男!?何故男のヒューマンがこの国に? 」
国民は、どこの馬の骨とも知らぬ、僕達を見て、開いた口が塞がらないといった感じだ。リュアレは、畳みかけるように国民へ説明を始める。
「私達は、この度の戦いで彼らに命を、国を救われました。彼らがいなければ、私は今ここにいなかったでしょう」
リュアレの言葉に国民は黙り込む。僕は、この機を見逃さず、ゴルゴーン国民へ語り掛けた。
「初めましてだな。俺は、紗月鈴空。つい先日、新吉原という小国を立ち上げたばかりだ。今回、理由あって、リュアレ達と共闘した。結果的に、この国を守ることになったわけだが、今はまだ決して油断できる状況ではない。ゴルゴーン国を襲った敵と俺達の敵は一致する。国力の低下した今のゴルゴーン国では、滅ぼされるのは時間の問題だろう。そして、俺達も………。そこで、リュアレに提案させてもらったわけだ」
こうゆう時、カッコいいことを言って、国民の心をわしづかみにできると良いんだが、残念ながら僕にはその才能はないらしい。リアルで、もっと語彙力を養っておくんだった。というか、普通、異世界もののアニメやゲームとかなら、ここで補正とかしてくれるんじゃないのか?ほんとにリアルに忠実な異世界だ。
「皆、私の独断で決めてしまってごめんなさい。でも、今はこうするしかないのです。それが、一つ蛇頭であるタイパンから、私達三つ蛇頭に託された思い、希望です。『国民を守れ』私は、その言葉を無碍にはできない。だから………」
(国民)
「リュアレ様………」
「リュアレ様ー!俯かないでー!」
「そうよー!私達はあなたに付いていきます!」
「一緒に、ゴルゴーン様や死んだ頭達の仇を討ちましょう!」
「私達を守ってくれて、見捨てないでいてくれて、ありがとう!」
リュアレが最後の一押しをしてくれた。ある意味これは補正ではあるが、なんかちがーう!ともあれ、リュアレに救われたのは事実だ。その辺を加味して、再度挨拶から始めるか。
「さて、改めて言う。俺が、新吉原を統治している国王の紗月鈴空だ。よろしく頼む!急だが、今後の直近の方針について皆に伝えておく」
国民は、僕の方を注目し、次の発言を待っている。新国王の発言を。僕は、一息付き、心を落ち着かせ、言葉を続ける準備をする。
「新吉原からゴルゴーン国まで、人の足で約6時間程かかる。その道中は、どこの国にも属さない無法地帯だ。そこを新吉原の国として各国へ宣伝してほしい。つまり、新吉原からゴルゴーン国までが新吉原の領地ということになる。それから、ゴルゴーン国の知識や技術を新吉原へ流入してほしい。新吉原の国民は、正直なところただの寄せ集め集団の域を超えない。だから皆の力を貸してほしい。以上だ。他の細々したことは追って連絡する。以上だ。解散してくれ」
今はこれが精一杯か。
「鈴空さん。お疲れ様でした」
リアが僕を労ってくれた。彼女の言葉には、回復呪文でも付与されているのだろうか。それとも僕がただ単に単純なだけなのか。理由はともあれ、とにかく癒された。
「リュアレ。今後の詳しい方針について話し合いをしたい。この国のお偉いさん方を集めてもらえるか?」
「畏まりました」
これからが、ある意味正念場である。国の上層部は頭の固いヤツが多いからな。上手く、資金をゲット出来るといいんだが………。舌戦の開幕だ!
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