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ワケあって、異世界審査通っちゃいました  作者: 蜂月 皐
第4章「ゴルゴーン編」
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第40話 「二つ蛇頭」

メデューの手引きで、ゴルゴーン宮殿に潜入した鈴空達。

魔法やスキルを封じ込められ、穴だらけの潜入を余技なくされる。

敵との遭遇を危惧する鈴空達だったが……。

「ちょっとー!あんた達大丈夫なのー?一体どこにいるのよー!」

メデューのヤツ、間違った道案内しやがったな。ここは明らかにハズレの部屋じゃねーか!


「メデュー。お前に言われた通り、廊下に出て、すぐ右手の部屋に入ったら、首が二つある蛇のデミヒューマンの部屋だったんだが………」

なんで、いきなりこんなピンチに見舞われなくちゃいけないんだ。しかも、こいつの雰囲気………。相当手強そうだぞ。


「双頭………。あ、あんた達、それ左の扉よ。方向間違えてるんじゃないわよー!バカじゃないの!」

いや、俺達は確かに床の穴を出て、すぐ右手の部屋に………。

「おいメデュー。右手って、お前から見た右か?もしかして俺達から見たら左だったんじゃないのか?」

「………」

やったな。メデューのやつ完全にやりやがった。

しかし、とりあえず今は目の前の敵をどうにかしないとか。


「あー、ゴホン!お、俺は鈴空。後ろの2人は俺の仲間だ」


「鈴空………。お前の懐にいる蛇………。それよこせ」

「蛇よこせー!蛇よこせー!断んじゃねーぞ!さっさと渡せー!」

二つの頭が、交互に話す。こいつメデューの連絡用の蛇がほしいのか。そうだ。こいつで取引きできないかな。


「渡しても良いが、その前に、お前の名前も教えてくれないか?」

「………」

怒楽(ぬぎょう)


「そうか。怒楽(ぬぎょう)。お前、この蛇がほしいのか?じゃあこいつ渡したら、俺達を見逃してくれ」

取引きだ。いや、取引きにもなってないか。もし、怒楽(ぬぎょう)が本気で僕達を襲ってきたら、いとも容易く、懐の蛇を奪えるだろうから。それくらいの威圧感をヤツからは感じる。だが、この場を平和的に、誰も傷付くことなく、やり過ごすには、コレが最良の策だろう。


「わかった」

「しょーがねーな!蛇、蛇ー!」

いいのかッ!こいつはラッキー!メデューの蛇だし、あいつに責任を押し付けよう。


二つの首の上には、それぞれ違った顔が付いており、違った反応はするが、同じ意見を言ってくる。一方は、怒ったような顔。もう一方は、ケラケラと笑いながら楽し気な顔だ。僕は、蛇を手渡した。すると、ガチャっという音とともに、部屋の扉が開いた。扉の前には、メデューが顔を赤くし、頬を膨らませて待ち構えていた。


「あんた達、私の大切な蛇を、あいつに渡したわね。私の許可なしに、あんなヤツにぃー」

「お前が、間違った部屋を指示したからだろう。それくらいの責任は取ってくれ」

メデューは悔しいそうだ。だが、僕達は、魔法もスキルも使えず、ほぼ丸腰状態だ。危うく、命を落としていた可能性だって否定できない。


「メデュー」

「メデューだ!メデューだ!」

怒楽(ぬぎょう)がメデューに気付いた。

「ぬ、怒楽(ぬぎょう)。ひ、久しぶりね。あの、その蛇、私のだから返してほしいなぁ………なんて」

なんだ?メデューのやつ、僕達に対する態度とは明らかに違うな。これが()()なのか!?


「メデュー、お前、こいつらを手引きしたな」

「手引きー、手引きー!いけないんだー!」

「ち、違うのよ。怒楽(ぬぎょう)。これには色々と理由があって」

焦る、メデュー。これは()()ではないな。ただのビビりだ。


「おい、メデュー。こいつお前の知り合いか?一体何者なんだ?」

まさか、こいつが一つ蛇頭じゃないよな?

怒楽(ぬぎょう)は、『双頭の二つ蛇頭』。私達、レラージュ3姉妹より上の階級の守護者よ!」

道理で。それで、メデューやつビビッてたのか。ま、俺もかなりビビッていたからメデューのことを言えないが………。


怒楽(ぬぎょう)。そ、その蛇はあなたにあげるわ。それから、私がここに来た理由だけど、リュアレ姉様から聞いているでしょ?」

怒楽(ぬぎょう)は、メデューから蛇をもらうと、首を()ね、滴る血をグラスに注ぎ、一気に飲み干した。これって、共食いか?蛇って確か、あまり共食いはしない生き物だったはずだよな。


怒楽(ぬぎょう)は、特殊なスキルを持っているの。蛇の生き血を飲むことで、身体能力を向上させる。蛇が共食いをするケースは極めて稀よ。私の知っている中では、彼だけ………。だから嫌だったのよぉ」

確かに、できれば、この光景は見たくなかった。生々しい過ぎて若干の吐き気が僕を襲う。


「リュアレからの話か………。するとこいつらが、お前達に勝ったという輩か」

「輩ー!お前たちの命を救った輩ー!」

「そうよ。屈辱的だけど、心外だけど、間違えないわ。それと、今回はタイパン兄に用があってこいつらを連れてきたのよ」

命の恩人に対して、随分な言い方をしてくれるな。相変わらず、僕達に対する態度はツンツンだ。


「メデュー。そのタイパンって言うのが、一つ蛇頭か?怒楽(ぬぎょう)よりも当然強いんだよな………?」

二つ蛇頭でも、この威圧感。一つ蛇頭になんて会って、僕はその場に立っていられるのだろうか。


「タイパン様は、最近めっきり姿を見せない」

「ゴルゴーン様のお姿も、最近めっきり見なーい!」

側近なのに近くにいない?どうゆう側近だ?ゴルゴーンもか?2人で夜逃げでもしたのか?


「リュアレ姉様も、タイパン兄と最近連絡が取れないと言って心配していたわ」

「メデュー。ひとまず、一つ蛇頭のところに連れて行ってくれないか?ここでじっとしていても現状は変わらない。行けば何か解るかもしれない」


「では、私も一緒に行こう。鈴空。お前達は、ここではスキルも魔法も使えまい」

「三つ蛇頭を助けてくれたお礼だー!一肌脱いでやるー!」


僕達は、頼もしい仲間、もとい助っ人を得た。何はともあれ、今の僕達には情報が必要だ。常婆に関する情報。なんでも良い。少しでも手がかりになるなら、敵とでも手を組んでやる。それが鈴空流だ。

画して、僕達5人、奇妙なパーティーは、一つ蛇頭の元へ歩みを進めることとなった。

読んでいただきありがとうございました!

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