第39話 「ゴルゴーン宮殿潜入」
自分の無力さを知った鈴空。
だが、リアは鈴空達を責めるどころか、むしろ笑顔で背中を押してくれる。
そして、鈴空は、ゴルゴーン宮殿への潜入を決意する。
翌朝。ゼベッタが僕を起こしに来てくれた。
「朝食の準備ができていますので、食堂へご案内致します」
ゼベッタに連れられ、食堂に行くと、リアと西華は既に着席していた。それと、レラージュ3姉妹も勢揃いしている。
「おはようございます」
リアと西華は、もうすっかり良くなったようだ。
「おはよぉぉ。リュアレ姉から聞いたよぉぉ。僕達を見逃してくれたってぇ。ありがとぉねぇぇ」
「おはよ。とりあえず、お礼は言っておくわ。ありがと。だけど、私を裸にしたことは絶対に許さないんだからね!」
ステーノもメデューも元気そうでなによりだ。
「鈴空も椅子に座ってください。朝食をいただきましょう。あっ、そうだわ。鈴空。テーブルの上にメモがありますので、気が向いたら目を通してくださいね」
女子から手紙をもらうなんて何年振りだろう。なんか胸が躍るな。
朝食も終わり、僕達は出発の準備に取り掛かっていた。
「鈴空さん。先程のメモってなんですか?」
リアに問われ、僕は荷造りする手を一時休め、メモを開いた。
『ゴルゴーンは、リザードマンの村襲撃と老婆誘拐の関与は無い。それとは別件で、最近、ゴルゴーンの宮殿に男のヒューマンらしき姿のものが出入りしているとのこと』
「リザードマンの村にも、常婆にも関与なしか。そうすると話が変わってくるな。俺達がここに来たのも無駄足になるぞ」
どうしたものか。行き詰ったな。
コンコン(ドアをノックする音)
「リュアレです。入りますね。メモは読んでいただけたようですね。鈴空達の目的が、この国とは無関係という情報」
「あぁ。そうみたいだな」
僕は、落胆の色を隠せず、天を仰ぐ。
「行き詰った。という顔ですね。ですが、謎の男のヒューマン。もしかしたら、鈴空達の目的と何か関連性があるかもしれません。それから、少し気にかかることもあります。私達より、上の階級の一つ蛇頭との連絡が取れない状況にあります。一つ蛇頭は、我々3姉妹の兄のような方です。今まで連絡が取れないなんてことは一度もありませんでした。私は、三つ蛇頭の守護がありますので、この屋敷を離れることができません。もし、謎のヒューマンの調査に行かれるのでしたら、兄を、一つ蛇頭の様子を見て来てほしいのです。きっと鈴空達にも有益な情報をくださると思います」
謎のヒューマンか。とりま、行き詰っているところだ。有益な情報なら喉から手が出るほどほしいところだ。
「リア、西華どうだ?行ってみるか?」
「そうですね。少しでも可能性があるのなら」
「うちは、鈴空様に付いていくのみです」
「決まりだな。僕達は、謎のヒューマンの調査を行う。そして一つ蛇頭に会い、情報をもらう」
リアと西華は頷き、出発の荷造りを再開した。
「鈴空。一つ蛇頭は、我々守護者の中で最上位の方です。おいそれと面会できる人ではありません。彼は、ゴルゴーン様の側近にしてこの国最高のガーディアン。お会いするのであれば、メデューをお供にお連れください。このコがいれば、兄も面会を断ることはないでしょうから」
「いいのか?」
「はい。本人の同意は得ています。数日であれば、三つ蛇頭の守護は、ステーノと私で賄えます。それになにより、兄が心配ですので」
「わかったよ」
僕達が、屋敷の出口へ行くと、そこにはメデューの姿があった。
「おそーい!あんた達何してんのよー。さっさと行くわよ!」
相変わらずのツンツンモードだな。
「メデュー、道案内兼一つ蛇頭とのアポ、よろしく頼むぞ」
「そんなのいちいち言われなくてもわかってるわよ。付いてきなさい」
いつかデレの部分も見せてくれるのだろうか?そんな淡い期待を持ちつつ僕は出発した。
僕達は、今日も透明化スキルで姿を隠しつつ街中をこそこそと歩く。
途中、メデューが屋台に寄っては買い食いを繰り返し、そのたび足止めを食らった。
「さぁ、お腹もだいぶ満たされたし、宮殿へ向かうわよ!」
まだ、向かってなかったんかーい!歩き始めて1時間。付いてこいと言われて、彼女の買い食いに付き合わされただけだったのか。こいつの我儘っぷりは相当だな。
「あっ、そうだ。このコを服の内側にでも忍ばせておきなさい」
「うわッ!蛇じゃねーか!」
「そうよ。そのコは連絡用の蛇よ。私が宮殿に入ったら、そのコを介してあなた達に連絡するわ」
「付いたわよ。あんた達は、まだ隠れてなさい。今、裏から手引きしてあげるから」
そうゆうとメデューは、1人宮殿内へ入っていった。
「鈴空様。こんローブん中、えらいしんどいですね」
「中腰っていうのが結構きます」
「2人とも我慢しろ。もうすぐ宮殿に入れるから」
もうローブを被り始めてから、かれこれ2時間になる。メデューの寄り道のせいで、3人とも汗だくだ。
「おーい!ハロー!聞こえる?」
「おっ!来た来た!聞こえるぞ」
「OK。じゃ、今から侵入経路を言うから良く聞いてなさい。まず、宮殿脇の水路に行って。そこに水門があるから、開けて中に入りなさい。カギは開けてあるわ」
「了解」
なんかスパイ映画みたいでワクワクしてきたな。僕達は、指示通りに水門へ行き、中へ侵入した。すると、急に透明化スキルが打ち消された。
「メデュー。透明化スキルが打ち消されたみたいなんだが………」
「あっ、ごめ。言ってなかったわね。宮殿内はセキュリティー上、スキルの効果が打ち消されるようになっているわ。あんた達みたいのがいるからねー」
「そうゆうことは、先に言っとけよ。それから、俺達みたいのは余計だ」
「魔法は大丈夫なのか?」
「魔法は、この国の国民であれば、宮殿内で使用が可能よ。つまりあんた達は使えませーん」
「だからそうゆう大事なことは、頼むから前もって教えてくれぇ」
スキルも魔法も使えないなんて、ほぼ詰んでるじゃねーか。敵に出くわしたら終わりだぞ。なんなんだ。この穴だらけの潜入わ。
「とにかく、説明を続けるわよ!そこを真っ直ぐ進んで、突き当りにあるハシゴを登って宮殿内に侵入しなさい。侵入時のタイミングは、私が指示するわ」
もうここまで来たら引き返せない。僕達は、メデューに言われるがままにハシゴを登った。
「警備がいなくなった!今よ!宮殿内に入ったら、すぐ右手に部屋があるわ。そこに私がいる。来て!」
僕らが、床から顔を出すとだだっ広い廊下が広がっており、左右に部屋の扉がいくつかあった。
「確かに警備はいないな。2人とも行くぞ」
僕らは、素早く床の穴から這い出て、指示されたすぐ右手の扉に入った。
「ふぅ。なかなか良い緊張感だった」
「誰だ?」
え?
明らかに、あのツンツンした、我儘少女とは違った、大人の女性の声がする。
「あっ、すいまっせーん。部屋間違えました。失礼しましたー」
僕は、その場を取り繕うかのように、謝罪し、扉のノブに手を掛ける。
「なっ。あ、開かないぞ」
閉じ込められた!?やべー!敵との遭遇は、今一番やっちゃいけないパターンだ!
「誰かと聞いている。名乗れ」
うっ。や、やたらと気迫のある、重々しい声だな。
「名乗れないのかー?侵入者かー?」
は?今度は明るく、軽々しい声が聞こえてきた。まさか、敵は2人か!?
声の主は、座っていた椅子から腰を上げ、頭に被っていたローブを取った。
現れたのは、首が二つある蛇のデミヒューマンだった。
読んでいただきありがとうございました。
是非、感想をお願いします^^




