第34話 「なんか、ありがとう/変態剣士の覚悟」
三つ蛇頭に足を踏み入れた鈴空達。
レラージュ3姉妹との戦闘が始まる。
「リア!紗月に風魔法を付与してくれ!」
「はい」
魔法『ミスト・ラール』
魔法が付与され、紗月の錆びがみるみる剥がれていく。
「よし!これで戦えるぞ。リア、西華、俺が突っ込むから魔法で援護を頼む」
龍じいに剣を教わり始めてから、初めての実践だ。自分がどれくらい成長したのか試したかったんだ。
「主様よ。来るぞ!」
「ごちゃごちゃごちゃごちゃ、うるさいのよー!」
次女のメデューだ。なんであいつはあんなにカリカリしてんだ?
「ヴァナライア!準備はいいわね!」
先程、噛みついてきた蛇とは、比べ物にならないくらい巨大な大蛇が、メデューの足元に現れた。メデューはその大蛇の頭に乗り、満悦そうに僕達を見下ろしている。
「イクわよ!ヴァナライア、やつらを食いちぎれー!!!」
先程まで不機嫌そうだったメデューの表情は一変し、笑みがこぼれ、楽しいそうに躍動している。
「皆、散れ!」
大蛇の攻撃は凄まじく、地面がえぐれ、土埃が辺りに一帯に立ち込めた。僕らは、なんとか攻撃を回避し、すぐに態勢を立て直す。
「あー!もう!ちょこまかとぉ!ステーノあんたも寝てないで加勢しなさい!2人であいつら食いちぎるわよ!」
「ふぁぁぁ。わかったよぉぉ」
大蛇が僕ら目掛けて、大口を開け、再度突っ込んできた。もう一度回避を、
魔法『アース・ラール』
(グラグラグラ)
地震が起きたかのように、地面が揺れ、地表が隆起する。足元の自由を奪われた僕達は、その場を動けなくなった。
「よくやったわ、ステーノ!これで終わりよ!」
足場がつかめなくても、出せる技なら一つ教わった-----。
花龍式『唐花・風纏い』
グギャァァァ!
僕は、切った。大蛇を切り伏せた。龍じいに教わった剣技にリアの風を纏って。
唐花。居合いの剣技。向かってくる敵に対し、カウンターで神速の刃を放つ。って教わったけど、威力ありすぎー!蛇の身体吹っ飛んだぞ!蛇の生首しか残ってねぇ………。紗月に風魔法付与してたせいか?地面の土もえぐれて、舗装された道路みたいになってるし。
「きゃゃあ!」
うん。そりゃあ、そうゆう反応になるよな。相棒の身体は、吹っ飛び、道を舗装してしまったんだもんな。でも、ここまでする気は、正直なかったんだ。ただ、身を守ろうと、大蛇の攻撃をさけようとした結果がコレだったんだ。
「ちょっ、アンタ何してくれてんよー!」
ごめん。やり過ぎたよな。僕は心の中で、深く反省し、謝罪を述べ、メデューのほうに目をやっ………
あれ?
ほっ、ほぉ!へー、そうなりましたか。成る程。あまりに予想外の展開に、逆に冷静になって、その場を見つめる僕。いや、むしろ目が離せない。
なぜなら、そこには裸の少女が降臨していたのだ。
なんか、ありがとう。今、僕は生を実感している。
どうやら、唐花の衝撃波で、彼女の服まで切り裂いてしまったみたいだ。これはこれで勝ちなんじゃないか?涙目で、その場に踞り、僕の方を恨めしそうに睨みつけている、蛇のデミヒューマンの少女を見て、僕は、勝利を確信した。
「アンタ、絶対に許さないんだからね!」
果たして、自己防衛とは言え、少女を裸にしてしまった僕を、周囲の人間はどう見るのだろう。僕は、ふとリアと西華のほうに目をやった。
「鈴空さん。アレは、少しやり過ぎでは………」
リアさん、違うんだ。アレは不可抗力で。
「鈴空様。やりますなぁ。流石、うちらの国王様や」
西華さん、火に油を注ぐようなことは言わないで。
敵さんは、どうだ?どうゆう反応なんだ?僕は、1番年上のリュアレに目をやった。
「メデューを辱めるとは、やってくれましたね。我々に対する侮辱です。あなた達は、下がってなさい。あとは、私が引き受けます。あの変態剣士を滅します」
変態剣士!?辞めてくれー!そんな風に僕のことを見ないでくれー!
折角、格好良く、技が決まったと思ったのに、逆にあられもない異名が決まっちまったじゃねーか………。僕は地面に手と膝を付き、絶望する。そして、目を閉じて今後の人生について考えた。
いや、待てよ………。
僕の造ろうとしている国は、僕の野望通りなら、きっと変態的な国になるはずだ。だとすれば、今、この変態剣士の異名を受け入れられないでどうする!?『変態』聞こえは悪いが、つまりは『個性』だ!そうだ!
僕は、変態を受け入れる覚悟をした。
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