第32話 「スーレの街」
国の籠城戦の目途が付き、いよいよ、常婆救出のために旅立つ、鈴空、リア、西華の3人
まずは、スーレの街を目指す
2週間が経ち、籠城戦をするための準備が終わった。
「俺は、これからリア、西華とともに常婆の救出のため、デミヒューマン大3亜の一角、ゴルゴーンとの戦に発つ!その間、新吉原は、超警戒態勢を敷く!なぜなら、俺がゴルゴーンの喧嘩を買ってる間に、奇襲されるかもしれないからだ!ただ心配はするな!既に作戦は出来ている。龍じい、シューレの指揮の元、皆生き延びることだけ考えて行動してくれ!以上だ!」
(村人)「鈴空様達も気を付けてー!鈴空様達の無事の帰還、常婆の救出をお待ち
してます!」
「鈴空さまー!!!リアさまー!!西華ー!」
「リア、西華。準備はできたな?行くぞ!」
「はい!」
僕達は、南へ向け旅だった。
それにしても、意気揚々と旅立ってはみたが、3人だけで大丈夫なのか?相手は一体どれくらいの勢力を有しているのだろう………。相手の情報が少なすぎる。でも、常婆をなんとかしないと資金の当てがなぁ。
「少し休憩しよう」
半日ほど歩いただろうか。僕達は、小さな池を見つけ、そこでしばし休憩をすることにした。
「しかし、見渡す限り大自然しかないな。人影すら無い。ここでこうして座って綺麗な池を眺めていると、なんだか心が安らぐな」
もちろんそれだけではない。今、僕の両手には花満開!気分は最高潮!柔らかく、温かい日差しと穏やかで心地よい風が僕を包み込んでくる。まさか、あのモテない街道まっしぐらで、もう少しで魔法使いになれそうだった僕が、こんな美女と旅ができる日がくるなんて。まさに夢心地。
「鈴空様。なんや表情が和らぎはりましたね」
西華。僕のことを気遣ってくれているのか。憂いヤツよのぉ。
「そうだな。ここ最近は、ずっと張りつめていたからな」
「そうでしたね。落ち着く間もないくらいに忙しかったですね」
いつも通りとまではいかないが、リアもだいぶ気持ちが落ち着いてきたみたいだな。
「そうだ。これから一緒に戦う上で、西華が使える魔法を知っておきたいのだが」
「うちが使えるんは、火属性魔法だけです。あとは、スキルが少し特殊やね」
火属性か。リアが風属性だから、紗月に付与して使える属性が一つ増えるな。ラッキー。
「スキルが特殊って?」
「うちのスキル『妖言』は、自分の姿を変えること以外にも、相手に幻惑を見せることができます」
幻惑か。使いどころによっては、凄い武器になるな。
「鈴空さん。そろそろ行きましょう。日が暮れる前に、次の街『スーレ』まで行かないと今夜は、野宿になりますよ」
リアに軽く背中を押され、重い腰を上げる僕。ずっとここでのんびりしていたい気もするが、野宿はごめんだな。この辺、虫とか爬虫類とか出てきそうだし。そしたらきっと僕は、絹を裂くような声で悲鳴を上げるだろう………。
時々休憩をはさみつつ、僕達は今日の目的地スーレの村に到着した。既に火灯し頃といった時間帯になっていた。スーレの街はデミヒューマン族の狼、犬、猫などが暮らしているらしい。
「今晩はあそこの宿に一泊しましょう」
今晩は、宿にある飲み屋で晩飯をいただくことになった。
「いらっしゃいませー!スーレの門前宿へようこそ!メニューはそこに置いてあるのを見てください。先にお飲み物をお聞きしますねー」
僕と西華は、グルートビールを、リアはアップルジュースを注文した。
「では、かんぱーい!」
僕は久しぶりのビールに感無量だ。グルートビールは、爽やかな風味が口に拡がり、非常にまろやかでコクがあり、これはこれで美味いビールだった。
「お客さん。イケる口ですね。もう一杯いきますか?」
「あぁ。頼む」
「食べ物はどうしますか?今日のお勧めは、スーレラビットのシチューとスーレシープのステーキです」
「じゃぁ、それを頼む」
「はーい。ありがとうございます!少々おまちくださーい」
スーレラビットのシチューは、肉がホロホロと口の中でほどけ、味も深みがあり、一緒に入っている野菜から出た甘味がなんともいえない調和を生み、長い時間煮込んだことを感じさせた。
スーレシープのステーキは、ほとんど臭みもなく、しっかり下処理がされているようだ。焼き加減も丁度いい。
「美味い!!!」
食事が終わり、久しぶりのアルコールも入り、気分は絶好調の僕達は、今晩泊まる部屋へ向かった。
「あれ?こ、これは………。リアさん?」
「すいません。一部屋しか空いて無くて、相部屋になっちゃいました」
き、キター!!!
「嫌ですか?」
僕は、精一杯、そりゃぁもう全力で、頭が吹っ飛ぶくらいに、首を高速で横に振った。
「良かったです」
「鈴空様。うちと一緒に寝えへん?」
ぶほッ!はへ?まさかの急展開!?西華は仲間だし、仲間に手を出したら国王として………いや、これからの旅にも影響が………
「って、あれ?おい、西華。お前今、『妖言』使ったな?」
「そうです。『妖言』のお味はどないでしたか?」
「うーん………。良い!!!」
「おおきに」
茶番ー!でも、今後マジで西華に頼む時が来るかもしれない。僕が魔法使いにならないように………。
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