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ワケあって、異世界審査通っちゃいました  作者: 蜂月 皐
第3章「建国編」
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第23話 「鈴空式村人面接」

引き続きご愛読いただき、ありがとうございます!

今回は、続話になりますので、2話同時投稿です。


ワケありタオルの使用方法に気付き、村の復興に向け、動き出す鈴空。

無属性魔法ポルタ―ドを使用し、扉の先に待っていた人とは………

ともあれ、ワケありタオルを手に巻き付けた僕は、スペルを唱える。


魔法『ポルタード』


すると、目の前に半透明な扉が出現した。扉を開くと道があり、その向こうにもう一つ扉が見える。


「リア、行ってくる。村のことは頼んだぞ」

「はい。いってらっしゃい。みんなをよろしくお願いします」


僕は、リアに村のことを任せ、扉の中に続く、光の道へと歩みを進めた。50m程歩くと、もう一つの扉に辿り着いた。


「本当にライフに繋がっているのか不安だが、自分の使った魔法を信じよう。それにしても、魔法使えたんだ僕!魔法気持ち良い!今までスペルの詠唱しても、何も起きたこと無かったから、めちゃくちゃ感動したー!ハマりそうだわ。魔法の無駄打ちしそう………」


僕以外、誰もいない空間で1人興奮し、息巻いている自分は、さぞ滑稽なことだろう。久々のプライベート空間は、陰キャな僕に、この上ない解放感を与えた。


「さ、さて、開くぞ」


僕は、高鳴る鼓動を抑えるために、一呼吸おき、扉に手をかけた。扉は、音もなく開き、目の前には、見覚えのある景色と1人の老婆の姿がそこにはあった。


「なんじゃ、お前さんかい。早速、無属性魔法ポルタードを使用したってとこかね」


常婆だ。ジャージの効果で15歳まで若返りを果たしている僕を一目で見抜くとは、やはりこの婆さんは只者ではない。


「しかし、いきなり人の家に土足で現れるとは、常識ってもんがないのかねぇ。これだから異世界人は…」


やっぱりこの婆さんは、好きになれん。折角来てやったのに、この扱いは、酷いくね?確かに、土足で、しかも、突然、人の家に上がり込んだのは、悪いと思うけど、「元気にしとったか?」くらいの言葉掛けてくれても罰は当たらんだろうに。


「それで、何用じゃ?リアは一緒じゃないようじゃが」


あっ、リアの心配はするのね。しっかし、嫌々感が、思いっきり顔に出てんな。だー、もう気にしててもキリないな!


「今、ある村の復興をしていて、人手が必要なんだ。それで、リアにこのスラム街の住人を紹介されたんで、ちょっと30人ばかり借りてくぞー」


常婆との会話が面倒な僕は、単刀直入に現状を話す。

だが、その話を聞いた、常婆の表情が一変する。一変したと言っても悪いほうにではない。むしろ、恵比寿顔だ。


「そんな顔も出来るんだな。婆さん」

「まぁ、そう言ってくれるな。30人分の食費が浮くと思うと、堪えきれんかったのじゃ」


全く、このババァは………。詰まるところ金かよ。まぁ、確かに30人分ってなると、相当な額になるだろうけど。


「勘違いするなよ。全員が、村に残れるわけじゃない。これから面接をするんだ。つまり、これは、『鈴空式村人面接』とでも言っておこうか」


僕のエゴのみで行う、面接だ。僕の意にそぐわない者は、村人として認められない。

僕は、昔から考えていた。国を買いたいと。僕の国があって、僕が国王で、国民も移住者も、旅行者でさえも、僕の好みで入国を決定する。そんな夢の国を造りたいと、ずっと思っていた。だから、面接は通常のものより、かなり厳しいものとなるだろう。ただ、かたっ苦しいのは嫌いだ。面接でその場を取り繕ったような、マニュアル通りの話しなんて、これっぽっちも聞きたくない。それこそ、無駄な時間だ。そんなもので、相手の何を推し量れるというんだ。全くもってナンセンスだ。


「鈴空式村人面接か。面白いことを言うのぉ。そうじゃ。コレを持っていけ。これから行う面接で役に立つかもしれんからのぉ」


常婆はそういうと、僕に魔法石の付いた腕輪を手渡した。


「常婆………。俺の考えが正しければ、これってもしかして、装着したもののスキルや魔法が解るアイテムとかじゃないよな?」

「ほぉ。良く知っているのぉ。そうじゃ、便利じゃろ」


便利じゃろ、ニコ。じゃ、ねー!!!持ってんなら最初会ったときに渡しとけー!やたらと遠回りしちまったじゃねーかよ。


「お、おう。ありがたくもらっとくよ」


僕は、怒りを抑えながら、常婆から腕輪を受け取り、ジャージのポケットへ閉まった。


「常婆。俺は、あまりここで悠長にしている暇はないんだ。連れていける30人をこの部屋の上の階にある

店内に集めてくれるか?面接は、村で行う」

「せっかちなやつじゃの。わかったわい。主も上の階に行っておれ。すぐに集めてやるからの」


僕は、常婆に言われた通り、上の階へ行き、バーカウンターにある椅子に座って、人々が来るのを待った。

30分後、ボロボロでだれも客の来ないような、薄暗い店内は、30人ほどのヒューマンやデミヒューマン達で賑わいを見せていた。

そろそろいいか。


「はい!みんな、ちゅーもーくッ!俺は、村人の募集に来たものだ。俺は、これから、村を復興、いや村を造る!そこで、村に住んで、村のために尽力してくれる仲間を募っている。これから、みんなには、俺の面接を受けてもらうが………」


ん?なんか臭うな。汗臭いような、獣臭か?


「ちょっと、その前に、お前達………、まさかとは思うが、風呂には入っているのか?」


ざわざわざわざわ


誰も答えないか………。面接前は、最低限、身だしなみだけは、整えて来てほしいもんだ。


「はぁ。わかった。もういい。ひとまず、お前達には、俺の村まで来てもらう。準備の出来たものから、俺のポルタ―ドの中に入ってくれ」


魔法:「ポルタ―ド」


例のごとく、僕の目の前に半透明の扉が現れた。


「さぁ、一人ずつこの扉に入り、光の道の上に集合しろ」


30人の村人候補者達は、僕の言葉に従い、扉をくぐる。それにしても、みすぼらしい身なりの者達ばかりだな。これが、スラム街に住む住人達か………。僕は、少しがっかりしたが、まだ、村の復興を始めるための第一歩を踏み出したに過ぎない。実は、この中にとんでもなく優秀な人材もいるかもしれない。ダメだと決めつけるにはあまりに早計。きちんと面接してから決めよう。僕は、人を見た目で判断するようなダメな大人ではない。


「よし!全員扉をくぐったな。では、先に見える扉へ向かう。俺に付いてこい」


僕は、全員を先導し、村へと続く扉へ向かった。

読んでいただきありがとうございました。

これからも連載を続けていこうと思っておりますので、ご意見、ご感想等、寄せていただけると勉強にもなりますし、執筆意欲も出ますので、ぜひよろしくお願いします。


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