第2話 「審査」
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渡された用紙には、自分の名前を書く欄と、9個の質問が書かれており、Yes or No方式で答えられるものとなっていた。
1、自分は、『リア充』だ
リア充だったらこんなところには、来ないだろう『No』
2、自分を偽って生きている
偽らないと社会不適合者のレッテルを張られるだろう『Yes』
3、自分を変えたい
自分はなにも悪くない『No』
4、人の善行は、全て偽善だ
偽善なくして、善行なし『Yes』
5、世の中は、理不尽である
理不尽しかないといっても過言ではないだろう『Yes』
6、世の中、どいつもこいつもバカばかりだと思う
尊敬に値する人間はいないという意味で『Yes』
7、他人を見て、今すぐ消えればいいのにと思ったことがある
この人は、なんの為に生きているだろう?人の足を引っ張るなら消えてほしい『Yes』
8、2度と戻れないと分かっていても、違う世界があったら行ってみたいと思う。
はっきりいって、今のリアルには、うんざりしている『Yes』
9、以上の質問に対する回答に、一切の偽りなし『Yes』
署名 紗月 鈴空
全ての回答を書き終えた瞬間、紙が光り出した。
「無事、審査通過おめでとうございますニャ。それでは、ご主人様改め、紗月鈴空様。これから鈴空様には、今いる世界とは違う、もう一つの世界へ転移していただきます」
「ちょっ、まぶし!はい?意味がわからないんだが………」
「つまり、簡単に言うと異世界転移になりますニャ。そこで、違う人生の再スタートってわけですニャ」
「わけですニャ。じゃないからー!異世界って何?どういうことー!」
「まぁまぁ、とりあえず行きましょう」
「わ------!」
目が覚めると、僕は、見たことのない不思議な空間で横になっていた。立ち上がり、周りを見渡すと、明らかにおかしい大きな石板が6つ目に入ってきた。
「やっと目覚ました」
背後から聞こえる声に振り向くと、一人の少女がそこには居た。歳はだいたい15歳くらいか。銀色の長髪に制服、ニーハイ姿で佇立し、僕の方を見ている。
「あの………、君は誰?そんでここどこ?」
「私は、ミウ。ここは、始まりの石室」
答えてくれた。ミウが誰で、始まりの石室が何なのかを問う前に、僕は、僕の心の爆発を抑えきれないので、ひとまず………。
「みう!めっちゃくちゃ可愛いー!クソタイプだー!銀色の髪、制服、ニーハイ、透き通るような白い肌と、弱々しくも愛らしいアニメ声、そして、極め付けは、異世界お決まりのオッドアイだー!最高やー!ここは異世界という名の天界か?ここが、俺の聖地だったんだー!」
「………。」
「ご、ゴホン。失礼。つい感情の躍動を御しれずに、違う世界の扉を開いちゃうところだった」
「大丈夫。特に問題ない。誤差範囲………だよ。鈴空」
「くぅー!もう一度名前を、わたくしめの名前を呼んでいただけないだろうか!」
「鈴空?」
ミウの疑問系で返す刀に、僕の心は完全に突き刺されて、貫通した勢いで、昇天する心地だ。
「鈴空………、説明、始めても、いい?」
やっとの思いで、心の平静を取り戻した僕は、ミウのほうを振り返る。
「あぁ。頼む」
今日1の決め顔と凛々しい声で僕は、説明をお願いした。
読んでいただきありがとうございました。
これからも連載を続けていこうと思っておりますので、ご意見、ご感想等、寄せていただけると勉強にもなりますし、執筆意欲も出ますので、ぜひよろしくお願いします。
ゆっくりと週1ペースで連載をしていこうと思っています。温かく見守っていただけると幸いです。