第1話 「ケモ耳Friend」
第2作品目の連載小説になります。なるべく日常に近づけるようにラフな文章にしています。こちらもご愛読をよろしくお願いします。
「ただいま、無料審査を行なってまーす!現実逃避ご希望の方や、今の世の中に嫌気がさしてる方、自分を変えたい方々は、ぜひこの機会に無料審査を行ってみてはいかがでしょうか?」
僕が住んでいるところの最寄りの駅を出ると、歓楽街が広がっており、そこを抜けて10分程歩いたところに僕の古いアパートはある。いつものことだが、この歓楽街には、客引きがたくさんいて、断っても断っても他の客引きが交互に声を掛けてくる。正直いってかなり鬱陶しい。そんなある日、いつものように仕事を終え、歓楽街を歩いていると、見慣れたビルの3階に不思議な名前の会社があることに気付いた。
『ケモ耳Friend』
「新手のメイド喫茶かなんかか?ネーミングセンスまるで0だな」
呟いた僕の視線の先には、そこの店の客引きらしい女性がフラッグを持ち、ケモ耳姿で立っていた。視線が合うや否や、そのケモ耳っ子は、僕のほうに駆け寄ってきた。どうやら、何かの無料審査を行っているらしい。無料………。いい響きだ。この世にタダほど安いものはない。にしても、会社名といい、無料といい、なんの審査かも不明。怪しさ満点だ。でも………。
「ケモ耳は正義!そう!ただ、それだけのこと………。ふッ」
まんまと相手の策略にハマり、連れていかれる僕は、本当にどうしようもない、漢の中の漢である。と、自分を正当化しようしても、もはやワクワクが止まらない。これから、相まみえることになるであろう、ケモ耳のお友達たちを思うと、心の高鳴りが抑えられない。
「こちらへどうぞー。そこの椅子に座っててニャ!」
ニャ!キタ------!はい!「ニャ」いただきましたー!もうどうにでもなれ!
ニヤケ顔を必死にこらえつつ、心底ガッツポーズをしたい今日この頃。しかし、この会社の怪しさだけは、未だ払拭できずにいるため、平常心を必死に装うこの辛さ。僕は、葛藤中だった。
「忙しい中、お立ちよりいただきありがとうニャ。ここは、ケモ耳Friendって会社ニャ。外でも客引きのコが言っていたと思うけど、ただいま、無料審査を行っているニャ。旦那様は、現実逃避や、今の世の中に不満を持ち、自分を変えたいと思っているワケありさんで間違えないかニャ?」
突然現れた、新たなケモ耳女子が僕に語り掛けてきた。そういえば、そんなことを外で聞いた気がするが、ケモ耳に圧倒された僕は、記憶が曖昧だ。
「たぶん、そうかな?」
「了解ニャ。では、早速審査を始めさせていただきますニャ。審査は、簡単!この用紙の質問に答えてもらうだけニャ。審査を通るか通らないかは、回答次第ってことになるニャ」
「そういえば、コレってなんの審査なの?」
「それは、教えられないニャ。審査を通過した人にだけ、教えられる決まりになっているニャ」
いよいよもって、危険なスメルが僕の嗅覚を刺激する。ケモ耳も大事だが、生きていてこその物種。
「ちょっと、審査の前に、確認したいことがあるんだけどいいかな?」
「どうぞニャ」
「ここは、なんの会社なの?メイド喫茶ってわけじゃないよね?」
「それは審査を通過しないと教えられないニャ」
「じゃ、本当に無料?後々、法外な請求を吹っかけてきたりってことはない?」
「ないニャ」
「僕のプライバシーを侵害することは?」
「ないニャ」
「でも、なにかしらのリスクはあるわけでしょ?」
「ないニャ」
え?マジでないのか?本当にただ、わけのわからない審査をするってだけの話?コレをすることで、この会社になんの利益があるのだろう?僕の頭の中は、大混乱だ。
「最後にもう一つだけ、質問しても? 」
おそらくこれが、一番大事なことだろう。
「もし、審査を通らなかったらどうなるの?」
「それはないニャ。外で客引きをしていたコは、ただの客引きじゃないニャ。言ってみれば、スカウトマンみたいなもんだニャ。資格のある人しか、ここには連れてこないニャ」
………。
以上より、僕の導き出した結論。
「なら、いっか」
「はーい!では、用紙をお渡しするニャ」
読んでいただきありがとうございました。
これからも連載を続けていこうと思っておりますので、ご意見、ご感想等、寄せていただけると勉強にもなりますし、執筆意欲も出ますので、ぜひよろしくお願いします。
ゆっくりと週1ペースで連載をしていこうと思っています。温かく見守っていただけると幸いです。




