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瞑想世界55
お前の心持ち次第だと思うと、田村は言った。
灯台がなくなっている。
だが吊橋はあり、激しく風に揺れている。
僕は叫んだ。
「何故、吊橋があるのに、灯台がなくなっているのだ?!」
田村が言った。
「嘘が真実で真実が嘘の世界だからな。全て騙し絵なのさ」
僕は田村に対する本能的な憎悪を抑え込み言った。
「騙し絵の吊橋から、俺達はジャンプして生還出来るのか?」
「分からない。ただ言える事は一つだと思う」
「何だ、勿体振っていないで言え!」
田村が喘ぎながら言った。
「俺が助かるかどうかは、お前の心持ち次第だと思うんだ」
「それはどういう意味だ。はっきりと言え!」
「だから、お前の俺に対する殺意が友情よりも強ければ、俺は死ぬという事さ」




