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瞑想世界56
田村を担いだまま僕はジャンプした。
田村を担いだまま僕は吊橋の中央に立った。
風に揺れる吊橋。
下を覗くと、岩場に波が打ち寄せ、飛沫がはね上がり、渦を巻いて引いて行く、恐怖の光景である事は変わりない。
両足で揺れる身体のバランスを取りながら、僕は田村を殺したい衝動にかられる。
相手を殺す事の愉悦を、田村の体温を肌で感じている熱い友情が攻め込む。
僕は憎悪に歪んだ顔付きをしつつ、熱い涙を流しながら田村に向かって怒鳴った。
「行くぞ!」
田村が頷いたのを見た瞬間、僕はジャンプした。
空中で僕と田村の身体が分離し、田村も僕も真っ逆さまに落下して行く。
青い右回転するりんごのチャクラを思い浮かべた瞬間、田村の身体が海水に紛れ、僕の身体も岩場ではなく、海に飛び込み、波が打ち上がった刹那、回転する青いビー玉になって、放り投げられるように岩場に降り立った。
僕は足元を見つめ、自分が今立っている地点が、落下地点とは違う穏やかな場所である事を確かめた、その微妙な差異にめまいを感じた直後、田村が声を掛けて来た。
「有難う」
その声を聞き、僕は溢れる涙を拭い、言った。
「良かったな、田村」




