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彼氏に殺された私の七日間。  作者: 三久田ともかさ


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エピローグ


 事件から、数年後。

 街には、柔らかな春の日差しが降り注いでいた。


 駅前のカフェ。

 窓際の席に、1人の男性が座っていた。


 涼太だった。

 以前よりも少し痩せていた。

 髪も短くなり、表情にはどこか疲れが残っている。

 それでも、以前のような険しさは薄れていた。


 テーブルの上には、飲みかけのコーヒーが置かれている。

 涼太は何度も時計を確認していた。

 やがて、店の扉が開いた。


「お待たせ、涼太くん」

 明るい声。

 涼太が顔を上げる。

「澪」

「ごめんね。ちょっと遅くなっちゃった」

「いや、大丈夫」

 澪は涼太の向かいに座った。

 昔と変わらない、優しい笑顔だった。


「今日はどうだった?」

「ああ。何とかやれてるよ」

「そっか。よかった」

 澪は嬉しそうに微笑んだ。

 涼太はしばらく彼女を見つめていた。

 それから、ゆっくりと口を開いた。


「……なあ、澪」

「ん?」

「ありがとうな」

 澪が首を傾げる。

「どうしたの、急に?」

「いや……あの時、お前がいてくれたからさ」


 涼太は少しだけ俯いた。

「俺、本当にどうしようもなかったから」

「……うん」

「何もかも失って、もう駄目だと思ってた」

 澪は黙って聞いていた。

「でも、お前だけはずっとそばにいてくれた」


 涼太が顔を上げる。

「ありがとう、澪」

「あの時お前がいてくれたから、頑張れた」

 澪は優しく微笑んだ。


「ううん。大丈夫だよ」

 そして、そっと涼太の手を握った。

「辛かったよね」

「……ああ」

「でも、もう大丈夫」

 澪の指が、涼太の指に重なる。

「きっと、美幸ちゃんも許してくれるよ」


 涼太は何も言わなかった。

 ただ、静かに頷いた。

 窓から差し込む春の日差し。

 2人の手には、婚約指輪がきらりと輝いていた。


 澪はその指輪を見つめた。

 そして、いつもの優しい笑顔のまま、小さく呟いた。


「ありがとね、美幸ちゃん」


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