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039 ソウルイーター戦②

 ソウルイーターに命中した六本のホーリーアローが発動する。


 ソウルイーターに眩しい光弾が六連続で命中すると、ソウルイーターの右前足、そして肋骨などを破壊した。


 さすがに足を一本失えば躊躇するのか、ソウルイーターもその前進を止めていた。


 その隙に、リーズがポーションを使ったのだろう。ギュスターヴがふらふらになりながらも立ち上がる。


「ナイスだ、ギー! パワースラッシュ!」


 ジルだ。ジルがソウルイーターの背後を取り、その左後ろ足に大剣を振り下ろす。スキルを使ったその攻撃は、ソウルイーターの足を一刀で粉砕した。


 二本の足を失ったソウルイーターは立ち往生だ。


「このまま一気に叩くわよ!」


 イザベルも再度サンダーランスを発動し、ソウルイーターの右顔面を砕いた。


「GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」


 このまま倒せるかと思ったその時、ソウルイーターが吠えた。骨の体でどうやって鳴いているのかは謎だが、吠えた直後、ソウルイーターの体に変化があった。


 まるで漆黒の雲のような靄がソウルイーターを中心に広がる。そして、靄が晴れた時、そこには砕いたはずの骨が復活した無傷のソウルイーターがいた。


 ソウルイーターは、吸収した魂を消費することで、HPを回復することができるのだ。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 心が折れそうな光景だが、あらかじめ説明しておいた『狼の爪牙』のメンバーに動揺はない。


 リーズのポーションによって復活したギュスターヴが、再びウォークライをあげてソウルイーターに突撃していく。


「ぞりゃッ!」


 ジルも健在だ。元気に大剣を振り回し、さっそくソウルイーターにダメージを与えている。


 先程の黒い靄には魂を奪う効果があるのだが、『護魂符』を装備したジルには効果がない。


 ギュスターヴとソウルイーターが対峙し、お互いに静止する。


 その隙にオレも最後のホーリーアローを弓に番え、狙いを付けて放った。


 その瞬間、ソウルイーターが動く。


「チッ!」


 ソウルイーターは痛手を負うホーリーアローを警戒していたのか、ジルやギュスターヴの攻撃を甘んじて受けてでもホーリーアローを回避した。


「サンダーランス!」

「えいっ!」


 だが、ソウルイーターの逃げた先は死地だった。まるで十字砲火のようにイザベルの魔法とリーズの薬瓶が飛び交う。


 イザベルのサンダーボルトがソウルイーターの右前足を砕き、そこにリーズの錬金術アイテムがソウルイーターの顔面にぶつかって割れ、発動する。


 それは微かな光を帯びた液体だった。


 だが、その水を受けたソウルイーターの反応は劇的だった。


「GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」


 今まで雄叫び以外に声をあげなかったソウルイーターが悲鳴をあげる。


 液体に触れたソウルイーターの左顔面が、まるで燃えているようにモクモクと白い煙を上げ、ドロリと高熱にさらされた飴細工のように溶ける。


 あれはたぶん聖水改だな。教会で売られている聖水を錬金術で対モンスター用に調整した攻撃性の高いアイテムだ。オレがリーズに用意を頼んだアイテムでもある。


 実は、聖水改はゲーム初心者のためにお助けアイテムなのだ。


 ソウルイーターをはじめ、魂奪の魔王の配下にはアンデッドが多く、そのアンデッドに効果覿面なのが聖水改である。単純にダメージアイテムとしても優秀だが、聖水改を受けると、アンデッドモンスターはステータスにマイナス補正を受けるのだ。


 オレがソウルイーターの早期討伐を決めた最大の要因である。


「らあッ! お! さっきより柔らけえ! ほげッ!?」


 ジルがソウルイーターの胴体に斬りかかり、そのままソウルイーターに蹴り飛ばされていた。


 だが、どうやらソウルイーターの防御力が下がっているみたいだ。チャンスである。


 オレはそっと弓を置くと、腰のダガーを抜いてそろりそろりと歩き出す。


 今、ソウルイーターの注意はリーズに向いている。リーズを叩こうとして、そうはさせじとするギュスターヴに妨害されている形だ。


 今、オレへ注意は向いていない。


 その隙を縫って、オレはソウルイーターの背後に回り込む。


「いてて……」


 その途中、ソウルイーターに蹴り飛ばされたジルの近くを通る。


 どうやら手持ちのポーションを使い切ってしまったのか、ジルが顔をしかめて大剣を杖のようにして立っていた。


「くそ……お?」

「これを使え」

「うお!? いるならいるって言えよ!」

「大声出すなって」

「わりいな。助かる」


 ジルは悪びれない笑顔を浮かべてオレからポーションを受け取って傷口にかけていった。


「ギーは、あの野郎の急所狙うんだろ? 俺に任せておけよ奴の注意は俺が引いてやっからよ」

「頼んだ」

「おう。おし、治った。んじゃ、行くぜ」

「ああ」


 オレはジルからそろりと離れると、ジルは大剣を担いでソウルイーターに向かって走っていった。

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