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ポラリスの多世界  作者: 一
特異大魔法世界編
86/362

#84 魔導皇帝


「何が起きている!?」

「会場内外の結界に侵入者を感知!!」

「なんだこの数値は?!」

「ダメです。全ての感知魔法の数値計測不可」

「待機している大魔法師団への要請を!」

「既に報告済みです!」

「何がこれから起きようとしているのだ」


運営委員会は異常な気配と万が一の有事の際への対応に追われていた。この大会始まって以来の出来事だ。国王でもあるリリアンシュナーベル陛下の要請と先日の事件への警戒を兼ねて武煌国として大魔法師団を会場内に待機していた。勿論、この出来事は各国へも報告されることになっている。国王陛下が参加された円卓会議で決まったことなのだ。



「リリアン!敵が来る!大会は中止だ」


「ああ、これは強烈なのが来るぞ。あの二人の戦いは中止させる」


「各国への大魔法使いへの連絡は?」


「既に済ませてある。この会場への到着は転送魔法で約1分。何者かの妨害を受けているようだ」


「わかった。妨害しているのはあれだろう」


「さて、パルム、あれはシキより強いぞ」


「望むところ」


闘技場上空に一人の絢爛豪華な装飾の服を纏った強烈な”何か”がそこには居た。

パルムとリリアンシュナーベルは同時に思う。この場にいる全員で相手にしないとマズいことになる相手だと。しかも、長年の経験値だろうか、敵の力が全ての鑑定、感知、計測魔法を全て振り切れている。軍使用の最新の計測機を用いてもだ。


「我が名は魔導皇帝アヌ・エンリル、我が魔導にてこの世界を廃棄する者なり」


すらりと伸びた片手に十本の指が見えた。白い手袋をしているようにも見える。白く長く異様なその指は手の平をこちらに向けて手を広げた。


『シクソウ・センサルク』


「「!!」」


パルムもリリアンシュナーベルも見たことの無い魔法陣が空に広がった。


「あれは何だ?パルム!」


「知らない、あれは私が知らない魔法だ。というか魔力ではないぞ」


「あの魔法マニアのパルムが知らない魔法がこの世界にあったのか?!」


「ああ、私も驚いている。私の中に蔵書してあるあらゆる知識や情報にも引っかからない。何だあれは?」


魔力でも無い、神の力でも無い、聖なる力でもない。この特異界では無限数多の魔法が混在して日々開発や実験や発見がされる世界であり、全ての魔法がこの世界に集まる。平行世界、異世界、未来、過去、現在、無限数多に広がる世界の魔法が全て集まるのがこの大魔法特異世界なのだ。


だが、奴は違う。この世界の法則を無視している。ポラリスと同じく魔法では無い物理的な攻撃か、いや、あれは構成が別系統だがれっきとした魔法陣だ。見たことの無い魔法言語で書かれている。というか、あれは魔法陣を構成する魔法言語でもあるのかするら怪しい。


魔力では無いが、リリアンの部下が報告するには全ての軍用の計測機が振り切れて未知数。感知魔法にも引っかからず、上空に存在している。そもそも、軍用の魔法だぞ。先日の事件から各国の警戒レベルは最大限に引き上げられている。世界レベルでだ。いかなる魔法使いであろうが、私であろうがわずかには感知される筈なのだ。だが、魔導皇帝を名乗る奴は感知されていない。完全にだ。有り得るか?!いや、ここは確かめるしか無いがその前に!


「リリアン!!伏せろ!!!」


幾何魔法トポロジーマジック天蓋てんがい


魔導皇帝が放った青白く巨大な閃光を遮った。なんだ、この魔法は?!会場内の結界が全て吹き飛んだ。


「んなッ!私の結界がー!!全ての観客転移保管完了!パルムOKー本気出していいよ!」


「リリアン、後方支援頼んだ」



結界が弾け飛んだ瞬間に違いの攻撃を止めた。

《虚数空間を解除》


「ポラリス、あれはなんだ?」


「エヴナ、あれは敵だよ」


ソラが敵だと知らせてくれる。虚数空間を解除したら広い会場には誰もいなかった。


観測できたのはカンストした一部の出場者たちらだ。リノも含まれる。多分、転移か転送かどちらかだと思うけれども、間違い無く言えるのはこの大会は台無しということだ。


「ソラ、回廊をリノへ」

《観測掌握完了。回廊をリノへ繋ぎました。間もなくリノがこちらへ到着します》


上空で一人の魔法使いが、敵の攻撃を防いでいる。まるで巨大な蓋のようだ。しかもかなり高度な魔法で複雑だ。僕もこの戦いを通して随分成長出来たと思う。経験値は貯まっているだろう。ソラが急ピッチで進化に還元している。


「どうやら、この大会は敵をもって終わってしまったようだな。ポラリス、この大会の意味は先日の事件に向けての実力者を集める大義名分があった大会だったのだ。その大義名分がお出ましときた。やることはわかるな」


「エヴナ、状況はわかっている。僕はあの敵を倒すためにこの世界に来たのだから」


「ああ、なるほどね。やっぱりポラリスとは試合では決着つかなかったけれども、この戦いが終わったら一杯付き合ってもらうわよ。ようやく私を本気にさせてくれるライバルが出来たのだから」


「エヴナ、ああ是非」


天上が青く白く光散った様子は、神々しくも不気味で不穏が残るような極大魔法らしき何かだった。


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