#81 光と本気
星崩衣で受け止めていなかったら文字通り灰になっていただろう。なんだ、大気が溶けている。空気が無い、この空間全域が先程の熱攻撃というべきか、その攻撃で結界内の攻撃が灰になり、もはや舞台も無い。舞台にも三次元跳躍でカバーするべきだったか?場外というわけでは無いだろう。まだ試合は続いている。会話はどうする?空気が無い。
『大気魔法:空気』
「あははは、貴女化け物ね。流石は決勝戦まで勝ち残ってきたと言えるわ」
魔法で結界内に大気が満ちたが、熱はまだ残る。星崩衣を解除したら確実に完神体の僕の体でさえ灰になるだろう。これは確実だ。本当に大変だ。さて、どうするかな。
「貴女には言われたくありません」
「ん?少しは退屈しなくて済みそうだわ。ほら、早くしかけてきなさいな。転生者として簡単に貴女を倒してみせるわ」
「後悔するなよ、これからの僕は本気でいく。三次元跳躍範囲を拡大。結界が破壊されても観客には被害は出ない」
「そう、ではどうぞ」
「ああ」
全力だ。このエヴナ・イグルノヴァという女性には恐らく手加減していたら僕が殺されてしまう。今までの攻撃全てが即死級の攻撃ばかりだからだ。
今まで観測出来なかったことは無かったのにこの女性の攻撃は全て観測が出来なかった。深淵之魔神による効果も相殺されて無効化されている。何故かは分からない。恐らく、ソラでも観測出来ない謎の能力かスキルがあるのだろう。
転生者や転移者が世界を渡るときに得られる神と呼ばれるギフトとかなのかも知れない。僕も神にはあったことは無いが、そういうこともあるのかも知れない。ただ言えることは目の前にいる女性は過去現在で戦ってきた化け物の中でも最強の存在だ。こちらが油断していればやられる。
この試合のルールは相手を死なせたら失格となっているが、この女性なら万が一僕が死んでも判定される前に蘇生してしまうのだろう。そのくらいの力は保有していてもおかしくはない。それがあると前提した状態で戦闘したほうが良いだろう。相手も僕の全力の攻撃で死ぬことは無いだろう、そういう相手だ。
ポラリス・ステラマリス、リノとの模擬戦を思い出せ!
全力の全力を出すんだ!!
究極技能『神域完全武装』
究極付与『八王馬』
《主の身体完全強化に成功。合わせて常時移動速度が光を超えます。時間への介入も可。行動は宙王による完全演算で予測確定完了》
「くらえ!」
『超越魔法:界奉』
「これは超越魔法!!!!」
光が結界を包み込んだ。灼熱の業火を光が包み込み灰になった。光が結界を震わせた。地響きが次第に大きくなる。リリアンシュナーベルが施した特別製の結界も会場全体が震えているのだ。それほどの光、それほどの威力が結界内全体を覆い地面が抉れて灰燼と化とした。
「追撃させてもらう!」
『超越魔法:時元摩天楼』
「バカな!!それも超越魔法だというのか?!しかもそれは何だ!?」
無限を越えて時間が複雑に折り重なり、うねりをあげて終わらない円環で時間が引き延ばされ、光よりも早く加速して崩壊していき、光と音すらも置いていく加速された世界の次元がイグルノヴァの動きをわずかに鈍らせた。
攻撃は効いている。本来は界奉の時点でも、この攻撃でも致命的になっている筈がなっていない様子を見ると正真正銘の化け物だ。
相手からしても僕も充分に化け物だろう。化け物同士、決着が着くまで!!!
『神魔法:輪炎』
『神越魔法:王神』
『神越大魔法:聖食』
光の輪が上空に三十の輪がイグルノヴァを直撃した。光の輪は柱となり神々しくも美しく破壊的に壊滅的結界内を蹂躙した。
《未だ相手は健在》
「これほどの魔法、これほどの力、ブラックホールといい、ポラリス・ステラマリスお前は何者だ!!ああ、退屈な大会だと思ったが決勝にきてようやく本気を出せる相手が出て来たか、失望させるなよ」
悪寒が全身を巡った。次、相手は本気で来る。彼女はリノ並の実力者だ。僕が負ける可能性が高い。だが、負けるわけにはいかない!!




