#80 一方的防戦
「何その力は?面白いわね」
「僕の隠し球さ」
「貴女が何をしようとも関係無いわ。退屈なこの大会をさっさと終わらせましょう」
「!!」
《主!!》
『究極特異技能:風壊神』
舞台を切り裂き、冷気を纏った大気全てが絶対切断の刃となった。舞台が微塵に切り裂かれていく。この結界は持つのだろうか。いや、外の世界には誰にも被害を出すわけにはいかない。
『Multiverse:三次元跳躍』
結界に攻撃が触れる瞬間に内側へベクトルが向けられる。これで結界自体には何にも被害を出すことは無いが、迫ってくるこの見えない刃を観測しながら避ける続けるというのは中々骨が折れる。多次元跳躍で瞬間移動しながら避けることで紙一重で避けられている。攻撃は止まらない。というか、あの技、観測で掌握出来ないのか?
《抵抗されました。観測掌握は不可です。あの力は現在の宙王では観測できません》
「ああ、しょうが無い。こればかりはどうしようにもな」
「避けてばかりで次ぎはどうするつもり?終わりにさせるわよ」
『究極特異技能:雷帝劫』
大気の刃と雷の嵐か回避が追いつかない。ほぼ刹那で移動している。空間全体が雷と大気の刃と嵐で包まれた。しかも三次元跳躍で内側へ全てのベクトルを内側へ飛ばしているので更に激しくなっている。こんな状態なのに、あのエヴナ・イグルノヴァとか言う魔法使い?らしき女性は無傷とは恐れ入った。自分自身には完全耐性でもあるのだろうか、あの吸収出来ない技はなんだというのだ?
「ふーん、貴女回避ばかりだけど、この攻撃が結界を吹き飛ばさないように内側へ向けたりとか高度な小細工をするわね。ちなみにこの攻撃の直撃を受けたら灰になるわよ」
「ああ、わかっているさ、そんなこと」
星崩衣を展開しているから、灰にはならなくても直撃を受けたらまずヤバイことは確かだ。ソラも同様の意見だ。星崩衣を纏ってから相手の魔力量が増大した。恐らく相手は手加減はしていないが、様子見でもあるというのは間違いは無いだろう。だが、こちらも回避ばかりだけだとバツガ悪いんでね。ここで僕も力を見せてあげるよ!
「!!」
『黒点域:最大出力!!!』
三次元跳躍で地面も結界内も全て内側へ向かっているから結界へも外へも一切の衝撃すらもこの空間内だけで完結する。最大出力するのはこれが初めてだ。
空間が高圧縮された重力の渦中に引き込まれた。舞台は砕け散り消え、イグルノヴァが発した攻撃も余すことなく重力の中に消えて逝った。イグルノヴァ自体はどうなったか?周囲の光が吸収されて完全な闇しか無い。
「ソラ!」
《観測掌握完了。相手未だ健在》
化け物かよ。純粋な黒点域だぞ。どんな存在だろうが、この攻撃なら倒せると信じていたがどうやら僕の認識は甘かったようだ。とても非常に。
『神起源魔法:三柱神』
エヴナ・イグルノヴァが手を空へ手をかざした瞬間に重力崩壊の渦は霧散した。いとも簡単に自然に。
「大道芸はこれで終わり?」
「ッ!?!」
この女性はとても強い。ソラの観測がギリギリ追いつく程の実力者でかつ使う技や魔法も出鱈目だ。僕も相手からしたら今までも今も出鱈目なのかも知れないが、これほど一方的な攻撃は初めてだ。
《深淵之魔神常時有効を承認。先程の魔法の習得は抵抗されました。観測不可です。演算結果では、この世界で彼女だけが扱える唯一無二の起源魔法です。習得や吸収は不可》
「起源魔法」
「へぇ、一度見ただけでこの魔法の特徴がわかったの?貴女やるわね。今までこの魔法を見抜いた対戦者はいなかったわ。それだけは褒めてあげる」
「流石は転生者だよ。まるでアニメの主人公だ」
「私が主人公?あはははは!私はこの転生を憎んでいるわ!!バカにしないで!」
転生が憎い?往々にして転生も転移も自分で選んだわけじゃないしな。僕もそうだ。神とかが介在しているのだろうか?僕の場合は神煌核という意思が招いたという話にはなっているし、アニメやラノベみたいに神とかいう存在と会話や会ってすらいない。彼女の場合は憎んでいるという言葉を使っている時点でこの世界での転生後の人生が酷かったという意味か?
「同じ境遇だね」
「貴女が私と同じ?そんなわけ無いじゃない!私はこの世界に転生してから地獄しか見てこなかった。この力で私を転生した者へ復讐することが私の夢なの。だから、貴女は私の贄になって」
《緊急回避》
「ヤバイ!!!!」
『神起源魔法:六体神像・偉大成太陽神』
結界内が閃光と共に、幾億千万の灼熱地獄になった。




