#36 ソラと魔神王
「…」
魔神王は崩壊した大迷宮内を歩いた。スキルや魔法を使うまでもなく、同胞の反応は無い。
突然、空間全域がともに爆発し、持てる全てが消し飛んだ。大勢いた仲間もいない。どのような魔法またはスキル、能力を用いてこのような攻撃が出来たのかは経験上該当する手段は思いつかなかった。
「…」
「…」
「生かして帰さぬぞ…」
※
《主、地下大迷宮から観測史上最大の魔力反応を検知!来ます!!》
禍々しいオーラを纏った魔神王と呼ばれる存在がそこにはいた。転送魔法だろうか。まったく感知できなかった。
魔神王を見たことは無い。文字だけでの知識だけだ。ここにいることは事前には知っている。
いくらソラでも人物の姿形は概要が分かっても実際に見たように、僕の目に投影できるわけではない。
だが、仮に予備知識が無くてもわかる。目の前にいるのが魔神王だと。
「我は魔神王グラリリス。貴様ら、何者だ」
「ポラリス。ギルドより参った討伐する者!」
「同じく、私はリノです」
圧倒的な存在感だ。大気の魔気が濃いせいか余計圧力を感じる。何かのスキルか能力なのかも知れない。
「よかろう、ポラリス、リノ。貴様らを最大の強敵と見なす」
『次元魔法:時間凍結』
「この時が凍った時間で我の全力を持って怨敵を最大の魔法を持って打ち滅ぼうそうぞ」
『極魔法:十二棺』
時間が凍った世界は不変であり、絶対。そして、発動された十二棺は概念系即死魔法の最高位の大魔法。回避は不可。
…
《観測掌握完了。させません!!》
「!!?我の魔法を打ち消しただと、貴様、時が凍った世界で何故動ける」
《初めまして、今の私はポラリスではなく、全宙。主の真核であり、執行代行者》
「真核?代行者だと?一つの体に人格が二つとな。笑わせてくれる!だが、この絶対空間領域で動ける能力やスキル、魔法やいかなる術があったとしても動けぬ筈が無しに。ソラ、貴様もこの主諸共消えるが良い」
『次元魔法:円環楼』
一瞬を無限に繰り返す魔法。捉えられば抜け出すことは不可能。しかも、時間が凍結している世界で、直撃を受ければ、主諸共情報が認識できないまま無限の楼へ閉じ込められて廃人と化する禁忌魔法。
「悠久の刹那で灰になれ」
《主を守るのが私の役目。貴方如きに遅れは取りません》
『星崩衣』
「なんだ!その力は?!」
《これから倒す相手には不要ですヨ》
「『事象の地平線』を展開!」
うおッ!!
凍った時間が引き延ばされていく。光や全てがスパゲティのように、伸ばされていく。時間が割け始め歪みが大きくなってきた。
《貴方を捉えました。魔神王、あなたは観測史上の中ではまぁまぁ強かったです。終わりです。主の手を煩わせる程でもない程に》
「くそがぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『神域展開:魔領導爆』
《観測出来ない!!?》
凍った時間が折り重なるように、複雑に絡み合うように濃く深くソラを捉えた。
《観測不可不可、これは無限を越えている??!》
「この領域は神のみぞ知る領域世界。魔神王の全力を知れ。怨敵よ」
《やりますね!けれど、見くびらないでもらいたい、私たちは宇宙そのものだということを!進化にエネルギーを》
『観測掌握完了:進化を確認』
「このタイミングで進化だと」
《私はあなた如きに決して負けません。主は貴方よりも広大な敵と戦うのだから!》
『進化完了:星人から星者へ』
《贈物は整いました。あなたの負けです。魔神王》
「我は決して負けなどせぬ!」
『超越魔法:時元摩天楼』
《!!!!》
無限を越えて時間が複雑に折り重なり、うねりをあげて終わらない円環で凍った時間が引き延ばされ、光よりも早く加速して崩壊していく。
流れ星のように
星屑のように
瞬きが夜の空に消えるように
音という物質も置いていく
ポラリスとリノが魔神王と対峙して1秒未満の世界が幾無限の時空を越え世界が世界として維持できる限界すらの概念も置いて加速していく。
これは、もはや魔神王と全宙の一騎打ち。
力は圧倒的に全宙であるが、全宙の予測を越えた、魔神王の魔法により、互いの力が拮抗していた。




