#29 ギルドに登録して最難関クエストへ
大きな石作りで出来た建物が見えた。少し遠目からでも建物の大きさがわかる立派なものだ。この都市一番のギルドっていうことは間違いないのだろう。
「リノ、それじゃ行こうか」
「はい!お姉さま」
何かしら刻印された大きな看板が門の上に表記されて設置してある。なんて書いてあるのかさっぱりわからない。
ただ、見た目からも重さを感じるぐらいの重厚さだ。きっとここがそうに違いない。
中に入ると、様々な人種で賑わっていた。獣人族だろうか、竜みたいな人?蜥蜴族とでも言うのだろうか、他にはドワーフ族みたいな小柄だけれどがっしりした体格の人もいたりした。
テーブルでは他種族が混じって酒盛りしている。冒険者だろうか、何かのパーティーだろうか。
ウェイトレスの女性たちがフロア内で忙しなく動いている。賑やかな声がとても良く心地よく響く。
天井がとても高いせいだろうか。室内の温度も丁度いい。ビールやお酒を飲むにはベストな環境だろう。
そういえば、生まれ変わってからごはん食べてなくない?いや、ラビットステーションでロットさんからいただいたパンケーキ以来だろうか。
本当にこの体になってから飲食をほぼしなくなったと思うと同時に人で無くなったんだなっと改めて思った。
「お姉さま、あちらが受付っぽいですよ。多分」
「うーん、リノもこの世界の文字わからない系?」
「あははは、お恥ずかしながら」
「あははは...僕もだよ。どうしたもんかね。全宙さんどうすればいい?」
《はい、主。そうですねぇ、言語ですか。。会話については優先しておりましたが、読み書きについては気が回っておりませんでした。早速開始します。観測完了しました。回廊を通してリノへも共有します。以降の他特異界へ渡った際にも言語習得を優先させます》
「「ええええーー?!」」
「お姉さま、文字がわかるようになりました。お姉さまのソラさん凄すぎですね」
「僕も驚いているよ。生前は言語習得って辛いだけだった記憶があったけど、こんなに簡単に習得できたら苦労しなかっただろうに」
「何はともあれ、お姉さま、ありがとうございます。こちらではなく、あちらが受付みたいですよ」
文字が読めるようになったおかげで、どこがギルドの登録受付なのかわかった。今まで僕らが受付しようとした場所はクエストの受付カウンターだったみたいだ。
言葉は理解できるから文字とかすっかり抜けていた。それはそうだ。文化や次元が違うのだから。言葉が違うのは当然か。
会話の言語については、観測さんの頃から生まれ変わって、最初の草原のときから会話の言語が優先されていたのか。
自分が知らないだけで、助けられていたんだな。心の底からありがとうって思った。
「全宙さん、本当にありがとう」
《いえいえ、当然のことをしたまでですよ、主》
「お姉さま、こっちですよー」
受付のカウンターで手を大きく振っているリノが見えた。さて、登録しに行きますか。
「冒険者希望ですね。身分証明書のご提示を」
門で発行してもらった身分証明書を提示した。
「はい、確認できました。冒険者の新規登録になります。身分証明書には過去に冒険者の履歴がありませんでしたのでビギナーからの最下層のランクからスタートとなります。ランクは十段階あります。詳しくはカウンター横のランク表をご覧ください。クエストについては掲示板に浮かんでいる依頼を受けることが可能です。クエストはランクに応じて依頼を受けることが可能になりますので、ランク違いの依頼しないようにご注意ください」
「あの、もし依頼を受けるとどうなるのですか?」
「もし、誤って依頼を受けた場合は基本的に依頼が無効になります」
「基本的にというと、ということは例外もあるのですか」
「はい、自身のランク以上のクエストの依頼を受けることは可能です。ただ、クエスト失敗した場合は依頼者とギルド側へ多額の違約金と場合にもよりますが、ライセンス剥奪と永久追放される場合があります。ただ、達成した場合は実績と功績として認められランクアップ短縮または飛び級でランクアップも可能です」
「なるほど、わかりました。ありがとうございます」
「ほぼ全員が堅実にクエストの数をこなしてランクアップされておりますので、例外のケースはおススメしませんので」
「お姉さまどうしますか?」
「とりあえず、登録が終わったらランク表を見ようか」
受付のお姉さんから一通りの説明を受けた。有料だが、ギルド保険という万が一の保険があるのと、成功報酬はクエストに応じてということなど。
生前、アニメとラノベで予習済みなので、多少違うところもあるが、郷に入っては郷に従えだ。なんとかなる!
「説明は以上となりますので、ご質問なければ登録完了となります」
「特にありません。ありがとうございました」
「ご武運を」
無事に登録が完了した。
「さてさて、ランク表見ますか」
ーーーーーーー
【ランク表】
各ランクは以下の通りである
星⑩ヒヒイロカネ
星⑨アダマンタイト
星⑧オリハルコン
星⑦ミスリル
星⑥クリスタル
星⑤エンバー
星④ゴールド
星③シルバー
星②カッパー
星①ビギナー
※原則、ランクに応じた依頼を達成せよ。自身のランク以上のクエストに申請する者は違約金他を含めた全てを受諾したものとする。
ーーーーーーー
「お姉さま、なんだか道のりが通そうですね。先程、クエスト一覧見てきたんですが、ランクで報酬金額が断然違いました」
「ふむふむ、僕もクエスト一覧を見てみるか」
掲示板に浮遊している依頼紙はランク別で区分けされており、リノの言う通りランク別でクエストの難易度も違えば報酬金額の桁が全く違う。
さて
「全宙さんはどう思う?」
《主なら最高難易度でも問題無いかと》
言いよったわー
全宙さん、言いよったわー
「リノはどう思う?」
「うーん、そうですね。せっかくなら一番難しいクエストやってみましょうか、って気分です!」
きーぶーんー
なんて恐ろしい子!!
ただ、冷静に考えてみれば、最高ランクの魔王討伐とか、悪魔王討伐とか、古代遺跡の兵器討伐とか、なんとか出来なくもないような気がしてきがした。
まぁ、時間の感覚が違うとは言え、時間が限られていることは確かだし、最高難易度で戦國戦とのリハビリを兼ねるのも良いかも知れないと思った。
こんなクエストで躓いているようじゃ、特異界を守ることなんてできないわけだし。
「それじゃ、一番難しそうなこれ受けてみようか」
ーーーー
【クエストランク】
ヒイイロカネ
【内容】
ヘリオス山脈にいる魔神王と全ての魔物と魔人の討伐
【報奨金】
星金貨7000枚
【依頼主】
大統主:ラルバン・H・ラインハイツ
【備考】
クエストに失敗した場合は報奨金と同額の請求をするものとする
ーーーー
むちゃくちゃである。
星金貨がどのくらいの価値があるのかはさっぱりだけれども、失敗したら借金地獄というところか。
とりあえず、一番難しそうだからこれを持っていこう。
浮かんでいるクエストにポラリスとサインした。
[受付完了しました。クエストカウンター迄お越しください]
「よーし、リノ行くぞ」
「はい、お姉さま!」
クエストカウンターに着くなり騒がしくなっている。受付の女性が話しかけてきた。
「あ、あのこちらのクエストはヒイイロカネの中でも最難関ランクの依頼となります。現在、ポラリス様はビギナーのランクで、先程登録を済ませたばかりだとか。こちらのクエストは失敗した場合は星金貨7000枚の請求がされます。支払う財産が無い場合は奴隷になりますが、本当によろしいですか?」
「ええ、もちろん!」
僕も大概である。
「わ、わかりました。それではこちらにもサインを」
契約書のサインである。クエスト依頼から一週間以内にクリアできない場合はクエスト失敗となるようだ。
ササッと、サインした。
「こ、これでクエスト受付完了となります。ご武運を」
「ありがとう!」
「おい、あの女二人組、ヒイイロカネのしかもビギナーで最難関のクエスト受けやがったぞ」
「ありゃ、死ぬか、奴隷行きだな。可哀想に。もったいねぇ」
「ありゃ、上玉だから依頼主のおもちゃになるな」
ざわざわと、僕らが受けた依頼について騒ぎになっていた。広い空間だというのに、どよめきと騒ぎが空間を包み酒場の肴になった気分だ。
「さぁ、リノさっさと済ませてしまおう。戦國戦のリハビリをするぞ」
「ええ、お姉さま、私もあれから強く鍛えましたのでリハビリがとても楽しみです!」
リノはどうやら主特異界で僕と会わない間、リノなりに特訓していたらしい。
僕はというと、全宙さんがせっせと膨大というか甚大なエネルギーを進化のために充てていた。
さて、
「全宙さん、魔神王の場所はわかる?ヘリオス山脈という場所らしいけれども」
《はい、主!。観測掌握完了致しました。この星の地形は全て観測済みです。魔神王と魔人と魔獣も全て把握しました》
「OK、全宙さん、リノそれじゃ場所わかったからこれから行こうか。時間も無いことだし」
「もちろんです!お姉さま!」
ギルドを出て、入ってきた門から外へ出たところで、Multiverseを発動させた。
シュパン!!!
「ここがヘリオス山脈か、あちこちにモンスターの反応がいっぱいだな」
網膜に数百の魔人と魔獣の反応が表示される。
「ええ、私も補足しました」
「さて、リノ、クエスト開始しといきますか!」
「はい!お姉さま!」




