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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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閑話*兄視点 ハロウィン

 うちの一家のモットーは、できることは全力で取り組む。

 というわけで、普段仕事で家を空けていることが多い両親が帰ってきたときに何かイベントごとが重なれば、全力で楽しむのである。

 クリスマスならば、クリスマスパーティー。

 クリスマスツリーは背丈よりも大きな物であることは当たり前で。ジンジャークッキーを飾り付け、シュトーレンは2か月前から準備を始める。

 まぁ、ジンジャークッキーもシュトーレンもシェフの仕事なのであまり関係ないのだが。

 さて。今年は両親はハロウィンに帰ってくるらしい。

「璃々亜!ハロウィンの準備をしなければ!」

 ハロウィンまで1週間。

「ハロウィンの準備ですか?何を行うのでしょう?」

 璃々亜が首をかしげる。

「あ、分かりましたわ!トリックオアトリートと言いに来た近所のお子様たちにお菓子を配ろうというのですね?」

 ポンと、璃々亜が手を打った。

「え?いや。毎年そんなことはしていないが?」

 璃々亜がハッと口を押えた。

 そして、視線がきょろきょろとさまよったかと思えば、不安げに言葉を発する。

「あの、お、お菓子部に入部したものですから、手作りのお菓子を配れたら……いいなと、思っていまして……そ、そうですわね。今年から突然とか……」

 ふっ。

 璃々亜!

 可愛い、可愛い妹の気持ちを分からなくて済まなかった。

 そうだ。璃々亜は今年は晴れて高校生となり、麗しい制服姿で、お菓子部のホープとして輝いていたのではないか!(注*兄視点)

 おお、璃々亜よ!

 腕前をメキメキ上げて、お菓子作りを楽しんでいる璃々亜よ!

 作ったお菓子をたくさんの人に食べてほしいと言う璃々亜の願い、しかと聞き取った。

 だが、璃々亜……。兄にはあと1週間でその願いをかなえてやることはできぬのだ。

 力不足の兄を罵ってくれても構わない……そう、来年。来年は、璃々亜の願いをかなえる企画を実現して見せよう!

 企画書を作らなければ。

 必要な人材、手回し、スケジュールは……。

「そ、それで、えっと、お菓子の準備ではないとすると、ハロウィンの何を準備するのですか?」

 おっと。計画は後。

 今は一週間後に迫ったハロウィンの準備だ。

「今年は父上母上がハロウィンに帰ってくるのは聞いただろう?」

「ええ」

「ハロウィンに子供がするということと言えば」

 璃々亜が首を傾げた。

「子供……?ですか……?」

 璃々亜の想像する子供は、小さな子供なのだろうか?

 成人するまでは子供だという認識が璃々亜にはないのか?うむ。まぁ確かに、ハロウィンでお菓子をもらって回るのは高校生としてはおかしなものだ。

 ……そもそも、お菓子をもらって喜ぶ年齢を過ぎたら、参加しなくなるだけで、子供という年齢にはっきりとしたルールはないと思うんだが。

 渋谷に行けば、中身が子供、見た目は大人な人がいっぱい集まっていたとテレビでも報道していた。

 つまり、璃々亜も私も、年齢的にも子供なので、何の問題もないということだ。

 何が言いたいかというと、ハロウィンは全力で璃々亜と遂行しなければならない。

「まだ成人していないから子供だよ。それに両親から見れば、立場としても子供だからね」

「ああ、確かに、両親から見れば私たちはずっと子供ですね」

 ふふふと可愛く璃々亜が笑う。

「だから、子どもがすることといえば、コスプレだろう?」

 璃々亜の目がキラキラと輝き、頬が紅潮。

「コ、コ、コスプレですか?」

 そして、ごくりと唾を飲み込んだ。

 何だろう?この過剰反応は。

 これは、あれだ。

 小さな時にも見た。

 お姫様のドレスを前に目を輝かせていた、あの小さな璃々亜と同じ顔だ。

 ……そう、キツイ化粧をし始めた璃々亜が決して見せなかった、昔の素直な璃々亜と同じ顔。

「えっと、あの、コ、コ、コスプレというのは、どういう……どういうものを……」

 璃々亜がもじもじしている。

 小さな子供のようにお姫様の恰好がしたいと言い出せないでいるのだろうか?

 可愛い璃々亜。

「好きなものを選べばいいよ。本当はオーダーメイドで作ってもらうといいのだが、ハロウィンまで日がないからね」

「オーダーメイドの、コ、コ、コスプレ……」

 璃々亜の目がキラキラだ。

「今回は残念ながら市販品を色々と見て回ろう」

「はい!あの、私、お兄様のコスプレも選びたいですわ!」

 何と。

 璃々亜が私のコスプレを選んでくれるらしい!

「絶対、お兄様に似合うコスプレを探し出して見せますわ!」

 璃々亜が張り切っている。

 うん。

 楽しそうだ。

 一体、私に何を選んでくれると言うのか。

「では、行こうか」

 と、演劇衣装などを販売している店に足を運ぶと、璃々亜が肩を落とした。

「ち、違う……コスプレ違う……」

 と、何やらぶつぶちつ言っている。

 璃々亜の思い描く衣装がどうやら無かったらしい。

 お姫様のドレスも置いてあるんだけどな?



昨日ぶり!読んでくれてありがとう。

兄視点ハロウィン準備編。

ええ、兄視点でも、璃々亜の脳内駄々洩れですよね……。


コ、コ、コ、コ、コスプレー!


ふふふふ。璃々亜視点ハロウィンも、頭の中にはばばぁーんと浮かんでいるけれど、ご想像にお任せいたします。

あ、兄が着せられたのは、都キャプテン的な何かです。ついでに嘉久も合流して、京様的な何かを着せられましたことを報告しておきます。

璃々亜幸せで鼻血だしました。脳内フォルダーいっぱいです。

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