閑話 おかあちゃま視点
閑話でして、本編にはあまり関係ございません。
「うわぁ、おかあちゃまきれい。おひめちゃまみたい」
小さな私の宝物。
いつの間にはお話ができるようになった娘。
パーティーに出かける準備をしていると、目を輝かせて私を見ている。
化粧をして、いつもより豪華なドレスを身に着ける。
……海外の企業の社長夫人主催のパーティーだ。日本とはちがって、まるで舞踏会のような本格的なパーティーを催すので有名だ。
そんな時は、フリルやレース、ビジューや宝石、リボンや花、いろいろと飾られたドレスを身に着ける。
確かに、普段の日本での生活では、結婚式くらいしかドレスは見ない。
こうして、家でドレスを着るような生活をしている人はどれくらいいるのか……。
「そうね、ドレスなんて、お姫様くらいしか着たの見ないわよね」
と、娘の璃々亜にドレスがよく見えるようにスカートを広げて見せた。
「どれすがおひめちゃまじゃないのよ。おかあちゃまがおひめあまなの。きれいだから、おひめちゃまなの」
にこっと笑う璃々亜。
なんてかわいらしいのかしら!
天使よ、天使!
私が姫なら、娘はまごうことなき天使!
「わたちも、おかあちゃまみたいになれりゅかな……」
ドレスにしわが付くのも構わず、小さな娘をぎゅっと抱きしめる。
「なれるわ。だって、こんなにかわいいんですもの!私よりも、ずっと素敵なお姫様になれるわよ!」
天使でい続けてくれてもいいんだけれど……。
璃々亜がお姫様になりたいというのならば、全力でこの母は協力するわ!
お姫様といえば……。
そう、ドレスよ。
今、私が来ているのはイブニングドレス。
小さな璃々亜にはきらきら光ってスカートが動くとふんわりするから、それだけでお姫様に見えるのかもしれないけれど……。
違うのよ、璃々亜。
お姫様というのはね、お姫様というのは……。
ふんわりしたスカートに、ふりふりとレースがはためくようなドレスじゃないと。
早速ショッピングに出かけなければ。
っと、今は招待されたパーティーへ行くために準備をしていたところだったわね。
ああ、パーティーなんか行かずに璃々亜のために買い物に行きたいのに。仕方がない。これも仕事の一つといえばそうなのだから……。
「おかあちゃまは、ぶとーかいにいくのね。くつをおとしてきちゃだめなのよ」
璃々亜の頭の中では、絵本のシンデレラもお姫様なのかしら。
ふふふ。
「分かったわ。教えてくれてありがとうね」
「うん、ちょれからね、りんごをたべちゃだめなのよ?」
あら、今度は白雪姫なの。
「大丈夫よ。だって、私よりも、璃々亜のほうがかわいいもの。鏡に尋ねたら、私じゃなくて璃々亜が世界一って答えると思うわ」
璃々亜のおでこにちゅっと唇を落とす。
「じゃぁ、まじょはりりあのところにくるの?」
璃々亜が泣きそうな顔になった。
かわいいって言う部分じゃなくて、魔女が来るというところに引っかかったのね。
「大丈夫よ。璃々亜のことはお兄様が守ってくれるわよ」
「おにいちゃまが、りりあをまもってくれりゅの?ほんとう?」
「そうよ」
「おにいちゃまにきいてくりゅ。まじょにかてるかどうか」
よいしょと椅子から後ろ向きに降りた璃々亜が、背伸びをしてドアを開いて部屋を出て行った。
かわいい天使。
私の璃々亜。
きっと、あなたの望みをかなえてお姫様にしてあげる。
本物のプリンセスは無理でも、誰からもお姫様のようだと言われるように……。
ご覧いただきありがとうございます。
璃々亜ママが洋装フェチ(主にフリフリ)なのは、ここが起点でございます。




