閑話 弟と生徒会
メールが届いた。
姉から、メールが届いた。
「今日はネズニーシーに行くことになりました」
確か、ネズニーランドへ行ったばかりだったはず。
もしかして、姉はネズニー好き?
学校でもらった優先チケットで行くってことだよね?
「優先チケット、必要ならあげるよ」
僕は……。
一緒に行きたいと思う人なんていない。
家族は、娯楽に関する時間など無駄だというタイプの人間だ。だから、僕が漫画やアニメを見ているのにも厳しい。
小さなころに、家族旅行として連れられた場所は、科学館だったり産業博物館だったりと、純粋な娯楽ではなく勉強も兼ねた場所ばかりだ。
花見といえば、造幣局だった。どこまで金が好きなんだと、親ながらあきれたものだ。
だが、それでも、忙しい両親にどこにも連れて行ってもらえないクラスメイトもいた。
どこかへ連れて行ってくれるんだから、いい親なんだと思っていたころもあった。
だが、違った。僕が漫画を好きになってから親の態度は一変した。
顔を合わせれば、否定の言葉ばかりを口にする。そのうち、顔を見ることもなくなり、家族でどこかへ行くことはなくなった。
それが中学のころの話だ。
ずいぶんともめたが、家の中だけであれば、漫画やアニメやゲームを見てもよいと親も折れた。
高校に行かない、就職して家を出て働いて、自分のお金で好きなものを見たり買ったりすると言い続けたからだ。
恥ずかしいから絶対に誰にもばれるなと、それから成績を落とすなと、条件付きでオタクルームを手に入れた。
……。だが、それだけだ。
親と和解したわけではない。
親が、仕事やお金が好きで好きでたまらないように、僕は僕の好きなものがある。それをなぜ認めてくれようとしないのか……。
優先チケットの使い道見本はなぜか漫画からの抜粋だ。
読んだことのある漫画もあれば、読んだことのない漫画もあった。
しかし、この資料を作ったのは生徒会のはずだ。
生徒会の仕事は、漫画を読むことも含まれているのだろうか?
それとも、生徒会の役員に漫画が好きな人間がいるのだろうか?
……友達になれるだろうか?
生徒会など、絶対に入るつもりなどなかったけれど……。
もし、生徒会の仕事として漫画を読む必要があるというのなら……なんと素晴らしいことなのだろう。
鳳凰学園全体で漫画をいろいろと資料として用い、成果を上げ続けたらどうなるだろう。
親も、漫画の価値を見直すようになるだろうか?
……さすがに、伝統ある鳳凰学園と真っ向から対立するほど親もバカではない。
うちが、いくら日本でも1,2を争うほどの家だと言おうと、多勢に無勢という言葉がある。
鳳凰学園に通う家の皆が手を組めば、さすがにひとたまりもない。
いいや、そんなことにならなくとも、少しでも損になるようなことを親はしないだろう。
……生徒会か……。
いつ、生徒会選挙があっただろうか?
今の生徒会役員は……誰だったか?
まったく興味がなくて、よく覚えていないが……。もし、漫画好きなメンバーがいるのなら、お近づきになりたいものだ。
……それに、姉は、僕が生徒会にはいれば、僕のことを学校で見てくれるよね。
一方的になるけれど、生徒会役員として壇上に立てば、学校のどこかで姉が僕を見てくれる……。
ああ、いいかもしれない。
そうだよ。
そうだ!
少女漫画でもてる男といえば、生徒会役員じゃないか!
どの少女漫画雑誌にも、できる男、いい男として生徒会役員が描かれ、ヒロインがあこがれるというのがあるじゃないか!
小学生が読むような、「りぼく」や「ちゃう」や「なかよれ」。
中学生が読むような、「マーガレッツ」にも「ベツコミュ」にも「フレンズ」にも……。
少しオタク寄りの、「花と星」や「LaLaa」だってそうだ。
ちょいとマニアよりの、「プリンス」だってそうだろ?
……生徒会役員はモテる。
間違いない。
あ、いや、もてたいわけじゃない。
むしろ、今でも十分、周りの女子はうっとおしい。
気持ち悪い。
いなくなってほしい。
でも、姉が……。
姉が僕のことを見てくれるなら。
姉が、生徒会役員をあこがれを持ってみてくれるかもしれないと……妄想できるのなら……。
悪くないかもしれない。
生徒会役員への立候補を考えてみようかな。
いつもご覧いただきありがとうございます。
感想欄で弟~!と呼ぶ声が聞こえた気がするので、閑話いれます。
うほっ!
生徒会立候補フラグか!
まさかの漫画資料からの、生徒会はモテるからの、姉に見て欲しい的な……大丈夫か!弟よ……




