第398話 兄とネズニーで苦行らしい
「じゃぁ、行こうか」
兄が手を差し出した。
何?
まさか、手をつなごうっていうんじゃあるまいな?
いやいやいや、ちょっと……。
この、おそろしいペアTシャツ来て、手をつないであるいたら、まるっきり……。
バカップルだよね。あ、いや、リア充ですね。はい。バカじゃありません。
京様と都キャプテンが着ていたら……。うん、いい!それはそれでいい!
おっと。
今問題なのは、私達だ。
「これだけの人混みだ。迷子になるといけないからな」
それはわかるんです。お兄様。
手をつないで、迷子にならないように歩くのは平気なのです。
田中くんとか弟とかと手をつないであるいたりしてるし。……ん?あれ?
芽維たんとさつきたんと手をつないで歩くとか……まだ、してなくない?
女子同士仲良く手をつないであるくとか、ありだよね? 問題ないよね?
ああ、でも、3人だと難しいか。真ん中になると両手がふさがっちゃうし……。
3人が横並びで歩いていたら、ちょっと邪魔くさいもんね。
うん、3人でいるときは手をつなぐのは諦めよう……。
「手をつなぐより……」
なんか、仲良し女子3人が仲良しアピールするいい方法はないだろうか?
……ないかなぁ。
「腕を組む……」
とか?
あ、でも、やっぱり真ん中の子は両手塞がるし、三人並びは邪魔だよなぁ。
うーむ。
「どうぞ、璃々亜」
は?
どうぞ?
んご!
兄が、腕を90度に曲げて腰に当てている。
「腕を組みたいなんて……」
はぁ?
腕を組みたい?
「そうだよな。小学生の子供じゃないんだから……迷子になるからって手をつなぐことはないよな」
兄がでれりんとした顔をしている。
いや、ちょっと待って、誰が、腕を組みたいって?
兄が、期待に満ちた目をしている。
ぐぐぐ、うぐぐぐぐ……!
どうして、どうしてこうなった!
なぜか、ペアルックで、腕を組んでネズニーシーを兄と回っております。
腕を組んで二人で歩く姿……。胸元のTシャツは、チューをするキャラクターのドアップになってしまっている……。
イチャカップルと言わずして、何と言おう……。
人の目が痛い……。
ネズニーまで来て、他人のことなど誰も気にしていないよなんて嘘だよっ!
行列に並んですることといえば……、おしゃべりかスマホだよっ!
そのおしゃべりのネタに絶対なってるっ!
ほら、あそこに並んでる若い女子たち、こっち見てる!
「うわー、見てよあそこのカップル。いくらネズニーに来たからって、あのTシャツはないよねぇ」
「見せびらかしたいんじゃない?絶対に、女のほうが彼氏に着ようって言ったんだよ」
とか言われてるに違いない……。
違う、違うんだって!
着ようっていったのは兄のほうだし!
っていうか、そもそも、カップルじゃねぇよっ!
どこからどう見ても、兄妹だろ!
「わかるー、めっちゃ彼氏かっこいいもんね!私の男だってマーキングだよね」
ぐっはっ!
そうですね。兄はそんじょそこらのイケメンとはちがいました。すんげーイケメンです。
乙女ゲームの攻略対象だもん。そりゃ、人一倍輝いている。それに引き換え、璃々亜な私は……。
悪役令嬢メイクを取り去れば、前世の私よりは何倍も可愛いけれど、ヒロイン候補な芽維たんに比べれば平凡な女子です。
「やだ。逆効果だっつぅーの。彼氏もこれでいやけがさすんじゃない?」
「ブラック歴史だよ、黒歴史!」
はい、その通りです。
ブラック歴史です。
まだ、兄が写真を撮ろうと言わないのが救いです。
ブラック歴史証拠写真など残されようものなら……。
と、脳内妄想女子会話にツッコミを入れていると、兄が爆弾を落とした。
「そうだ、璃々亜、写真を撮ろう!」
全力で拒否するっ!
誰が、ブラック歴史を残すか!
「お兄様、ではそちらに立ってくださいませ」
兄の手からスマホをうばう。
二人一緒の写真じゃなきゃ構わない。
写真が撮りたいとうのなら、いくらでもピンの写真を撮ってやるさ!わははははっ!
「せっかくだから、一緒に撮ろう」
あーーーにぃーーーーっ!
空気、よ、め!
妹の顔色、よ、め!
一緒に撮りたがってないだろう?
いつもありがとうございます(*'ω'*)
兄妹という立場を利用して、兄もやりたいほうだいですな……。
なんていうか……。
がんばれ、璃々亜……。




