閑話 田中くん独白
短めです
だめだ。
気になる女の子がいるという話じゃない。
好きだ。
僕は、白川のことが好きだ。
中学のときは、だれかを好きになるなんてお持っていなかった。
野球をしていれば幸せだし楽しい。彼女がほしいとか思ったこともない。
今も、白川とつきあいたいとか彼女になってほしいとか思っているわけではない。
ただ、もう、好き。これが、恋なんだ。
はじめは、噂と違ういい子じゃないかと思った程度だ。
それが……次第に気になり始めて、今は、はっきりと気持ちを自覚した。好きだ。
白川は、何にでも一生懸命だ。
人を見下すようなことはない。
悪いことをみてみぬふりもできないようで、庶民だからといじめられる鈴木をかばっている姿も見る。出る杭は打たれるのに、白川は、友達のために、出ることをいとわない。
いいところのお嬢様なのに、そんなそぶりはみじんにも見せない。
それどころか、何もかもが楽しいという顔をする。
僕が失礼な態度をうっかりとってしまっても責めたりしない。
……笑った顔も、照れた顔も、ぼんやりした顔も、全部が愛しい。
純粋な白川は、人を疑うようなことはない。
今日も……僕はそんな白川の純粋さにつけこんで、今度一緒にネズニーにいこうと誘ってみた。
白川は、にっこりと笑って返事をくれたけれど。
ごめんね。
みんなを待たせたくない、僕にも申し訳ないという気持ちを利用して、ごめんね。
だけど、それでも……。どんな理由でも、一緒に出かけたかったんだ。
好きだっていう気持ちを押しつけるつもりはないけれど、少しだけ、少しだけ……。
白川が困らないなら、わがままを言わせてほしいんだ。その分、僕が白川に何を返せるのかって考えてもわからないけれど。
またラーメンを食べたいというのならつれていってあげるくらいしかできない。
僕は野球バカだから、女の子が喜ぶことを知らないんだ。
中学とのときの3組のマドンナは甲子園に僕が出場することを望んでいたのだろうか?
白川も、僕が甲子園に出場したら喜んでくれるだろうか?もしそうならいいな……。
もっと、もっと、もっと、練習をがんばろう。絶対に甲子園へ行くんだ。
彼女なんて野球には不要だろうと思っていたけれど、好きな子がいると、よりいっそう励みになるなんていままで知らなかった。
ご覧いただきありがとうございます。
果たして、田中くんの株が上がるか下がるか……おろおろ




