第379話 戦隊解散の危機らしい
「おまたせー」
皆が帰ってきた。
もらったお守りは鞄の中に入れる。そういえば、私もみんなにお守り持って来たんだ。
渡すの忘れてた。
帰りでいいか?
まずは轟くんと相良さんと合流してからご飯。
何食べようかなー。
そうだ、午後から一緒できないっていつ話をすればいいかな……?
てくてくとみんなで歩いていたら、すれ違う人がこちらを睨むような目つきで見てきた。
「あいつら、一体なんなん?」
って声が聞こえてきた。
あいつらって、誰ら?
「なんであいつらは並ばずに入ってるの?ファストチケット列にすら並んでないじゃん」
私たちのことか?
「マジで?」
「あんな恰好してる集団見間違えるわけない。あいつらだよ」
ちらっと会話のヌシを見たら、すごい目でにらまれ顔をそらされた。
あー、並び疲れてイライラしてるのかな?
……としても……。
そうか。
並ばずに入る姿を見られるのまでは防げないけれど、目立たないようにすることは防げたよねぇ。
何とかジャーみたいなお揃いの色違いカラフルTシャツ着てる団体じゃ、目立ちまくるか……。
そっか。なんであいつらばっかりって思う人もそりゃいるよね……。
さっきの祖母と孫みたいに、並ぶのが辛いのに必死に並ぶ人もいるだろう……。
その横を、元気有り余ってる高校生が楽しそうに通り過ぎて入っていったら……。
「ちょっと、目立ちすぎちゃったかな?」
今の言葉が聞こえていたのか、芽維たんが苦笑する。
「楽しくてつい……考えが足りませんでしたわ」
皐月たんも困った顔になった。
「Tシャツ、脱ごうか……」
せっかくみんなでお揃いだって浮かれていた気持ちがしょんぼりする。
こそこそ楽しまないといけないのかな……。
とりあえず、あんまり目立つ服装で優先チケットを使わないほうがいい的なことを、兄には伝えておこう……。
っていうか
「あ、皆さま、実は私と田中くん、午後からは皆さまと一緒に行動できなくなりましたの」
そもそも、もう優先チケット使えないんだった。
「ええー、璃々亜さん、まさか、田中くんと、いつの間に!」
って、やめて!芽維たん!
私のさっきの勘違いを思い出させるようなこと言わないでっ!
щ(゜Д゜щ)カモーン、ホール!
穴があったら入ります!もう、穴倉なら、なんだっていい。いっそ、冬眠させておくれ。春だけど。いや、初夏か?
「ち、違うんです、実は……」
と、先ほどあった話をする。
「そう言えば、私もそろそろ疲れましたわ……」
ぼそりと相原さんがつぶやけば
「うん、十分楽しんだ」
相模くんが頷く。
「誰かいい人にもらってもらえるといいなぁ」
芽維たんの言葉に、皐月たんが並んでいる人たちに目をやった。
「じゃぁ、Tシャツは着たまま回れますね!」
合流した相良さんが嬉しそうに言えば、
「写真を撮ったり、食べたり、こうしておしゃべりしたり、アトラクションを待つ時間も楽しめる」
うん、通常営業の轟くんの言葉には食べ物関係入るよね。
「皆さま……」
なんて素敵なお友達なんだろう。
「実は私、アトラクション乗るよりも、皆でこうしてお揃いの恰好したりするほうが楽しかったんだぁ」
「分かりますわ!学校とは違う場所で、皆でいつもと違うことをするのって楽しいですわね」
うん、うん、そうだよね。
「こういうの、リア充っていうのかしら?」
と、相良さんがつぶやいた。
いや、リア充っていうのはな……と、説明しそうになって、口を紡ぐ。
そんな言葉、白川璃々亜お嬢様が知っているわけないじゃないかー。
ってなわけで、優先チケットを並ぶのが大変そうな方に譲って、午後からはみんなで普通に回ることにした。
いや、普通じゃないよね。みんなでとっても楽しく回った。
一つのポップコーンをみんなで分けて食べながら並んだり。
ちょうど来ているTシャツと同じキャラクターを見つけて写真を撮ってもらったり。
お土産用のお菓子を買って、皆で分けて食べたり。
お姫様のお城でお姫様ゴッコしたり。ふふ。なんだかノリノリで田中くんが騎士団長、轟くんが王様、相模くんが宰相になりきって「姫!」とかやってんの。うわ、みんなラノベとか読んでるのか?って一瞬びっくりしたけれど、おとぎ話的なもの……それこそネズニーアニメに出てきたそのままでした。
すいません。
騎士とか宰相とか王様とか……ラノベっていうか、中世風舞台の乙女ゲーが思い浮かびまして……。
で、女性陣5人がみんな姫なんだよ。
「姫、こちらへどうぞ」
「姫、お足もとにお気を付けください」
とか……ぷぷぷっ。
楽しい。
馬鹿なことが楽しい。
みんなも笑ってるから、もっと楽しい。
優先チケットなんてなくたって……。
楽しいっ!
……って、あれ?兄への報告にこれじゃぁ、優先チケット不要ってことになっちゃうぞ?!
ご覧いただきありがとうござる。
……田中ターンってなんだったのか……。
これは、お友達ターンだったとしか言いようがない。
そう、友達ターンです。はい。おかしい、ラーメンを食べる予定だったのにな。
どっかにそのシーン飛んでしまった……。はー。
璃々亜が一人で右往左往して終わりました。




