第362話 お姫様抱っこで撮影会らしい
ご飯というか、携帯食かじってユーキ見終わって、立ち上がるとすぐに声がかかった。
「あ、あの、写真いいですか?」
ぎょっ!
NARUKOレイヤーさんが8人くらいいた。
……えーっと、もしかして見終わるのを待っていてくれたってこと?うわー、えっと……。
みんなで写真撮るってことでいいのかな?
「は、はい」
オッケーの返事を出すと、一斉にスマホやらデジカメやらを構えられた。
あ、あれ?皆さん、NARUKOレイヤーなのに、一緒に撮影とかじゃないの?私と弟の二人を撮るの?
「姉さん」
弟が、私の後ろに回り、後ろか前に腕を回した。
「きゃーっ、いいです、すてきです」
悲鳴とともにシャッターがきられていく。
しばしそのポーズでいると、わらわらとNARUKOレイヤー以外の人もスマホやらカメラやらを構えてこちらに集まってきた。
ぐっ、人気すぎる。
NARUKOって作品の人気を改めて実感する。でもって、この弟と姉ってキャラクター、人気あるんだよなぁ。
私達二人は、事情持ちでマスクやら眼鏡やら前髪やらで顔を隠したままでしかいられないけれど……。
漫画の中では、鳴子踊りを発表する場では、マスクも眼鏡もつけてなくて、前髪もセットして顔が出るんだよね。
双子なので、似てる。
そして、美形なのだ。
実は美形みたいな設定、皆好きなんだよなー。
美形だけど、人を寄せ付けない。クールでも内には鳴子踊りに対する炎を燃やしていて。
私、こんな時どんな表情をしていいのか分からないとかいいつつ、ふっとしたところで笑顔を見せる。きゅぅーん。
誰とも打ち解けようとしないけれど、鳴子部のメンバーには次第に心を開いていく、傷ついた狼みたいな感じがきゅぅーん。
姉と弟が離れず寄り添う姿にきゅぅーん。
くっそ、なんで、姉と弟なんだろうな!
兄と弟だったら、私のセンサービュンビュンだったのになー。
くぅっ!ああ、もちろん、中には姉の男人化したBL同人誌なるものも存在するわけだが……。
だがな、なんていうかな……。違うんじゃよ。女人化には萌えても、男人化した女×男っていうのは……なんだかなぁー。
っていう、私の趣味を暴露してる場合じゃない。
弟が立ち位置を変えて、今度は私の前に回り込み、正面から私を抱きしめた。
「きゃぁーーーっ」
と、悲鳴が上がり、シャッターの降りる音が聞こえる。
弟は、サービス心が旺盛だなぁ。私も、せっかく写真を撮ってくださっている方に、楽しいポーズが撮れるといいんだけど……。
思い浮かばないなぁ。
うーん。
「はうっ!」
続いて、弟ってば、私を抱き上げた。
「きゃぁーーーっ!お姫様抱っこ!」
またもや悲鳴が上がる。私も悲鳴をあげそうだよっ!
お、お姫様抱っこって、うわー、は、恥ずかしいっ!
女の子扱いみたいで恥ずかしい!
あ、私、女の子か!いや、でも、だって、なんていうか、前世ではすでに女の子っていう年じゃなかったし、……っていうか、年齢だけの話じゃなくて、乙女活動とかなかったし。女子力低かったし。リア充から遠い場所で生きてきたし。
そんな私、お姫様抱っこなんてされたことないよっ!何、これ、めっちゃ、恥ずかしい!
あ、いや、それより、重たいでしょ?ね、重たいよね?
ごめんよ、弟。いくらポーズとはいえ、重たい女子をお姫様抱っことか……苦行でしょ。
申し訳ない。だ、ダイエット、そう、ダイエットしなくちゃ。
いや、しなくちゃと言いながら、トレーニングウェアとかコスプレにしか使ってない馬鹿者はこちらです。
ううううっ。
と、待って、今、弟は腕の力だけで私を持ち上げている。えっと確かなんかで見た。
私が腕を弟の首の後ろに回して腕にかかる体重を分散させれば、その分弟が楽になるんだよね!
てなわけで、弟側にある腕を弟の首の後ろに回す。おっと、バランスがあまりよろしくなくない。グラグラするよ。と、もう片方の手で自分の手をつかむ。
おお、背中が上がって、弟はちょっと楽になったのでは?
弟の顔の近くに顔がくる。
あれだ、具合の悪い子を運ぶお姫様抱っこじゃなくて、花嫁を抱える新郎のお姫様抱っこだ。かなり体制が違う。
……ふっ。我ながら、花嫁とか、ないわ。
と思ったけれど、弟も新郎新婦っぽい体制だなと思ったのか……。
ちゅぅーーーーっって、
ちゅうって、
マスク越しのちゅうとか……!
「うっきゃーーーーーっ」
「ひゃーっ!」
「いやー、すてきぃー!」
「あふあふあふーっ」
って、カメラ構えた腐女子たちのテンションマックス!
テンション、あ、ちょっと、ふらついてる人がいます。興奮しすぎ!
よっぽど姉×弟NLファンなんだな。
っていうか、もしかして弟は、こういう「きゃー」って声が好きで、ついついサービスしたくなっちゃう感じなの?
もう、いいだろう?
な?そろそろさ、弟も、私を抱え続けてるの重たいだろうし……。
ぽんぽんと小さく弟の肩を叩いて意思を伝える。
弟には無事に伝わったようで、降ろしてもらって、次は、弟が床に座った。
で、ももの上をポンポンと叩いてるんですが……。
はい?まさか、弟の上に座れと?
……はい、わかりました。座らせていただきます。周りの人の期待する目に逆らえず……。
ああ、しかし、いつまで続くの?と思っていたら。
「はーい、では、カウント取ります!5、4……」
と、スタッフなのか、ボランティアなのか、カウントダウンが聞こえてきた。
これ、いつまでも撮影が続く場合、カウント終了で終わりましょうっていうルールなんだよね。
レイヤーさんもポーズ続けると疲れるからねっていう配慮。
「チッ」
ん?今、舌打ちが聞こえませんでしたか?
いつもごらんいただきありがとうございます。
弟はやりたいほうだい。
まったく。
あともう少しで弟ターン終了の予定。はやくこいこい田中くん。
*名前から活動報告へ飛べるようにしばらくしてあります。戻ったあとは下部にある作者マイページからとべます。




