第360話 ちょっとオバサン思考かもしれないらしい
こらこら、18Rはダメだって何度言えば……。とはいえ……。
高校生だったころの前世の自分を思い出す。
……。
……。
「弟、欲しいの?」
1冊くらいなら見逃すか……。と思って声をかけたんだけど、弟はびっくーんと、すごく驚いたように体をこわばらせた。
「欲しいなら……」
見ないふりをしてあげるよ……って言うのも変かと、見てないよアピールをしようと、ちょいとうつむいて顔をそらした。
ぎゅーって、後ろから抱きしめられる。
むにゃっ!なんにゃの、いきにゃりっ!
「欲しい、欲しい、欲しい……」
あー。
葛藤してるのか。欲しいけど18Rだし、我慢しなくちゃって、自分の感情の持って行きどころが、あれなのね。
うん、だから、こう、そういう時、あるある。
ぬいぐるみとか布団とか、思わずぎゅーって抱きしめちゃう感じでしょ?
はいはい。落ち着こう。
「姉さんが、欲しい」
はいはい。単語が抜けてるよ。姉さんの凌辱18R同人誌が欲しいのね。
あ、単語が抜けてるんじゃなくて、口に出せないのか。凌辱18R同人誌……うん。口に出さない方がよさげだね。
「そんなに欲しいの?」
見て見ないふりをするから、買ってもいいんだよ?
「絶対、いつか手に入れる」
「うん」
そうか。
いつかなのか。……そのころまであの本売ってるかな。そのころは別のものにはまってたりしないのかな。
「その時は、覚悟して」
え?
覚悟?
なんだ?あ、まさか、ここにつながるの?18Rの本一緒に読もう的なこと言ってたけど……その覚悟?
えー……。さすがに、自分がコスプレしてるキャラの凌辱18Rはキツイなぁ……。グロ入ってたらもっといやかも(´・ω・`)。
「ごめん、あの、弟……凌辱グロはちょっと……」
「大事にする」
「大事に一人で読んでくれるってこと?」
弟の腕が離れた。
「一人で?何の話を姉さんはしてるの?」
「え?あの本が欲しいんじゃないの?私はちょっと凌辱系は一緒に読んであげられないと思うから……その、年齢的にオッケーになったとしても」
弟の首がぐるりんと回って、本に向けられた。それから、18R姉凌辱本を手にしてパラパラとめくり、すぐに戻した。
「行こう、姉さん」
「え?」
不機嫌な声。
何?えっと、えーっと?
「いらないの?18Rだけど、その、……弟がどうしても欲しいというなら……」
「いらない。あんなゴミくず」
えーっ!
作った人に今の発言は失礼でしょーっ!
「あんな……くっそっ、思い出したくもないっ!」
んー、何?逆にどんな内容だったのか教えて欲しいわ!そこまで憤るなんて……。あ、姉本と見せかけて、実は弟本?
双子だし……。弟女体本……。うーん、弟のコスプレしてる立場からすれば、ちょっと見たくないかもねぇ。
しばらく他の本を見ているうちに、弟の怒りは収まったようだ。
「姉さんは、もう買わないの?」
「あんまり一度に買っても読めないし、弟に預かってもらうにしてもそんなにたくさんは……」
弟が、はーっとため息を一つついた。
「一人暮らししようかな……。そうしたら、姉さんに合鍵渡して、いつでも好きな時に同人誌読みに来られるようになったら嬉しい?」
「一人暮らしは大変だよ?」
前世では一人暮らしだったからよくわかる。いいこともあるけど悪いこともある。同人誌が読みたいからというような軽い気持ちじゃ無理じゃないかなぁ。しかも、家事とか全くしたことのない男子高生じゃぁ。
「オタクを馬鹿にするような親の元にいるよりずっとましだ!」
……オタクを馬鹿にする親か。
オタクに理解のない親……。
まぁ、しゃぁないよ。BLとか見てたらびっくりする親いっぱいいるだろうし。
テレビやなんかで露出しまくりのコスプレイヤーとか見たらコスプレにも反対したくなるだろうし。
漫画描いてばかりで勉強がおろそかになったら叱りたくもなるだろうし。
寝る時間も惜しんでゲームしてたら、取り上げたくもなるのも分かる。
だってね、親は、保護者なんだもん。
自己責任で好きなようにしろなんて言えないんだから……。
オタク活動がすべて悪いわけじゃない。だから頭ごなしに反対されたら反発もしたくなるだろうけど……。
少なからず悪影響があるってオタク活動もいっぱいあるのも事実だし。
コスプレだって、露出しなくたって、悪いカメコに騙されてやばい写真撮られる中学生とかいるし。
アイドルレイヤーにあこがれて「撮影会のモデルになって」って言われてホイホイついてっちゃう中学生レイヤーいっぱいいるからね……。怖い怖い。
おっと、なんかずれてきた。えーっと……。
つまりね、自己責任だと言えるような年齢になるまでは、ある程度は親がオタク活動禁止にするのも仕方ないかなぁって思う。全面禁止は辛いけど、アニメや漫画を見るのはオッケー、イベント会場への出入り禁止は、まぁ、あと3年我慢するか、こうして親に隠れてこっそり……。
親元離れて、好きなようにやりたいなら……やっぱり、自己責任……っていうか、少なくとも……。
「弟は、自分でお金稼いだことないでしょ?一人暮らしにはお金がかかるよ?」
親に反発して家を出るなら、親に頼って暮らすのは違うような気がする。
それに、やっぱり、心配が干渉につながっているならば、まずは心配させないように成長しなければ……。
ご覧いただきありがとうございます。
お、弟の脳内と、璃々亜の脳内のすれ違い具合が……|д゜)
少しだけまじめな話。
まともな親じゃない場合は逃げることも大切です。
相談してください。相談した先がまったくあてにならないことも残念ながらあります。1カ所だけではなく、色々と相談してみてください。
言ったけれど何も変わらなかったと諦めないで!全国にはきっとあなたを助けてくれる手があるから!
子供のSOSの相談窓口
↑文科省のページにいくつか載っています。見てみましたが、SOSぎりぎりの子に電話番号が見つけにくい書き方していて、なんだこれと思ったので、ここに書くべきか分かりませんが
24時間子供SOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
子どもの人権110番(フリーダイヤル0120-007-110)
児童相談所全国共通ダイヤル「189」(いちはやく)という3桁の番号になります
チャイルドライン(0120-99-7777)*フリーダイヤルは通話料がかかりません。携帯電話や公衆電話からも無料でかけられます。公衆電話でかけるときは、最初にお金を入れて下さい。通話が終わると戻ってきます。
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