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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第337話 タイムリミットは5時らしい

 当初の予定通り、手土産用の金平糖を買う。

 箱に詰めた詰め合わせだと、値段的にちょっと合わなかった。箱を3つも4つも手渡すとか、逆に引かれてしまうため、小分けの袋になっているものを選んで購入。それを籠に綺麗に詰めてもらうことにした。

 うん。かわいい金平糖。かわいい籠に入れて、さらにかわいくリボンをつけてもらいました。わーい。

 ……。だ、大丈夫だよね?逆に可愛すぎて手土産としてどうなの?って思っちゃったんだけど。

「つまらないものですが」とか言って手渡すにしては、派手すぎやしないだろうか?

 ……。まぁいいや。そこは、現役のJKなので、許してもらおう。

 ほら、OLが取引先に持っていく品とかじゃないし。うん、大丈夫……な、はず。

 それから、お友達へのお土産用。箱入りのセットのやつね。あと、自分へのご褒美用。もりっと買う。こっちは、小袋入りのをそのまま。

 嘉久は……手ぶらだった。

 えーっ、あんなに試食したのに、買わないとか、お前は、それでも紳士ですかっ!

 ……あ、うん、まだ男子高校生だったね。1ヶ月ほど前は中学生か。

 なら、仕方がない。

 ……いや、だめだろっ!スーパーで試食しまくってなんにも買わない小学生男子か!

「璃々亜も、明日必要のないものは配送頼んだらどうだ?」

 ふえ?

 配送?

「送り先はこちらでよろしかったでしょうか?」

「ああ。ほら、璃々亜。一緒に送ってもらおう」

 は、配送ですか、はいそうですか。

 すまん。

 嘉久よ。

 買ったんだな。……その、店員さんの横に詰まれている大量の箱は、買った奴なんだな……。

「ずいぶんたくさんお買いになりましたのね?」

「ああ。じいちゃんに頼まれた分があるからな」

 お爺様に……?

「あと、頼まれてはないが、新作も出ていたから買っておいた。この店のファンなんだよ」

 へー。そうなんだ。もしかして、あの試食もお爺様に新作を食べさせてあげようと味を確かめていたとか?

「ああ、璃々亜の荷物も一緒に送ると、じいちゃんが間違えて食べちゃうかもしれないな。璃々亜のは白川家あてに送った方がいいか」

「では、こちらにご住所とお名前を」

 ふえ?

 どちらに、住所を?

 ……住所なんて、知らないよっ。

 くっ。しまった。

 名前はもう間違えないけれど……。住所は無理。覚えてない。なんたる深く。

 冷や汗たらり。

「ああ、住所は番地違いで、ここが5になるだけ。名前は」

 と、嘉久がテキパキと店員さんとやりとりしてくれた。

 ありがとう嘉久。

 なんだか、輝いて見えるよ!


 さて。京都の最大の目的は終わった。

 時計はまだ2時半。

「嘉久様、そういえば、今日は何時の新幹線に乗る予定でしたでしょうか?」

 きっと、新幹線のチケットは買ってあるだろうと思って尋ねてみる。

「ああ、当初の予定では、5時だ」

 5時?

 家に着くのが8時過ぎか……。

「夕飯のご予定は?」

「ああ、ちょうど駅ビルの百貨店で北海道フェアで海鮮弁当が売っているそうだから、新幹線の中で弁当をと思っていた」

 ぬおお、まさかの、北海道フェアでもって、海鮮弁当!

 はー、なんて贅沢な駅弁でしょう!

 っていうことは、4時には京都駅にいた方がいいわけで。あと1時間半か。なんだか微妙な時間だなぁ。

 清水寺、移動も含めて1時間半で回れるかなぁ。


 ……回れるわけ、ないってのっ!

 原因?そんなの、決まってる。

 店の前の木箱の中を覗き込んでいる人がいるので、何だろうと、隙間から見る。

 木箱に開けられたガラス窓から見える中には、無数の蜂がいた。

「うわぁ、嘉久様、見てくださいませ。ハチミツ専門店がございますわ!」

 オレンジのハチミツ。桜のハチミツ。花ごとに、ハチミツの色が全然違って面白い。

 ハチミツにも試食があった。逆さまにして出す容器に入ったハチミツを、ヨーグルトなどを食べるときの小さなプラスチックスプーンに少し出して試食。

 ふわっ。

 ハチミツの独特の甘さ。つーんとした感じに、ふんわりと花のかおりがする。これ、何のハチミツ?おお、いろんな花のハチミツなんだ。へー。

 次は、色の妙に黒いハチミツ。

 うぐっ。何、この臭い。味は……さほど癖はない。だけれど、臭いがすごく癖が強い……。なんていうか、牧場みたいな臭いが……。

「馬ふんだな」

 おい、嘉久、私が牧場みたいだと濁したのに!言ってはならぬ一言を!

 と、気になるハチミツを3つほど試食して、気に入ったものを購入!

 嘉久は馬ふんの臭いだと行っていたものを買っている。おまえ……その臭い、好きなのか?

「うわぁ、かわいいっ!」

 店頭に並ぶちりめん布で作られたかわいい小物の数々。

 見るでしょう、そりゃ、見るよね?

「璃々亜は、どういうのが好きなんだ?」

 と、嘉久も一緒に見てくれている。女子の買い物は長いんだよなーって退屈そうな顔されるかと思ったけど、そうじゃなかった。ありがとう、嘉久。

「うーん、どれもかわいいですわ。友達の芽衣さんは、淡いピンクが似合いそうかしら。皐月さんには、黒字に藤色の花が似合いそうですわ」

 おっと、つい。嘉久にヒロイン候補情報を渡してしまった。

 私から話を聞いて、興味を持ったとかそういうパターンになってしまったら、自業自得……。むぐっ。口をつぐまねばっ!

「璃々亜には、これが似合いそうだな」

 嘉久の手には、クリーム色メインで、水色と白でちょうちょが描かれた布の巾着があった。

 へ?私、そんなふんわりしたイメージ?

 首をきょとんと傾げる。

いつもありがとうございます。

えー、のんびり買い物です。

二人の仲が進んだかなぁ?

……微妙だ。

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