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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第321話 人込みらしい

 おっと、いけない。

 釘だけさしておかなければ。

「嘉久様、どちらへ連れていってくれるのかは存じませんが、楽しみにしておりますわ」

 予定は任せる。が、しかし……。

「ただ、手土産を買って、おいしいものを食べて、京都らしい場所を1、2ヶ所回れたら素敵ですわね」

 いいか、嘉久よ、1、2ヶ所だからな?

 お寺を全制覇してやるっ!とかは勘弁してくれ!マジ付き合いきれないからっ!

 朱印とか集めはじめたら……と考えると……。京都どころか、日本全国津々浦々、神社仏閣行ったり来たり……。

 本来の目的の、参拝やらなんやら関係なく、朱印~!\(☆□☆)/ってなりそうだ……。

「京都らしい場所……か……」

 嘉久がうーんと考えはじめた。

 あ、まって、京都らしい場所は、1、2ヶ所っていうとこがポイントなだけで、有名所でいいから!悩まないで。

 そこはほら、グルメ番長として、もう一つ前の言葉でなやむべきことあったよね?「おいしいもの食べて」っていうそこよ、そこ!

 ……それとも、グルメ番長は、悩むまでもなくおいしい店の一つや二つ、どの都道府県に行こうともすぐに思い浮かぶとでもいうのか!

 そうなのか?

 そうなんだな、嘉久!

「期待していますわ!嘉久様」

 どんなおいしいものを食べさせてくれるんだろう……ふふふ。

 やばい、未知なるおいしさを想像しただけで、よだれが。

「お、おう、期待、うん、期待に添えるように……京都らしい、人込み観光名所を……」

 嘉久、だから、観光名所じゃなくて、私の期待は、おいしいもの!

 っていうか、なんだ、人込み観光名所って!

 人がいっぱいいる場所イコール、満足する観光地ってわけじゃないからね?

 もうちょっと、こう、ちょうど60年に一度だけ御開帳するとか、なんていうか知らなかったら損する的なとこでもいいんだけどね?

 まぁいいや。京都でご馳走食べて、明日のための素敵な手土産買って。

 なんとなく京都っぽい小路なんかすこし歩くだけでも十分。

 はっ!

 しかも、……京都って、京都って……。

 もう、その土地ってだけで、京様×都キャプテンファン、いわゆる京都派には聖地なんじゃないの?

 やだ、どうしましょう。聖地にいって、「今後も京様×都キャプテンが仲良く過ごせますように」とかお祈りしたほうがいいのかしら?

 他にも、京×都ファンが退去して押し寄せてたりしない?

 耳をすませば、そこかしこから、京様とか都キャプテンとかのうふ腐な会話が聞こえて来るとか……。ああ、だったら、人が多い場所のほうが、聖地巡業してる人と遭遇する可能性が高いんじゃない?

 きゃっは!めっちゃ楽しみ!

「嘉久様、素敵な人混みがあるといいですわね!」

 できれば、腐女子の人混み希望。

「え?あ……そ、そうだな……」

 義久の目が泳ぐ。

 ?どうした?

「義久、分かってるだろうな?」

 兄が、挙動不審の義久に強い口調で話しかける。

「ああ、分かってるよ、分かってるっ!」

 嘉久がいたずらが見つかった子供のような顔をして兄に答えた。

 何が分かってるんだ。

 私にはわからぬ。

「私も、行きたかったよ、りりあ……」

 そうか、そうか。都キャプテンボイスの兄も、京×都の聖地たる京都へ行きたかったのか。

 でも待って、聖地巡業に来ている腐女子たちに、もし兄と嘉久が会話している声を聞かれたら……。

 きっと、血が流れるわ!

 聖地まで来るような熱狂的なファンだもの。

 うっかり、兄と嘉久が「一緒に来られてよかった」「そうだね。日帰りじゃなくて、今度は泊まりで来たいな」なんて会話をして、それを腐女子が耳にしたりなんかしたら……。

 間違いない。屍累々だ。鼻血噴いて倒れるにちがいない。

「お兄様は、来ないほうがよろしいですわ」

 との私の忠告を、兄が私からの拒否と受けとったようで、ショックを受けた顔をしている。

 あ、ごめん。違うって。

 京都に嘉久と兄が一緒にいるのが危険って意味だから!

「お兄様と旅行をするなら……もう少しゆっくりできるところがよろしいと思いますわ」

 腐女子が耳をダンボにしない場所ね。周りで血を吹き出して倒れる人がいない場所ね。

「そ、そうか。私と行くなら、日帰りではなく泊まりで旅行したいのか」

 と、兄がなんだかめんどくさい予定を立てそうになったので、さっさと退散することにする。

「では、私、明日の準備を致しますので失礼いたしますわ」

 日帰り旅行に対して準備なんかないけどさー。


 自室に戻り、スマホを開く。

 メールチェックをすると、料亭娘さんからメールが届いていた。

 むっはー、早速、図書委員の連絡網が活用されてる!わーい。

 うれしいな。メールだ。

 なになに「試食会の件、両親とも感謝しております」から始まり、簡単な板前さんの紹介などがかかれていた。それから、アレルギーや苦手な食べ物などあれば教えてほしいって書いてある。

 私は当然、なんでもおいしくいただきまーす!ふっふっふ。

「アレルギーはございません。得に苦手なものもありません。お気遣いありがとうございます。楽しみにしておりますわ」送信っと。

 おっと、それから、料亭娘さん以外の、明後日行くメンバーにメールメール。

 明後日の手土産を連名で渡すところまでは話あってるんだよね。一人当たりの予算は、三千円。料亭で試食会という名前ではあるものの、ご馳走になるのだから、もう少し出すべきかどうかって話も出たんだけど、気を使わせてしまっては元も子もないということで、その金額に決まった。人数がいるから、手土産としては結構な額にはなるんだけど……。

「持っていく手土産ですが、明日、京都に行った折に緑寿庵青水の金平糖を買ってこようかと思いますが、どうでしょうか?」

 返信を待つ間に、次のメールチェック。

 弟から。


ご覧いただきありがとうございます。


人込み、人混み、ちょいと混乱しております。申し訳ありません。


さて、嘉久ですが……人込みで、璃々亜と自然に接触……できますかねぇ……。

嘉久だし……(´・ω・`)

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