第35話 パソコン部があるらしい
1階はすべて演劇部だった。衣裳部屋道具部屋に練習部屋。
練習部屋を覗くと、V字腹筋しながら発声練習してた。文化部?やってることは運動部にしか見えません。はい、消えた。
2階は、科学部、天文部、数学部、ロボット部と、理系の部活が並んでいる。それからパソコン部
「パソコン部ですか?少し見学してもよろしいですか?」
芽維たんと皐月たんに断りを入れて入室する。
パソコンですよ、パソコン!
部活といいながら、ゲームとかインターネットとかしてるんでしょ?にしし。
パソコンゲーム、ゲームゥ。
部屋には大きなモニターが十数台並び、タワー型パソコンがどーんと置かれている。
うわー、なんか、重たいオンラインゲームもさくさく動きそう!性能のよいグラフィックボードなんて当然入ってるわよね~。
ニヤニヤしながら、部屋の中へ。
部活中の生徒は3人。印象に残らない眼鏡くんがそれぞれモニターを前にカタカタやっていた。大丈夫、モブ顔だ。
そして、オタク顔だー。うわー、なんだろう、この安心感。仲間、仲間。オタ仲間。
あー、漫研はあったとしても璃々亜としての世間体とかいろいろ合ってどうせ入部できないんだし、パソコン部に決めちゃおうかなぁ。
何のゲームやってるのかな?と、モニターを覗き込むと、画面が黒い。
ん?起動中?
でも、さっきからキーボードめちゃくちゃカタカタしてますよね?
もう少し近づいてみると、白いアルファベットが高速で打ち込まれている。
ん?
白黒のタイピングゲームか何か?
「このゲームは何ですの?」
と、真剣にゲームと向き合っている眼鏡くん1号に声を掛ける。
「え?ああ、失礼しました。見学ですね?少し見ただけでゲームだって分かりました?すばらしい!」
だって、どう見たってネットサーフィンしているようには見えないよね?
眼鏡くん1号の言葉に、同じようにモニターを覗いていた芽維たんも口を開く。
「すごいね、璃々亜さん。私は、C言語かしら?と思ったくらいで、何をプログラミングしているかまでは、分からなかったよ」
はい?
C言語?ナニソレ。
プログラミング?何の料理?
眼鏡くん2号が椅子を立った。
「C言語だと分かるだけでも立派なものですよ!」
眼鏡くん2号に皐月たんが賛同する。
私も、うんうんと大きく心の中でうなづく。
そうだよね。C言語とかわかんないよね?何それ、何それ、何それだよね?
皐月たん、同志!
「本当ですわ。私は、コマンドプロンプトを開いていることしか分かりませんでしたもの」
皐月たん、裏切ったな……。
コマンドプランクトンって何?
眼鏡くん3号が立ち上がる。
「コマンドプロンプトを知っているとは、すばらしい!」
コマンドープロテイン?
筋肉映画か!
眼鏡くんトリオが「どうぞどうぞ、ゆっくり見ていってください」と椅子を勧めてくれた。
カタカタカタカタ。
カタカタカタカタカタカタ。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ。
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ。
えーいっ!見てられるかっての!
ゲームはゲームでも、とんだ罰ゲームじゃないかー!私の言うゲームは、ゲームは
「どんなゲームを作っているんですか?」
芽維たんが、お目々をキラキラさせて、眼鏡くん1号に尋ねた。
眼鏡くん1号は、画面から目を離さずに、短く答える。
「弾幕系です」
弾幕?ナニソレ?
RPGやパズルは聞いたことあるけど、弾幕って?
「シューティングゲームですか?」
芽維たんには何か分かったようだ。ほうほう、シューティングゲームなら分かるよ。戦闘機とかが飛んでてミサイル撃って敵を倒すやつでしょ。
「そう、今僕たちは、南方プロジェクトのような弾幕シューティングを作っているんだ」
作る?
ハッ!そうか、そうなのか!
パソコン部って……ゲームで遊ぶんじゃなくて、ゲームを作るのか!プログラミングって、ゲームのことか!あれだ、プログラミングといえば
「バグ」
そう、バグが出て修正パッチとか、オンラインゲームで運営から時々アナウンスされるあれか!
「え?あ、本当だ、このままじゃバグになるところだった!」
眼鏡くん1号が、キーを叩く手を止めて画面を凝視。
「どれ?ああ、ここか、よく見つけられたなぁ」
と、眼鏡くん2号3号が1号のモニターを覗き込んだ。
「すごいです、璃々亜さん、あのスピードで流れている画面でよく分かりましたね」
え?
いや、全然画面なんて見てないんだけど。
「流石ですわ。お兄様も、色々なアプリを開発しているという噂ですし、兄妹揃って優秀なプログラマーなのですわね」
はいいい?
全然違います、誤解です!
って、皐月さん、兄情報も色々お持ちですね。
「ぜひ、我が部に入部を!」
眼鏡くんトリオが声をそろえてこちらを見ている。
むー、りー、
「か、考えておきますわ。あの、私たち、まだ他にも見学させていただきたいところがございますので……」
すちゃっと立ち上がり、さっと背をむけ、すっとドアを開いて逃げ出した。
あー、びっくりした。
せっかく、インターネットとかできると思ったのに。とんだ的外れだよ!
どうせ作るなら、BLゲームにしてくれればいいのに。
プログラミングはできないけど、アドバイスは任せてほしい。
ぐふぐふぐふ。
そうだなぁ、声優として、京様ボイスの嘉久と、都キャプテンボイスの兄に出演してもらえば、馬鹿売れ間違いないと思う。
ああ、でもBLゲームの声優なんて頼めないよなぁ。
隠し撮りか?
うん、隠し撮りしかない!
日々二人の会話を録音し、美味しいところをチョイスすれば……。
ああ、早速、また腕相撲してもらおうかしら。ぐふ、ぐふ、ぐふ腐。
まさかのパソコン部見学でーす。
眼鏡トリオはお気に入りです。
なんていうか、イケメンキャラより頭の中にビジュアルが浮かんで動き回っております。
何気ない璃々亜の発言を勝手に受け取り突き進んでおります。
弾幕系って分かるかな?




