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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第36話 皐月たんは、茶道部に決めたらしい

 3階に上がる。エレベーターを降りると、玄関ホールがあり、上履きを脱いで、スリッパに履き替えてあがるようになっている。

 修学旅行とかでとまる旅館みたいな感じ。スリッパがいっぱい並んでいるあの感じ。

 上履きからさらにスリッパって?

 首を傾げつつ、その先を見ると、理由が分かった。

 廊下が、1階2階のグレーのじゅうたん張りと違い、フローリングになってる。そして、部室のドアが、旅館みたいに木の引き戸。

 引き戸を開けると、これまた旅館みたいに、スリッパを脱ぐ場所があり、その先の障子を開けると、旅館の和室のような部屋がある。

 畳に、障子に襖。旅館と違うのは、廊下側にも内障子の窓があるってことだ。今日は見学者のために、障子が開けられ、廊下から中が見えるようになっている。

 囲碁部、将棋部、カルタ部、書道部、華道部、琴部、日本舞踊部、茶道部と、和室で行う部が並んでいる。

 他の一年生も、それぞれ興味のある部を窓の外から見たり、実際に部室に入って参加したりしている。

 私たちも、窓の外から活動を見学しながら廊下を進んでいく。

 

 囲碁。ちょっと昔、囲碁漫画がブームになったよねぇ。BLうまうま漫画だったが、あいにく、私の触手……じゃない食指は動かなかったでござる。

 囲碁部に続いて将棋部も、攻略対象になりそうな人間はいなさそう。カルタ部の部室の前には、大量の女性徒がいる。これは、攻略対象になりそうな要注意人物がいそうだと、なるべく窓から離れてこそこそと通り過ぎる。

 かかわりになる気はない!

 書道部は大きな筆を持って迫力の書を書いていた。体力要りそうだな。

「うわぁ、かっこいいね!」

 と、芽維たんが反応を示す。

 書道部か。

 改めて、メンバーの顔を見る。

 攻略対象いなさそう。芽維たんが入部するというなら、私も書道を始めようかな。部活ボッチいやだし。

 それにしても、日本舞踊は分かるよ。茶道や華道や琴も分からないではないが……。将棋も囲碁もカルタも書道も、このフロア、着物がデフォですか!

 女性徒のみならず男子生徒もみぃんな着物。

「うわぁ、囲碁部は単着物に羽織、将棋部は羽織袴、書道部は野袴だし、カルタ部は武道袴なんだぁ。すごぉい」

 うわぁ、芽維たん、どこから仕入れた知識でしょう、何故、男子の着物の種類なんてそんなに詳しいの?

 呉服屋?

「あの方は、大島紬ですわね。あちらの先輩は加賀友禅かしら?あら……まさか、あちらの先輩がお召しの着物は、人間国宝羽山様の鴛鴦?すばらしいですわ」

 あわわっ。別の方向で、皐月たんが着物知識を披露しているぅぅぅ。

 呉服屋?

 って、医者の娘だよ!……真っ直ぐな艶やかな黒髪に着物にあいそうだね、皐月たん。呉服屋に嫁いだらいいんじゃないかな?

 遠い目。


 皐月たんが入部を希望しているという茶道部。

 3人で部屋にお邪魔してお茶を立ててもらった。

 作法知らないので、皐月たんの見よう見まね。芽維たんもそんな感じ。

 感想?


 正座が辛い。

 お茶は苦い。

 和菓子うまー。


 皐月たんは、流派も希望していた通りだったので、茶道部への入部するそうだ。

「お二人もご一緒しませんか?」

 というお誘いに

「浴衣くらいしか着物持ってないから、私は遠慮します……。和菓子は魅力的だけど」

 と、私の心の中を代弁するかのような台詞で、芽維たんは断っていた。

 着物は、璃々亜は持ってるけどね。


 ……。和装フェチの父親が、てぐすね引いて着物を用意しまくる未来が容易に想像できます。

 ……。

 着物ばっかり着てずるいっ!って母親が対抗心をめらめら燃やして洋装準備する姿も……。

 着せ替え人形になった私と、カメラマンになった兄の姿……。3日後には、スタジオ部屋ができてそうです……。

 

 全力で遠慮します!


 和菓子は魅力的だけどねぇ~。和菓子、美味しかったな。


「か、考えておきますわ。他の部活も見てから、決めたいと思います」

 と、パソコン部のお誘い同様、遠まわしにお断りする。

「でも、こんなに部活がたくさんあるから、部員の数は少ないねぇ」

 芽維たんがぼそっとつぶやく。ああ、確かに。

 運動部は適当にしか見てないから分からないけど、文化部はどの部室もせいぜい5人程度しか部員の姿がない。

「掛け持ちでいくつも皆様入部なさっていますから、今日のようにすべての部が活動する日はどうしても少なくなりますわね」

「掛け持ち?え?いっぱい選んでいいの?」

「ええ、噂では、月曜に華道部、火曜に茶道部、水曜に書道部、木曜に天文部、金曜に料理部というように、週に1日の部活動を組み合わせることができるそうですわ」

 皐月たんは相変わらずの情報通だ。

「ええ?基本的にどの部も週に1回しかないの?」

「いいえ。基本的には毎日ありますけれど、先生をお呼びした全体練習日が週に1日だけなのですわ。あとの曜日は参加したりしなかったりですね。もちろん、演劇部のように、毎日練習に参加しなければならず、掛け持ちが難しい部活もあるようですわ」

 皐月たんの説明は続く。

 なるほど、なるほど。

 いろんな部活を掛け持ちできるのって楽しそうだなぁ。

 漫研と、文芸部と、現代視覚文化研究部と……あるかな?

 いや、まてまてまて、活動範囲を広げるイコール、攻略対象キャラとの接触の可能性が広がり危険……。

 ヒロインだって、まだ芽維たんに確定してるわけじゃないし。

 私は、厳選して部活を1つ。多くても2つに絞らねばならぬのじゃっ!


 4階。

 吹奏楽部、筝曲部、合唱部、和太鼓部、音楽部。

 防音ルームが並んでいた。えーっと、音楽系の部活が並んでるけど、軽音ないの?

 5階。

 英会話部、フランス語部、ドイツ語部、海外文化研究部、民族学部、商業部、法律部。

 はぁ。そうなの。


 食指……じゃない触手が動かない部が並んでるわ。ん?あれ?

 漫研まだー?


こんばんは。今日も読んでくれてありがとうございます。

なぜか、部活選びに何話もかかるという謎。

次は、最後に波乱の予感が・・・・。資格?

*感想欄の指摘を受け念のため、少し修正しました

食指が動く(正しい言葉)

触手が動く(同人的造語)


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