第297話 ついに漫画購入らしい
「弟は、オタクでしょ?」
いくらモデルっぽいっていったって、中身はがちがちのオタクじゃん?
そうだったと言わんばかりに、弟がおもいっきり頷いた。
うわっ、漫画タワーが傾くっ!
とっさに手を伸ばして、支える。指先が、弟の手に触れた。
「姉さん……ありがとう」
「ううん、もともと私の荷物だし……」
「こんなに漫画買ってどうするの?家には、持って帰れないんじゃない?」
あ、そうだった。ついついいっぱい積み上げちゃったけれど……。
「そこのカフェで読んで、古本屋へ売るつもりだったの。2~3冊だけ持って帰ろうかと思ってるんだけど」
15冊も買ったら、一体読み終わるまでにどれだけかかるんだっ!
1冊10分~15分として3時間~4時間。
やだっ!「バスケの玉子様」をそんな10分ほどで読み流すなんてできない!丁寧に読むんだっ!腐妄想しながらにまにま楽しむんだっ!って、そんなことしてたら、読み終わらない!
「すこし、戻して来ようかな……」
15冊は無理だ。10冊、いや……「バスケの玉子様」と「NARUKO」だけにするべきか……。ぐぬぬぅぅ。
「預かろうか?僕の家は漫画は大丈夫だから。さすがに出版社潰すなんてしないから」
「読みたくなったら、連絡くれれば持っていくから」
えーっと、預かってもらえるのも、持ってきてもらえるのもうれしい。
だけど……。
「いいの?」
「もちろんだよ」
へへへ。そうと決まれば、BLコーナーも……って、ダメだ。
さすがに、いくら漫画オッケーな家でも男子高校生がBL漫画を持っているのを親が発見したら卒倒しちゃうよね?
大手出版社ならまだしも、BL発行してる出版社は小さな会社もある。本当かどうかわからないけれど、弟の家がなんらかの圧力かけて潰しちゃったらたまったもんじゃない。
ただでさえ、廃刊休刊倒産の多い業界なんだもん……。大好きな作家様の活躍の場を奪わないで!
というわけで、今日は……いや、今日も我慢。
いいんだ。とりあえず、妄想元である漫画はいくつか入手したし。これで一月は生きていけるはずなの。
兄と義久のボイスもあるし。
てなわけで、15冊レジに持っていってお会計。
「あ、これ……」
弟が私の財布につけられた地球ガラスのストラップを見た。
「使ってくれてるんだね」
「もちろんだよ。友達も綺麗だねって褒めてくれたんだ。あ、でも男子はカッコイイって思うみたいだね」
その一言で、弟が固まった。
ん?なんでかな?
「だ……ん……しって、男?」
弟、男子といえば男に決まっているだろう?あ、もしかして妄想男子なのか、現実の男なのかって話?
「クラスメートの男子が、カッコイイねそれって。どこで売ってるのって聞かれたんだ」
弟がちょっとむっとしたような声で「ふぅーん」って返事をする。
もしかして、あんまり広まっちゃうと希少価値がなくなって嫌なのかな?
あるよね、そういうの。
「どこで買ったんですの?」
「ああ、これは日本ではまだ販売しておりませんのよ、先日フランスへ行った折にお父様に買っていただきましたの」
「まぁ羨ましいですわ。日本では手に入らないんですわね」
っていう、手に入りにくい希少さに価値を追い求める感じの。だったら大丈夫だよ。
「大丈夫だよ。どこで買ったかは教えてないから。っていうか、オタクを内緒にしてる限り、イベント関係の話なんてできないし」
弟はいまだにちょいとむっとしたまま。
「クラスメートの男と会話したんだ……」
会話?
「この世界でオタクな会話できるのは、弟一人だけだよ」
「僕、一人?」
「うん。好きな漫画の話も、コミケの話も、コスプレのことも、オタクな話ができるのは、世界で弟だけ」
そのうちもっといっぱいオタ友達というか、腐親友作りたいけど……。一人暮らし始めるまでは無理だよねぇ……。
あれ?一人暮らし始めたとしても、白川家のお嬢様がBL好きっていうのは許されるの?会社の体面に傷がつくとかそういうの大丈夫?
確か、SNSで話題になったことあったけど……。飲食店の店員がSNSにペットの蛇の写真を載せていて「飲食店の従業員が蛇触った手で調理してるかと思うと気持ち悪い」って話題になって、アルバイトやめる羽目になったとか……。
顧客商売って本当に難しいんだよね。
いやいや、それだけじゃない。
小学校教諭が、幼女主人公な同人誌を所持してただけでも大問題だ。健全な内容であっても、幼女愛好家の烙印ポン。
あ、そうそう、ショタも問題なんだよね。少年愛好家の烙印ポンな女教師に安心して子供を預けられるか?って言われれば……。
完全なる2次元愛好家は、現実の少年少女にはまるっきり興味ない人がほとんどなんだけどなぁ……ってのは、世間では理解されない。本当にごく一部の危ない人がいるせいで、十把ひとからげだからねぇ。
つまり、趣味が仕事に悪影響するっていうのはある話で。
父親が会社を経営してるかぎり、娘も会社への影響を考慮しなくちゃいけないよねぇ……しょぼーん。足を引っ張り合う世界だと、些細な事で炎上とかないわけじゃないもん。
あれ?私、この先BLとかかわることできるの?
え?
もしかして、ずっとイベント行くなら変装必須?
一人暮らししても、部屋にやばいもの堂々とおいておけない?
……。
大丈夫、きっと。一人暮らししたら、誰の目も気にせずインターネットとかも使えるようになるだろうし……。わざわざ盗聴だの盗撮だのそんな犯罪行為をしてまで、私個人の情報を入手する人なんていないよね?
いくら父親の会社のライバル会社とかでも、父親の身辺を洗うくらいなことはするかもしれないけど。
「僕だけ……
弟は、店員から手渡されたどっさり漫画の入った袋を持ってくれた。
きっと何か方法あるよ。私一人じゃないし。
うん、同じような境遇の二人で相談すれば何かいい方法見つかるかもしれないし。
「弟、これからも二人で未来の話も含めて考えようね!」
ドサッ。
いつもありがとうございます。
まだまだ弟は璃々亜に振り回されておりまする。
弟の暴走はこの後!……どれくらいあとなのかはわからないけど。
にゃはー。とある漫画の影響受けまして、書きたいシーンがあるのです。ぐふぐふ。




