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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第294話 レア絵柄らしい

 振り向くと、見知らぬ女子が立っていた。

 えーっと?

 視線は私に向いている。

 姉?

 あ、もしかして、私が手にしてるペットボトル?

 目の前の女子は、20歳前後だろうか。やぼったい眼鏡に、何の加工もしていない、ただ伸ばしただけのセミロングを背中で一本結び。

 あんまり色味のない流行に左右されない単純な形の服装。

 そして、手に持っているのは……アニメなお店の袋っ!一見すればただの黒いビニールの袋だけど、小さく袋の下に刻印されたマークはアニメなお店のマークっ。

 ま、間違いない!

 目の前の女子は仲間だ!

 あ、いや。オタクっていう意味で仲間ね。オタクにも種類がいっぱいいるからさ。

 BL好きと、BL無し派。描く人、書く人、読む人、買う人、集める人……。

 コスプレする人、作る人、売る人、撮る人、着る人、男装する人、着ぐるみの人、女装の人……。

 細分化すればきりがないので、とりあえず、今仲間というのは「オタク」っていう一点のみね。

 ……そう考えると、みっきゅんと私って運命的な出会いだったんだなぁ。

 オタクで、お互いにBL好きで、しかも好きになる作品やカップリングでもめることなんて全然なかったもん。

「だよねー、そうだよねーっ!」

「わかるぅーっ!マジでわかるーっ!」

 みたいなやりとりいっぱいしたもん。

 おっと、なんだか今日はみっきゅんのことよく思い出すなぁ……。秋葉原に来たからかな?

 女子は、じぃーっと私をまだ見ている。

 な、なに?これは、運命の出会い?

 ここで話しかけたら、みっきゅんみたいな友達になれるってこと?

「あ、姉ですよね?」

 ん?

 小さな声で女子が口を開いた。

 手に持っているペットボトルには確かに弟と一緒に姉の絵が描かれている。

「そうですよ」

 ペットボトルを持つ手の位置を少し変えて、姉が描かれているところを露出して見えやすくしてあげた。

「うわー、本当に、姉なんですね!」

 な、なに、このテンション?

 女子は感激したように上ずった声を上げる。もしかして、絵柄5種類あっても、この姉と弟の絵柄は「レア柄」なんだろうか?

 それを見て興奮してるとか?気持ちはわかるよっ!

 私も「バスケの王子様」のレア柄すごくほしくてほしくて、何件もコンビニはしごして探したことあったもんっ。

 缶コーヒーだったんだけどさ……。

 だって、レア柄、京様と都キャプテンのツーショットなんだよっ!どう考えたって、腐女子ターゲットにした戦略でしょう?って思っても、その戦略にまんまと踊らされるのが、私たちなんだよっ!ほしいものはほしいんだ!

 中には、まだ開封されてない箱入りの缶コーヒーを通販で何箱も買って、32箱目でやっと手に入れた!とい強者もいた。一箱30本入りだから、毎日飲んでも32か月かかるとか、缶コーヒーの画像がブログにアップされてたなぁ……。

 もしかして、この姉と弟柄のペットボトルはそういうレアもの?

 えーっと、私は特にファンってわけでもないから……。

 ほしいのだったら、譲ってもいいけど……。

 そう思って、そっとペットボトルを持っている手を差し出した。

 女子は、ぱぁーっとうれしそうな顔をして、手を伸ばしてきた。

 お金は払ってね?上げるわけじゃないよ?と思ったら、女子はペットボトルは受け取らずに、私の手を上から包み込むように両手でつかんで

「頑張ってください!」

 と力強く言って、手を放した。

 え?

 どういうこと?と思ってきょとーんとしてると、さっさと女子は去って行ってしまった。

 何?今の……。

 頑張る?何を?

 ま、まさか!悪役令嬢の璃々亜になって、破滅回避をしないといけないのを知っている?それで、応援を?

 ……ってことは、今の女子も転生した子?それとも、神様側の人間?……な、わけは、無いよねぇ?

 うーん。

 考えてもわからないので、とりあえずペットボトルを開けてスポーツドリンクごくごく。

 マスクを顎の方にずらさないと飲めないので不便。

 ぷはー。

 喉が相当渇いてたのよね。一気に4分の3ほど飲んじゃった。

 よし。準備万端です!さぁ、秋葉原よ、お待たせ!

 あー、幸せ。

 右を見ても左を見ても、二次元な看板が目に入ってくるわ。ホームに来た感がすごい。

 私の知っている秋葉原と、どこが違うのかよくわかんないけど、あれこれいろいろ違うんだろうなぁ。少しずつ。

「あ、」

 通路が狭くて、いろいろと細かいものがごちゃっと置いてある店。

 ロッカーというか、学校の下駄箱というか、30センチ四方に区切られた棚スペースを貸し出すタイプの店だ。同人誌委託販売系は、お店側が人気作家に声かけて品をそろえるけれど、スペースレンタル形式の店は、弱小サークルでもスペースを借りて秋葉原で同人誌を売ることができる。

 地方作家さんとか、普段のイベントでは目にできない掘り出し物同人誌を見つけたりできるんだよね!

 棚に並べられた同人誌を見ていく。おや?

 最近は、30センチ四方の棚に収まるだけの同人誌を置くだけじゃないんだね。グッズも置いてある。

 そうか、グッズサークルも増えたしなぁ。

 うお、木でできたスマホケースだ。音ゲーのキャラが焼き印で押されてる?え?焼き印をわざわざ作ったの?あ、焼き印に見える印刷か。

 でも、木のスマホケースなんておしゃれだねぇ。……萌えキャラじゃなければ普通にかっこいい。さすがに、今の璃々亜じゃ萌えキャラは持ち歩けない……。

「うわぁ!ここに売ってたんだぁ!」

 棚の一つに、宇宙が詰まったガラスのストラップがあった。

 やっぱり、綺麗だなぁ。

 私の持っている、地球に、土星とか月とかいろいろな種類がある。

 そうだ!

 田中くんが、すごく羨ましそうに私のストラップ見てたよね?田中くんに、プレゼントしよう!今日もうどんおごってもらったし。

 ちょうどいいや。うん。

 田中くんが喜んでくれる顔を想像して、思わず顔がほころんだ。


いつもありがとうございますです。

連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。

閑話と連休はさんで、弟の登場をお待ちになった方もいらっしゃったかもしれませんが、見知らぬ女子でした。そして、地球ガラスのフラグはどうなるのかっ!

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