表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

333/565

第285話 神保町は古書店街らしい

「この後どうしようか?」

 時計を見ると、まだ10時半。

 田中くんは神保町を12時半ごろ出ればいいって言ってたから、11時半ごろからごはんを食べればいいんだよね。

 あと1時間かぁ。

 歩きながらどうしようか考えてたら、目に映ったのは……本屋。

 そして、また本屋。

 やっぱり本屋。

 あ!ここ、神保町じゃんっ!スポーツ用品店街っていうのは全然知らなかったけど……神保町って、元々「古書店街」が有名だよね!

 本の街神保町だよっ!

 目をキランと輝かせて古書店を見ていたら、あっさり田中くんに見つかった。

「ああ、そういえば、白川も本が好きだったよな。じゃぁ、見ていい?実はさっきからちょっと気になってたんだよね」

 ん?

 あっ!

 そういえば、田中くん、読書が好きだから図書委員になったって言ってた!

 すっかり忘れてたっ!脳筋じゃないスポーツマンだぁとか思ったりしたけど、それどころか……文学スポーツマンだった!

「どの書店にしますか?」

「んー、これだけあると迷うね」

 外からいくつかの古書店を覗く。あんまり歴史的価値がありそうな本が並んでいる店や漫画ばかりの店を通り過ぎる。

 あああーー、漫画ぁ~!漫画ぁ~!

 うううっ。おっと。

 あんまり名残推しそうに見てたら、田中くんにバレる、それはダメ。

「何見てるんだ?」

 ぐえっ!

 ば、ば、ば、バレた!

 にゃーっ!

「え、えっと、アレを……!」

 漫画がいっぱいの古書店の隣の店を指さす。

 ああ、勢いで指さしちゃったけど、春画とか扱ってたりしないよね!

「え?白川、あれが気になるの?」

 田中くんがびっくりした顔をする。

 やばっ、指さす方向間違えたか!

「見てみようか」

 と、近づいていく。そこには店先に「ご自由にお持ちください」と書かれた紙と、箱にはいった数十冊の本が入っていた。その隣には、1冊10円の箱に、50円の箱に100円の箱。

「ご自由に?」

 商売する気あるのかな?と思って箱の中の本を見る。

 うん。汚い。

 カバーがないのは当たり前。水たまりにでも落としたのか、水で膨張してたりとか、落書きがひどかったりとか……。確かに売れないよなぁって本たち。

 10円になると、少しマシ。

 ……っていうか、これって……。

 かろうじてカバーがかかっているところが、無料のものと違う。

 でも、そのかろうじてかかっているカバーも、破れたあとがある。

 破れているんじゃない、破れたあと。修復してあるのだ。修復するくらい大切な本を古書店に売った?

 他の本を手に取る。

 やはり、破れた箇所が丁寧に修復してある。

 もしかして……、売った人じゃなくて、お店の人が修復したの?

 別の本を手に取ると、背表紙に違和感を感じた。え?

 何だろう、この違和感。

 背ののどの部分をじーっと見る。

 あ……。本の色があせているのに、背の糊の色が綺麗すぎるんだ。だから違和感を感じた。もしかして、この本もばらけてしまった物を修復してる?

 よく見ないと全然分からない。

「いいよ、持って行け」

 え?

 本を凝視していたら、声が掛けられた。

 店の入り口に、一人のおじさんが立っている。

「そっちの箱のも、気にいったんなら持って行っていいよ」

 と、10円の箱を指さしている。

 どうやら、この店の店主らしい。

「いえ、ちゃんとお金を払いますよ」

 と、田中くんが律儀に財布を出そうとする。

 待て待て、私のために財布を出すな!

 さらに言わせてもらえば、別に今手にしている『グソクムシのパーティーへようこそ』って本がほしいわけじゃないからっ!

「持って行ってくれて構わないよ。元々、売れるような状態の本じゃないんだから。買い取りで持ち込まれた本だけどね、他の本屋じゃ売れないものは引き取った後古紙回収業者い売り払ってるよ。だけど、俺はね、本が大好きだからね、裁断されて再生紙にされちゃうって考えるとどうしても心が痛んで。だから、せめて本好きの誰かの手にもう一度渡るといいなと思ってそうして置いているんだ。だから、好きなだけ持って行け」

 と、店主が熱い胸の奥を語った。

 うん、うん、分かる!

 本の形をしたものを、捨てるのってすごく心が痛むよね。雑誌ならまだしも、単行本や文庫本は……。捨てるに捨てられない。

 誰かにもらってもらえるなら貰い手探すし、そうじゃなければ古本屋。

 ……でも、そうかぁ、古本屋から捨てられちゃうことあるんだ……。うううっ、それ聞いちゃったら、古本屋にも持っていきにくいよぅっ!

 あ、そうだ!今度からこの古書店に持ってこよう!

 ……でも、漫画は引き取ってもらえそうにないかな……。

「少しでも、誰かの手に取ってもらえるように修復もしてるんですね……」

 そこまでして、本の寿命を延ばしてあげようなんて……ううう。

「無料でも破れた本は引き取り手が見つからりにくいからな」

 はははと薄く笑う店主。

「でも、ずいぶん手間ですよね?」

「元々、希少本などの修復もしてるからな。そのついでに作業してるからそれほど手間じゃないし、店番だけしてても時間が過ぎるのが遅くてなぁ」

 希少本の修復?

「あの、修復した希少本を見せてもらってもいいですか?」


ごらんいただきありがとうございます。

えー、田中ターンと思わせといての、本屋ターンでして……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ