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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第249話 兄のカレーにはあれが足りないらしい

いつもありがとうございます。

たまには兄ターンを!と入れてみたが、全然兄の良さを引き出すことができなかった……。

「カレーの材料だよ。あとは、カレー粉」

 ちょっと待って、何で卵を買いに来て、カレーの話になるの?

「いや、カレー粉じゃなくて、カレーのルーだったな」

 そんなんどっちでもいいし。

 いや、よくない。簡単に味の調節ができるのはカレールーだ。カレー粉だともう少し他に入れないといけない。確か、バターと小麦粉。ちょっとめんどくさかったはずだ。

 っていうか、ニンジンと玉ねぎとジャガイモって、足りてないよ、足りてない。

「お兄様、お肉は?」

 兄は、楽しそうに、こうのたまった。

「バイトで生活してるんだ。節約しなくちゃいけないから、お肉は我慢だよ」

 って、なんじゃいっ!映画の話か!

 映画好きな兄、完全に脳味噌が映画色だ。

 もどってこーい!

 はー、まさか、兄にこんな面があろうとは。

「璃々亜と二人で、そんな生活も楽しそうだね」

 兄がニコッと微笑む。

 ……。

 オタク活動封印された上、バイトに明け暮れ、節約生活?

 けっ。

 だれが、そんな生活するもんかっ!

 もしバイトで生計立てなくちゃいけないっていうなら、好きにさせてもらう!

 一人で暮らすさ!

 そうすれば、少なくともアニメは見放題!お金がなくて同人誌は買えないかもしれないけど……。

 ネットにアップされてる画像や2次小説をむふふで読んで我慢するっ!

 そうだ、バイトは本屋かアニメショップでする!

 そんで、オタ友達作って、一緒にきゃーっって生活するんだ!

 ああ、何だかそれもいいかも。

「お兄様、白川家は破産しないでしょうか?」

 兄が、私の肩に手を置いた。

 きゃーっ、うらやましすーっ!って周りの女性の目が、目が、痛い。

「大丈夫だよ、璃々亜。白川家は私が守るから。もし、何かあっても……白川家と縁を切って生活できるだけの個人資産もあるしな」

 ぎゅっと、肩に回された手に力が入った。

「お兄様……」

 璃々亜のこと、大切なんだね。

 兄として、妹を守ろうとしてくれる。

 いや、だが、断る!

 白川家に何かあったら、私は一人暮らしさせてもらう!

 もう、4畳半一間、風呂無トイレ共同でも構わないさ!

 テレビとインターネットさえできればね!


 ……。

 あれ?破滅フラグ回避のために頑張ろうとしてたけど、もしかして、回避する必要ない?

 中世っぽい世界じゃないし。

 ほぼ現代日本だから、破滅って言っても、処刑とか国外追放とかないよね?

 せいぜい、落ちぶれコース。

 落ちぶれたって、元々庶民だし、全然平気。

 ……ああ、待って。

 甘いよね。

 悪役令嬢ざまぁでスッキリする設定であれば、そんな甘っちょろい破滅で終わるわけがない。

 借金背負って水商売とか、薬漬けな挙句、気がつけば東京湾に浮いてるとか……。

 自殺コースもあるだろうし、無実の罪で投獄とかもありそう。年齢的には少年院なんだろうか?

 中世とは逆に、現代社会ならではのネットで拡散、世界中どこへ行っても顔が広がり石を投げつけられる可能性だって……。

 ぎゃーっ。マジ怖い。

 やばすぎる。

 やっぱり破滅フラグは全力回避の方向で!

「あ、お兄様、卵がありましたわ!」

 さくっと買い物終わって帰ろう。

「おや、何種類かあるみたいだね」

 うん。そうだよ。

 練習用だから、一番安いのでオッケでしょ。

 サイズは、M。お菓子などのレシピに乗っている「卵を1個」とかMサイズ基準なんだって。

 だから、Lだとちょっと多くなるし、Sだと少し足りない。

「それだけでいいのか?」

 10個入りの卵をカゴに入れると、兄が聞いてきた。

 ……。

 まさか、兄、卵を割る練習でもすると思っているんじゃあるまいな?

 私は泡立てる練習なわけ。

 1回2個分の卵白を使うとして、10個あれば5回も練習できちゃうんだからね!それ以上やったら、腕がもげる!

 上手な人なら、10分程度で泡立て完了するが、私は修行の身。まだ20分くらいかかるんだよ?20分でも、腕がちぎれそうなくらい痛いというのに……。

「ええ。卵はこれだけで足りますわ。もし、また必要になれば買いに来るだけですから」

「そうか。また一緒に買いに来ればいいな」

 兄よぉ、次は一人で来るから~。

 また映画ゴッコできると、嬉しそうな顔しないで欲しい。

 っていうか、むしろ、彼女とか作って仲良くスーパーに行ってください。

 庶民な彼女をつくれば、スーパーも仲良く行けると思うよ!

 ん?

 兄の夢が、一緒にスーパーで買い物だとすると……。

 やっぱり、芽維たんみたいな子が好みなのかな?

「他に、何か必要な物はないか?」

 カップラーメン!

 味噌ラーメンがいいな。ビックサイズの!

 ……なんて、言えるわけもなく。

 でも、兄はまだスーパーを見て回りたそうなので、卵かけご飯用の醤油を探して買うことにしました。

 お支払いは、兄がしてくれたよ。ブラックなカードで。

 ええ。ゴールドカードの上のセレブなクレジットカードですね。

 お値段、数百円なのに、ブラックなカードとか……。

 しかも、高校生とか……。

 いや、色々とあれだ。ツッコミどころ満載なんだが、この際見なかったことにしよう。レジのお姉さんの引きつった笑顔とか……。

 袋は有料だけど、卵と小さな瓶一つだから不要。

 兄が、袋をくれないのか?って顔してた。今にもお店の人に尋ねそうだったけど、有料と知っても購入しそうだから、慌てて兄の腕を引っ張る。

 1枚5円の袋まで、ブラックなカードでお支払いとか……。

 ツイートされちゃったりして笑いものだから。


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