第244話 璃々亜は絵が描けるらしい
ホームルームが終わると、今日は1、2時間目は選択授業だ。
一通り美術、音楽、書道の授業の説明も受けたので、今日は第一希望の教室へ移動することになっている。
「相原さん、ご一緒しましょう」
芽維たんたち別の教室へ移動する友達に、またねーとあいさつしてから、いざ美術室へ。
今日、授業を受けて問題がなければこのまま決定される。移動の希望があれば、移動もできる。で、来週が正式決定でそれ以降は変更不可なのね。
美術で決定するつもりだけれど……。
ただ、あれだ。
攻略対象と思えるような人間がいるなら、美術はやめる。
危険に近づくような真似はする気はない。
選択授業は、1,2,3組が合同で行い、4,5組が別の時間に合同で行うんだってさー。
つまり、私が一緒に受けるのは、1組と3組の人たちってことね。
攻略対象っぽい三笠蔵は5組だから遭遇しなくていいんだ!わーい!
で、嘉久は美術じゃないから、後は……。
教室に入ってキョロキョロ。
うん、美術っぽい顔が多いぞ!
あ、美術っぽいって何だって話だね。えーっと、まぁね?
大丈夫そう。ヒロイン候補っぽいキラキラ輝いてる子もいないし、攻略対象っぽいピカピカ光ってるのもいない。
おっけー、おっけー。
弟っぽいのは……う、分からん。
鼻から下を少し見たけど、すでに記憶があやふやだ。
明らかに違うっていうのは分かるけど、似てるようなー、似てないようなーっていう人が3人くらいいる。ううう。
ち、違うよね?ちょいと近づいて声を聴けばわかるかな……。
無謀だけど、メールしてみるか?
先生が来た。
「起立」
はっ。
3人とも姿勢が違うわ!背丈も違う!
ほっ。
大丈夫そうだ。
「じゃぁ、今日は人物スケッチしてもらおうかな」
先生が、鉛筆と紙を生徒に配布する。
うええっ、いきなりですか!
だ、大丈夫。
えっと、このスケッチを兄とか嘉久に見られなければいいんだもんね!
「じゃぁ、えーっと、そこの君、まずモデルを頼むよ」
男子生徒の一人が呼ばれる。教室の後ろ半分は、中央に椅子が一つ。それを取り囲むように椅子と板が置かれたイーゼルが配置されていた。
「普通に座ってくれればいいから。じゃぁ、他の生徒は好きな角度からスケッチしてくれ」
はわー。
顔じゃなくて全身描けってことだよね。
うううー、座った人って描くの難しくないか?で、できるだけ簡単な場所……。
そうだ、真後ろからってどうかな?
って、もうすでに人が陣取ってるよ!次に簡単なのって、正面?
もう人が……。えーっと、どうしよう。
ウロウロ。
もう、席は半分以上埋まってしまった。
相原さんが座ったので、隣に座ることにする。
えーと、デッサン、デッサンですね……。
先生が、何やらアドバイスをしている。
何々、モデルとキャンパスを行き来する目の動きを最小限にするといい?
鉛筆は力を抜いた持ち方、いきなり力を入れて濃い線を描かない方がいい?
影を意識して描くといい?
なるべく先生の言うことに忠実にデッサンを開始する。
あれ?
……。
「うわー、璃々亜様、お上手ですわね!」
2時間続けてある授業の1時間目終了のチャイムがなる。先生が休憩をとるようにと言ったので、鉛筆を置いて教室にいる人たちが席を立つ。
相原さんも、私の絵をのぞきに来た。
「え?そうかしら?」
前世では絵の才能は無かった私。
璃々亜はどうやら受験前までは絵をよく描いて賞もいっぱいもらっていたほど才能があったようだ。
……。
で、今の私は……。
うん。
こう描きたいなって頭に思い浮かべた線が描けてるんだよ!
璃々亜ってば、脳みそと手との伝達がすぐれてるのかな?!体が覚えてる?
芸術性はともかくとして、相原さんに言った「そうかしら?」は、け・ん・そ・ん!
今にも叫びたい。
私、絵が上手い!すごいぞ私!
ひゃっはーっ!
おっといけない。
心の中が、お嬢様ではなくって、世紀末でモヒカンな方みたいになっていたわ。
「相原さんのも見せていただいても?」
と、相原さんの絵を覗き込む。
はうっ!
こ、これは……。
技術的に上手いかどうかは別として……。
同じ鉛筆使ってるんだよね?
パステル使ってるわけじゃないよね?
不思議……。
いつもありがとうございます。
本日面白みのないなんかのフラグ前半です




