第236話 嘉久と田中くんらしい
お昼の時間。
食事を終えて、GWネズニーシーの計画をみんなで練る予定だったんだけど。
「先に、皆さまで話し合っていただけますか?他のクラスの図書委員の方に話がありますの」
申し訳なく思っていると、
「うん、なんか図書委員内部でいろいろ大変そうだもんねぇ~」
「私たちは、璃々亜様の味方ですわ!」
「頑張ってください」
とかなんとか、励まされたよ。
「では、参りましょう」
田中くんに声をかけ、1組から回ることにした。
あ、どうせなら2人で一緒に回らず、2クラスずつ別々に行った方が良かったかもしれない?
1組の図書委員を呼んでもらい、明日の朝の予定を伝える。
2組は私たちなので、次3組。
3組の教室の入り口に立つ。
教室の真ん中くらいに女生徒が何人か固まっていた。……あ!
その中心に嘉久が……。やっべ。
3組って嘉久のクラスかよっ!目が合った。ん?なんだよ、睨むなよっ!
他人だかんな、他人!
ふいと視線をそらし、3組の図書委員を探す。
ん?いないぞ?食堂でも行っているのかな?
どうしようか。他のクラスを回った後でまた来るか?田中くんに相談するかと顔を向けると、声が飛んできた。
「おいっ、」
嘉久の声だ。
何だよ、他人だって言ってんじゃんか!
嘉久が席を立ち私たちの方へやってくる。
いや、私たちっていうか、田中くんの正面に立ち、睨み付けてる。
「何の用だ?」
確かに、私とは他人のふりをしろとは言ったが、二人で教室を訪ねて来てるんだから、丸っきり私を無視して田中くんの前に立つとか……。
不自然だから!
もうちょっと、上手な他人のふりしようね?
っていうか、何で田中くんを威嚇してるんだよ、嘉久!
別のクラスの人間が、うちの島に何の用だ!みたいな感じになってるから!
高校って、そういう感じじゃないよね?
「3組の図書委員に用事があったのですが、いらっしゃらないようなので、また来ますわ!次のクラスに向かいましょう!」
嘉久に早口で説明して4組に向かう。
4組の図書委員は一人いたので明日のことを話す。
次に5組に向かった。
5組の教室のドアの外に立つと、須賀さん?須田さん?がやって来た。
「あら、5組に何の用ですの?まさか、K3で何をするのか、探りにいらっしゃったのかしら?ふふふ。教えて差し上げてもよろしいのよ?」
いやいや、探らないし。
あなたに用はないし。
っていうか、教えてくれるのかよ!
「まぁ、泣いてお願いするのであれば、ですけれども」
ふふんっと須磨が鼻を鳴らすと、取り巻きの2人がくすりと笑った。
「興味はありませんわ」
「え?」
「せっかくのご親切ですが、5組が何をなさろうと、全く興味はございません」
っていうか、ぶっちゃけK3とかKHT自体に興味がないんだけどね。
……今こうして、図書委員として動いてるのも……。田中くんがいるから。
たぶん、一人だったら、皆が何かするのを手伝うことはあっても、自分で何かしようとは思わないと思う。
ええ。
璃々亜はそういう女ですよ?
「なっ、5組など、眼中にないということですか!」
いや、眼中も何も、興味がないんだっての。
「ふっ。覚えていらっしゃい!来週には、私たちの取り組みが表にでるでしょう!その時に後悔しても知りませんわ!」
ふんっという擬音が聞こえてきそうな鼻息と供に、須王さんは去って行った。
おーい、聞いてるか?
興味がないんだって。覚えてらっしゃいって言われても、覚えてないから。ごめんね。
「何か、5組はすごいK3に力入れてるみたいだな……」
田中くんが唖然とした表情で須藤さんの背中を見送った。
「うわ、あっちからも睨まれてるよ」
田中くんが声を潜めた。
あっち?
私の位置からは、女生徒たちに阻まれて姿は見えない場所にいる人間に、にらまれているらしい。
くわばらくわばら。
5組の図書委員もいないなと思っていたら、ちょうど教室に戻ってくるところを廊下で捕まえて話ができた。
あとは、3組の図書委員だけだと思い、2組の教室に戻ると3組の図書委員が待っていてくれた。
ああ、3組の誰かが私たちが合いに行ったのを伝えてくれたらしい。
これで、1年のすべてのクラスの図書委員に声をかけたことになる。朝早くに出てこないといけないにもかかわらず、全員から快諾をもらった。
うわー、やる気満々ですな。
「二人はどう思う?」
教室に戻って、ネズニーシーのコース決めに参加する。
「午前中は、絶叫マシーンコースと、まったりコースと2つに分かれて行動しようかって話が出てるんだよ」
相沢くんの説明に、手元のアトラクションメモを見る。
なるほど。
歓迎会のときは、班ごとに行動することって決まりがあったけど、今回はそういうこともないもんね。
「いいんじゃありませんか?せっかくですもの。絶叫マシーンは特に待ち時間が長い人気のアトラクションですから。好きな方はたくさん乗れるチャンスですから」
うんうん。
私は……。
絶叫マシーンは、まぁ、うん、乗れないことはない。だが、あえて乗りたいとは思わないって感じなんだよね。
だから、メンバー次第で、どっちを回るか考えよう。
えーっと、相沢くん、田中くん、芽維たん、皐月たん、相良さんが絶叫マシーンコース?
轟くんと相原さんがまったりコース?
ん?この場合、轟くんと相原さんを二人にすべきか、それともしない方がいいのか……。
御覧いただき感謝です。
ついに、嘉久が敵の姿を捕らえた。にゅおーっ!




