第25話 璃々亜の財布の中身は万札がいっぱいらしい
夕食後、兄に数学を教えてもらいました。
兄にテスト順位を聞いたら、前回は8位だったそうです。学年トップじゃないんだと思ったら、全国模試の順位でした……。すごっ。
まだまだだよって、どんな謙遜ですか!全国8位ですよ?
ううう、私は学年8位でもきっと有頂天になる自信があります!目標は30位以内です!もちろん学年で30位です!
「芽維様、英語は負けませんわよ!」
「皐月さん、英語はあまり自信がありませんが、全力でがんばりますね!」
教室に入ると、皐月たんと芽維たんが教卓付近で仲良くお話していた。
「おは、ごきげんよう、芽維さん、皐月さん」
おはよーって声掛けそうになったよ。危ない危ない。
「ごきげんよう、璃々亜様」
「ごきえ、げんよう璃々亜さん」
あ、芽維たんまた噛んだ。
「今日は実力テストですわね。勉強はなさいましたか?」
勉強している人ほど「してないよー、全然」って言う質問なので、正確な返事など期待していないよ。
ただ、挨拶みたいなもんだよね?
「んー、一応、入試対策テキストを色々見直したくらいかなぁ……。璃々亜さんは?」
おや?芽維たんは意外と正直な返答をしてくれてるよね?
「兄が過去問題を用意してくださったので、それを解いた程度でしょうか」
他に、苦手な部分を兄に教えてもらったけど、そこまでの説明は要らないよね?
「まぁ!過去問ですか!それは羨ましいです。もし、よろしければ、どのような問題だったのか教えていただけませんか?」
皐月さんの目がキラッと光った。うお、実力テストに情熱傾けてるわ。
「そうですわねぇ、普通といえばよろしいかしら?一般の入試対策テキストで出題されるような問題でしたわ。難問や奇をてらった問題があったわけでもありませんし、範囲がどこかに偏っていることもございませんでしたわ」
「はー、そうなんだ。よかった」
芽維たんがほっとしたような顔を見せる。ああ、ゆるんだ表情かわゆすっ。
心配いらないよ。特待生だし、ヒロインだからきっとベスト3には入ると思うよ。と、心の中で言っておく。
「それで、一般常識の過去問題はどのようなものでしたの?」
へ?
「一般常識……」
わ、忘れてた~!
やばい!それが、私にとっては一番の問題だったんじゃないの?
ディから始まるアミューズメントパークが、ネズニーランドなんて未知の名前になってるんだよ?
似ていて比なる常識。
ああ、どうしよう。白紙答案じゃぁ、まずいよね?じゃぁ、1問も正解できないというのはどうなんだろう?
「兄からは何も教えていただけませんでしたわ」
何故、きっちり過去何年過分の実力テスト問題はそろってたのに、一般常識の問題だけは一つも無かったんだろう?
先生が皆散々だと言っていたけれど、あの兄をもってしても、散々だったのかな?それで、苦い思い出となり、問題を見たくも無いとか?
……いや、そんな小さな男ではないと思うんだけど。
だって、生徒会長であり、攻略対象だよね?
……。でも、私に「わからないから教えて」といわれても教えられないから隠したという可能性は?
……。ない……とは、言えないな。
妹にかっこ悪い姿は見せられない的シスコン発想。
そういやぁ、わざわざメイド経由で問題渡されたし。
「そうですか、では噂は本当のようですわね」
「う、噂ですか?」
ギクッ!
兄がシスコンだっていう噂がもう広がってるの?
「一般常識問題は他言無用と言う噂です。毎年、忠実に生徒が守っているため、後輩に過去問題の情報が一切漏れないという……」
あ、兄の噂じゃないのか。
って、当たり前か!
「えー、何それ、すごいね!内緒だよって言って、本当に内緒にできるんだ、皆……」
芽維たんが、ちょっとずれたところを関心を示してる。
まぁ、確かに、情報統制?すごい……けど、違う、違うんだ。今考えるべきは……
「そこまでして隠したい一般常識問題とは、いったいどのような内容なのでしょう?」
それに尽きるよね。
……。
いや、まぁ、私、それ以前の問題なんだけど。お金の単位すら分からないような人間ですから。
ん?お金?
「少し、失礼いたしますわ」
カバンを手に席を離れ、人目の無い階段裏へ。
私、財布持ってるよね?見ればいいじゃん。お金!
カバンから、薄桃色の財布を取り出す。
でかいわ!前世で二つ折りのコンパクトな財布を使っていた私からすれば、厚みのある長財布はでかすぎっ!
正面中央に、有名なブランドロゴがついてると思ったら、良く見たらCを逆さにしたような形にOが半分重なっている。前世の有名なマークはCそ逆さにした形にCが重なっていたから、微妙に違う。やっぱり商標登録問題関連のゲーム内処理?
財布を開けると、そこには見慣れたお札。
一番見慣れた千円札を一枚取り出し、裏表確かめる。
「んー、たとえどこかが違っていても、分からないなあ」
子供銀行券みたいに、ぱっとみて明らかに違うような箇所は見当たらない。
財布の中には、前世の世界と同じにしか見えないお札と硬貨が入っていた。
が、前世の私が見たことのない一万円札の“量”だった。
何、これ、今から夏コミ買出し部隊出動ですか?って金額なんですけど……。でもね、買出し部隊出動には、万札じゃなくて、千円札に両替していくのがマナーなのよ!覚えておきなさい、璃々亜。
って、前世自分が今の自分に伝授するという、謎思考。
まぁとにかく、お金は前世と同じだと分かった。同じだったのは地名とお金。
商標登録とか著作権とかなんかひっかかりそうなものは、似ているけど違う。
私の財布のブランド名分かんないけど、明らかにシャネ○に似てるし。ネズニーランドとか言ってるし。
こうなってくると、有名なハンバーガーチェーンはマクドーナルノ、コーヒーはスターバックルとかになってそうだ。
ん?もしかして……。
大好きなあれも、こっちで別物だけど、似てるやつとして存在してる?
……。ああ、そうなの?
そうなのね?
きっとそうよね?
なんていうタイトルだろう。
「バスケの王様」かな「バスケの王子君」かな。
まさか、バスケじゃなくて、テニスとかサッカーとか競技が変わってたり?
何でもいいよ、何でもいい!
テニスウェア姿の京様だってきっと素敵だもん!ああ、だけど、サッカーになったら、チームメイトの数が倍近くになっちゃうよね!どうなんの?新キャラがいるの?それとも、別々のチームだったはずのキャラが同じチームになってるとか?
やだっ!それはそれで、なんて素敵な展開!
ぐふ、ぐふ、ぐふ。妄想が!腐。
お読みいただきありがとうございます!
「バスケの王子様」がテニスになっていたら大変だよぅっ!色々と大人の事情が!
次は学食事情です。なんだか、事件が起こるようです。




