第24話 有名なアミューズメントパークっぽいのがあるらしい
この物語はフィクションであり、出てくるものが現実の何かと似ている気がしても一切関係ありません。
「お兄様は?」
「生徒会役員は、自動的にクラス委員だよ」
「そうなんですか?生徒会のお仕事大変そうですわね」
今日も生徒たちは午前中で帰ってきたというのに、兄は夕飯ぎりぎりに帰ってきた。
「今、一年生の歓迎会の準備をしているんだが、参考までに一年生として意見を聞かせてくれないか?」
1年生の歓迎会なんてあるんだ。あ、配られた年間予定表とかまだ見てないや。
「どちらがいいかな?ネズ二ーランドか、ネズニーシー」
え?
ネズニーランド?
ネズニーシー?
「えっと、それはもしや、千葉県にあるのに東京ネズニーランドと名前のついていたりする施設ですか?」
「もちろんそうだよ。浦安にあるネズニーだよ」
うわー、前世ではディから始まるあのテーマパークをさしてることは間違いないな。
ネズニーねぇ。
ディから始まる単語と、キャラクターのモチーフになったネズミが混じったような名前になってる。
でも、場所とかランドとシーがあることとか、名前意外は同じなんだ。
東京や千葉や浦安って地名は普通に同じだし……。
あれ?もしかして、版権じゃなくて、なんていうんだ、商標?なんかそういうのに引っかかるものはゲーム内で別の言葉に替えてる?
それにしても……。
歓迎会でディじゃない、ネズニーに行けるんだ!嬉しいなぁ!
「璃々亜はどっちに行きたい?」
「どっちも捨てがたいですわ……いっそ、両方じゃだめですの?」
流石に1日じゃ回りきれないから、それは無理だろうけど……。生徒ごとに好きな方を選んでいけば問題ないよね?そうすれば、友達と「どっちに行く?」と話をして盛り上がれるし。
友達と!大事なのでもう一度。
友達と!
ふふふ。ボッチじゃありませんからね!
「予算的に、二つを貸しきるのは難しいんだ」
は?
「か、か、か、貸切?」
ネズニーに行くためのバスの話?
目的地はほぼ同じ地なんだから、バスの貸切予算が大幅に増えるってことは無いですよねぇ?
「しかし、璃々亜が両方行きたいというのであれば、時間を分けて2時間ずつ貸切にできるか交渉してみるか……」
あんぐり。
「か、貸切って」
まさか、あのディじゃない、ネズミーランドを貸し切るってこと?
か、金持ち学校半端ねぇーーーっ!予算って新入生の歓迎会に一体幾ら使う気だ!
いや、まて、まてまて、
「お兄様、昨年はどうだったのですか?」
「ああ、昨年は確か夕方6時から4時間ネズニーシーを貸し切ったよ。その前の年はネズニーランドだったかな。3年くらい前は丸一日貸切ていたらしいんだが、あまり生徒たちの評判がよくなくて4時間になった」
「評判がよくない?」
夢の国を貸し切るなんてまさに夢のようなことなのに、何の不満があるんだ!
想像してみる。
並ばなくても乗れるアトラクションの数々。
幽霊が出るマンションに、私と芽維たん二人きり……こ、怖いっ!
人垣を分けなくても特等席で見られるパレード。
誰もいない場所に愛想をふりまき去っていく一団を見送る……さ、寂しい!
独り占めして一緒に写真が撮り放題のキャラクターたち。
写真が取り終わったら放置され、手持ち無沙汰でたたずむキャラクター……あ、哀愁!
ジェットコースターの一番前は当たり前。
後ろに誰もいない写真がお土産……せ、切ない!
並ぶのはいやだけど、閑散としたアミューズメントパークって楽しさ半減じゃない?
「お兄様、ネズニーランドで、アトラクション優先フリーパスのようなものは発行していただけませんの?貸切じゃなくても構いません。並ばずにアトラクションに乗れれば十分楽しめるかと」
夢のようだわぁ。
一つのアトラクションに2時間、食事の列は1時間、お土産レジに30分、トイレさえも20分待ちとか……。
あれ、一種の拷問です。
夢を餌にした巧妙な拷問……は、いいすぎか。
待ち時間にBLネタさえあれば、ぜーんぜん苦痛じゃないんだよね。うふふ。
みっきゅんとBL話しながら行ったネズ……じゃない、ディの方、楽しかったなぁ。幽霊マンション妄想とか最高だった。京×都のあとをこっそりストーキングする東とか……なぜか、鏡に写った別の顔が東とか。いつのまに、二人の間に!京×都は、幽霊そっちのけで暗がりでいちゃいちゃしそうだったから、その邪魔をしに怨霊となり魂を飛ばし……腐。
あれ?並ぶのも苦痛じゃなければ、別に優先パスもいらないよねぇ。
っていうかむしろ、並んでいる時間に、クラスメートとの親交を深められるんじゃない?
「貸切にしないと、すごい人だと思うが、それでも楽しめるだろうか?」
「大丈夫ですわ!人が多いからこそ楽しめることも世の中にはありますもの。例えば、プロ野球の試合。球場を貸しきって一人で見るよりも、何万人も入った満員のスタンドで応援したほうが絶対に楽しいと思いますわ」
私の言葉に、嘉久がうなづく。
「分かる気がするぞ。一人で食べる食事よりも、敦也兄と璃々亜と一緒に食べる食事が楽しいと、そういうことだな?」
微妙に違う。
だが、満面の笑みの嘉久に突っ込む勇気はない。
「それに、人ごみならではのこともありますわ。『迷子になるといけないから』と手を繋いだりできますし」
うん。
恋愛に人ごみは欠かせない。
満員電車で守るように壁ドン体制とか!
花火大会で、人に押されて体密着とか!
ああ、こいついい匂いするって匂いかぎ放題。だって、人ごみなんだもん。距離とれないんだもん。
男同士手を繋いでいたって、人ごみで手元なんて見えないんだよ?
ぐふふふっ。人ごみ万歳!ビバ人ごみ!わははははっ。腐
「分かった。璃々亜、貸切はやめよう」
キリッと表情を引き締め、兄が手を出した。
「学校では近づかない約束だったな。学校では」
フンッと鼻を鳴らして、嘉久が手を出した。
「そういえば、女子同士手を繋ぐのが流行ってましたね」
芽維たんと、仲良しこよし、手を繋いで歩くのも楽しみです!うふふふっ。
ん?いつの間にか、兄と嘉久が腕相撲してます。まだ、食事中ですよ?
「んぐっ……ううっ」
「くぅっ……う」
ちょ、ちょ、ちょーっ、京様がぁ!都キャプテンがぁ!
な、な、なんて声出してるんですか!(喜)
腕相撲しているのを見ないで声だけ聞いていると、もー、何してんのか、口に出して言えない妄想が……。腐。
げふんげふん。




