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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第218話 財布にまつわる事件らしい

「ご心配ありがとうございます。早ければよいというわけでもございませんので、2組はより良い案をじっくり練っておりますわ」

 皐月たんが須下さんに笑い顔を向けた。

「くすくす。良い案をじっくりですか。それはそれは」

 いかにもバカにしたように須下さんが笑う。

「5組の皆さまは、本当に余裕があるようで羨ましいですわ」

 皐月たんの言葉に、須下さん及び取り巻き2名が、にたりといやらしく笑った。

「ほーほほほっ。余裕?そうですわね。一つも案を出せない2組よりは確かに余裕がありますわ!」

 まじか!

 須下、おまえ、マジで、今……ほーほほほ笑いしたな?

 すごいな。

 リアルほーほほほ笑い、勇気があるな!

「そうでしょうね。5組の皆さまそろってピンクの財布をご購入されたとか?財布をそろえて結束を高めるおつもりか分かりませんが、余裕がありますわね」

 ふーん。

 財布をそろえてるの?

 そりゃ、まったくK3とは関係ないよね。結束が高まるのかな?財布で???

「ぐっ」

 あ、須下さん言葉に詰まった。

「しっ、失礼しますわ!」

 そして、取り巻き連れて去って行った。

「ただいまぁー」

 入れ替わるようにして芽維たん登場!

 ただいまだって。

 ふふふ。

 私たちが家族みたいな感じになってる?わーい。

「わぁ、お菓子だぁ。食べていいのかな?身体測定があるから、ここ何日かお菓子我慢してたんだぁ」

 はうっ!

 なんだか、色々ガツガツ食べてたよ、私。

 だって、昨日とか、伊勢海老が夕飯に出たんだよ?

 信じられる?食べずに我慢とかできないよね?

「ところで、今須賀さんが来てたよね?何だったの?」

「ああ、2組はK3の案がないのにお菓子を食べていて余裕ですわねと仰っていましたわ」

 芽維たんは、私おすすめのレーズンウィッチを手に取ると椅子に座った。

「そっかぁ~。んー、確かに、何もまだしてないけど……」

 芽維たんのつぶやきに、皐月たんが口を開いた。

「ですが、急いで誤った行動をしてもいけませんし。璃々亜様に頼まれた情報収集ですが、」

 あ、正確に言えば、兄ね。生徒会の手伝いのやつね。

「情報を集めれば集めるほど、1つの行動に対しても意見が分かれると分かってきましたわ。同じように動物保護の活動をしても、賛否が分かれるのですわ」

 あー、あれだよね。問題だよね。

 動物保護団体のなんとかの活動。

 鯨のあれとかでしょ?

「へぇー、そうなんだ」

「例えば、ガリガリに痩せて今にも死にそうな猫が目の前にいたとします……どうしますか?」

 ふえっ!

 猫!

 鯨じゃなくて、猫!

「野良猫にエサを与える行為を良しとする者もいれば、迷惑に思う人もいます。最後まで面倒を見られないのに中途半端に手を差し伸べる……難しい問題なのです」

「そっかぁ。そうだよね。飼ってあげられれば一番いいけど、無理なら飼い主さん探して……見つからないこともあるし……そうしたら……どうしたらいいんだろう。確かに難しいね」

 ぐぬ。確かに難しい。

「ですから、結果を想像せずに容易に行動するのも問題があると思うのです。私たち2組は、焦らず最善の方法を皆で話し合いましょう」

 と、皐月たんは笑った。

 そうだね。

「璃々亜様から頼まれた情報収集のために渡された資料ですが、色々な社会貢献の例が書かれていて大変参考になりますわ。情報は明日にはまとめてお渡しできるのではないかと、お伝えください」

 いやいや、頼んだのは、兄ね。

 そして、その資料は嘉久が漫画を読み漁ってまとめたものだから。

 くぅっ。

 本当は、私も漫画を読んで手伝うつもりだったんだよ!

 嘉久が、一人で漫画をいっぱい読んで……。

 私が読む分を残すような気づかいをしてくれなかったんだよ!

 くっそ。

 思い出しても腹立たしい!


「あら、まただわ……」

 お菓子の袋などのごみをごみ箱に捨てようとして、清掃員の声が耳に入って来た。

「本当。なんだか事件っぽくて怖いわね」

 事件?え?どういうこと?

 気になる。

 いや、本当に事件だとしたら、首を突っ込まない方がいいよね。聞かなかった。聞かなかった。

 聞かなかった。気になる。聞かなかった。気になる。

 気になる。

「とりあえず落とし物として届けておきましょう」

「私、落とし物係ですから、お任せください!」

 はうっ!

 つい、野次馬根性が勝ってしまった。

 いや、でも、落とし物係なのは本当のことだし。……っていうか、仕事全然してないけど……あはは。

「あら、じゃぁ、お願いしてもよろしいでしょうか」

 黄色い女性ものの財布を手渡された。

 長財布で、左下にブランドロゴが入ってる。うん、これも前世で知ってる有名なところのやつとちょこっと違うわね。

「耳に入ってきたのですが、事件っぽいとは?」

 私の言葉に、清掃員のおばちゃん二人はハッとして顔を見合わせた。


いつもごらんいただきありがとうございます!

ふわい。

もうお分かりの通り、事件などございませんことよ。


少しだけお知らせ。新作投稿しました。

http://ncode.syosetu.com/n9150di/

あんた誰よりも真面目な話ですが、相変わらず少し残念な主人公が人の気持ちに気が付かないでわたわたしてます。そして、キャラクターの名前を考えるのがめんどくさーっていうのがダダ分かりな仕様となっております・・・お暇な方ご覧いただけると嬉しく思います。

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