第211話 舞からのメールらしい
おかしい。
1位になったお祝いに、何かプレゼントするって話が広がっている。
弟にあげるつもりの話が、何故、嘉久や兄にも1位になったら何かプレゼントすることになってんだよっ!
しかも「もらうばかりじゃ悪い」って、完全に私が1位になることなどあり得ない前提じゃないかっ!
あ、うん。ありえないけど。
……。
でも、まぁいっか。
これだけ美味しい伊勢海老がおかげで食べられたんだし。嘉久には1位になったら、伊勢海老キーホルダーでもプレゼントしてあげよう。
グルメ番長なら、食べ物関係なら喜んでくれるだろう。
兄には……何がいいかな?
おっと、弟にあげる物の参考意見を嘉久からまだ聞き出してなかったっけ。
「嘉久様やお兄様は、どのような物をもらうと嬉しいんですの?」
兄も、まぁ弟とさほど年齢も変わらないから参考になるよね。
「璃々亜がくれるものだったら、何でも嬉しいよ」
にっこり笑う兄。
うん、参考にならなかった。
嘉久は?
と、視線を向ける。
「俺は、璃々亜のかい」「嘉久!」
ん?
嘉久の言葉を兄が遮った。
何?
私のかい?
貝?
なんじゃ?
伊勢海老じゃなくて、貝の方が好きってことか?
まさか!
璃々亜所有の阿古屋貝とかか?そんなものがあったりするのか!
伊勢海老といえば、伊勢。伊勢といえば、阿古屋貝。阿古屋貝と言えば……。
真珠!
なんと、璃々亜所有の阿古屋貝からとれる真珠を狙っているというのか!
どういうことだ?
男が真珠なんて欲しがってどうするというのだ!
じぃーっと、嘉久の顔を見ると、
「お、俺も、璃々亜がくれるものだったら、なんでも嬉しいよ」
って、白々しい言葉を吐き出した。
はい、そうですか。
まったく、全然参考にならない意見をありがとう。
仕方がない。やっぱり田中くんとか相模くんとか轟くんに尋ねよう。
……ああ、でも、轟くんからは食べ物しか出てこない気がする。
そういやぁ、伊勢って三重だよね。三重といえば
「松阪牛」
松阪牛パイっていう謎なお菓子があったよねぇ。気になる。
もぐもぐ。
少し冷めちゃったけど、おいしいわぁ。伊勢海老。
あ、嘉久の分、結局食べていいんだっけ?
遠慮なくもら……。
空っぽ~!
くっ、くっそーっ、嘉久め!
あたしの伊勢海老!
夕飯を終えて、部屋に戻る。
あ、メールが来てる。
誰だろう。
うっふっふ。友達からメールが来てるとか、もうボッチも卒業ですわね!
「舞……って、」
弟だ。
タイトル……。
んげ、何このタイトル。
『殺してやりたい』
きゃーっ、いったい何?
わ、わ、私?
私、何をした?
殺されるようなことしてないですよっ!
あ、あわわ……。
おそるおそる、メールを開いて本文を確認する。
『過去の自分を殺してやりたい。何でもっと勉強を真面目にしてなかったのか!』
あ、ああ、そういうことね。
模試があまり解けなかったのかな……?
あるよね。
あー、もっと勉強し解けばよかったって思うこと。今更悔いても仕方がないんだけど。
えっと……。
『これから頑張ればいいと思うよ?まだ受験までは時間があるんだから』
返信。
『うん。頑張る!』
速攻メールが帰って来た。
『頑張りすぎないでね。息抜きも必要だよ?』
『大丈夫。昨日の写真を見ると全然疲れないんだ』
昨日の写真……?
え?どれ?
手をつないでるやつ?
まさか、あの自撮りのあれじゃないよね?
うわー、思い出しちゃった。
マスク越しとはいえ……。あわわっ。
見てるの?
アレを、見てたりするの?ぎゃーっ。恥ずかしすぎる!
あかんっ。弟とメールのやり取りしてたら、思い出しちゃうって。おしまい。メールはおしまい!
『おやすみ』
いつもありがとうございます。
嘉久は相変わらずあわれすぎて……でも、なんか、璃々亜がすんごく落ち込んでる時に何気なく「結婚披露宴に並べる料理を一緒に世界中に探しに行こう」とか言って璃々亜と結婚決まりそうだわ。
「え?いつ結婚することに?プロポーズされた記憶がないんだけど!」的な……。
なんじゃそりゃだよね。うん、そう思う。




