第200話 おや?200話目らしい
「そうだ、璃々亜、一晩考えたんだけど……」
なんだ、嘉久め。一晩考えて、私をはめる作戦を考えたのか!
ライバルは一人でも蹴落とそうっていう、卑怯な奴め!
「プレゼントに欲しいもの」
嘉久が、照れた顔を見せる。
ん?
プレゼント?
「ああ、そういえば、璃々亜は昨日突然、嘉久に欲しい物聞いてたな。いったいどうしてだ?」
兄が、嘉久の言葉を遮るようにして言葉を発する。
おお、そうだった。
1位を取ったら、弟に何かプレゼントしてあげるって約束したから、同年代のセレブ男子が何を欲しがっているのか調査しようと、嘉久に聞いたんだった。
璃々亜(前)の本のごたごたで忘れるところだった。
「嘉久の誕生日はまだだし、私の誕生日はすでに終わっているし」
ん?兄の誕生日が終わっている?
入学式前の、4月の早いうちが誕生日ってこと?
まぁそんなことはいいや。
「いえ、誕生日やクリスマスといった、ちゃんとしたプレゼントではございませんわ。模試で1位を取ることができたら、お祝いに何かプレゼントを用意しようかと……」
「「模試で1位のお祝いに?」」
兄と嘉久が同時に大きな声を上げた。
そして、残りの朝食を掻き込み、先に失礼するよと食卓を離れていってしまった。
結局、どんなものをプレゼントすればいいのか、情報は得られず。
んー、仕方がない。
後で、田中くんとか相模くんとか、轟くんとかに聞いてみよう。
あれ?
轟くんに聞いたら、食べ物しか答えが返ってこない気がしてならない。
食べ物か。
おお、それもいいよね。
甘いの平気かな?どっか美味しいチョコレートとか探してプレゼントとかいいんじゃない?
ああ、渋いのもいいなぁ。
一度、食べてみたいと思ってたのがあるんだけど、プレゼント用と自分用と買っちゃおうかなぁ……。
伊勢海老のエビせんべい。
……。
……。
食べてみたい!
「伊勢海老~。伊勢海老~」
そういえば、エビアレルギーとかの人も世の中にはいたっけ。
後で弟にメールで、食べ物とか何かアレルギー無いか聞いてみよう。
食後にオレンジジュースを飲んでごちそうさまでした。
「おや?めずらしいですけ。敦也様が車の中で勉強とは」
送りの車で、蜂川さんが何かつぶやいたけれど、私は単語帳をめくるのに必死で、全然聞こえなかった。
「ごきげんよう、皐月さん」
「ごきげんよう、璃々亜様、これ、頼まれた物ですわ」
教室に入ると、皐月たんが何枚かの紙を手渡してくれる。
「え?もうですか?勉強は?」
「まだほんの一部です。本当に、勉強の息抜きに調べた分だけですから。いい息抜きができたので、勉強はいつもよりもはかどりましたわ」
はい?
そうなの?
パソコンで調べものとかすると、息抜きになる?
息抜きって、お茶飲んだり、漫画読んだりとかじゃないの?漫画読んで、気が付いたら2時間とか過ぎてて「やばいっ!勉強する時間が!」っていうものだよね?
……いや、それは息抜きじゃないな……。
「ごきげんよう~」
「ごきげんよう、芽維さん」
うむ。芽維たんも、もうごきげんようという言葉でかむことなくなったのね。
「芽維様はお勉強はかどりましたか?」
皐月たんの言葉に、芽維たんが右手を頭の後ろに持っていって首を傾げた。
「えへへ。どうしても解けない問題があって、それを解こうとして無駄な時間つかっちゃったぁ」
「そうでしたか。芽維様は家庭教師も塾もなかったんですわよね」
「そうなの。璃々亜さんみたいな、お兄さんもいないし……」
うん、うん、分からない問題があっても、私は兄に聞けばいいんだしね。たぶん、嘉久に聞いても教えてもらえるだろうし。
だいたい、私が分からない問題なんて、きっと芽維たんが解けない問題と、レベルが違うと思うから……。田中くんでも教えてもらえるんじゃないかなぁ。
芽維たんが逆に田中くんに教えてあげるって感じだよね。
今日受ける全国模試って、何人くらいが受けるんだろう?
私は、上位何位とかはありえないから、えーっと、30%くらいに入れたらすごいなぁって感じで、真ん中よりも上ならよしとしようくらいな目標にしておこうかな。……。
午前中の試験はあっという間に終わった。
昼休みに、芽維たん皐月たん相原さん相良さんと一緒にランチ。
午前の試験科目の、あれがどーだったとか、これがどーだったとか、難しかったとか簡単だったとか、まぁ、とにかく、話題は試験のみ。
終わった試験の話なんて、お弁当を前にすると、私にはどうでもいいので、右耳から左耳~。
「全国模試の結果って、発表されるんですか?」
ん?
相良さんの言葉に、芽維たんが食いついた。
「ええ、模試の結果には校内順位も載っていますでしょう?ですから、校内上位者は発表されますわ。校内順位の横に、カッコつきで、全国順位も載りますわ」
中等部から、鳳凰学園にいた相良さんの言葉だけに、間違いないだろう。
な、な、なんと!発表されるんだ……。
「中等部の上位常連組は、それこそ目の色を変えて勉強していると思いますわ。高等部では、芽維様みたいな特待生も入学しましたし、どうしても順位が下がってしまいがちですもの」
「ふふふ。結果が楽しみですわね。芽維さんの名前が張り出されるの」
私の可愛い芽維たんならきっとやってくれる!
ヒロインとしては、当然トップに名前が上がり、中等部までトップだった人間がヒロインの芽維たんに目をつけるってイベントが待っているわけでしょう?
ってことは、芽維たんに蹴落とされた2位とか3位の人間が、攻略対象の可能性は高いわけで。
「えへ、トップ10に入れるといいなぁ~」
うんうん。大丈夫、ヒロイン補正で1位だよ!
と、ニコニコ顔で芽維たんの顔を見れば
「あっ、トップ10って、全国順位じゃなくて、校内順位だよぉ。全国模試は、中学の時も80位が最高だったし……」
全国80位もかなりすごいと思います。
……。
あ、私と気持ちがシンクロしてる。
皐月たんも相原さんも相良さんも、口があんぐりしてるもん。
お読みいただきありがとうございます!
あれ?兄と嘉久、1位になっても、君たちには……げふんげふんっ。
おかげさまで、閑話を抜いた本編のみで200話達成です。
いやぁー、困った。なぜ、200話なのに、まだ4月なのでしょう?
……。
……。
……。
はい、気にしない、気にしない。
そのうち「あれから2年。あっという間だったなぁ」と1行で2年たったり、
「気がつけば半年が過ぎていた」と意識がなかったりすればいいんだもんね?
しかも、「いろいろあったなぁ。くっついたりわかれたり、けんかしてまたなかなおりして、そして、べつのひととつきあって」とか、想像に任せる適当な言葉を並べればいいんだ。
・・・・・そ、それができたら、どんなにいいか……。
すいません、まだ、たぶん、かなり続きます。・・・げふげふげふっ。
で、でも、短編としての落ちは考えてスタートしてあるので、落ちはあるんです。……ただ、今、いきなりその落ちを出して「終わり」としていいのか……って言えば、呪いを受けそうなので、やめときます。
今後ともよろしくお願いいたします!




