第199話 全国模試の朝らしい
って、待て待て、砂を吐いてる場合じゃない。
っていうか、本があると読んじゃう癖はやめないと!勉強だったよ、勉強。
まさかの、璃々亜(前)に試験勉強を邪魔されることがあるなんて、思いもよらなかったよ!
嘉久から返してもらった本を本棚に置いて、勉強道具を机の上に並べる。
さぁ、何の科目から始めるべきか。
とりあえず、兄からもらった過去問を2科目解く。やばい、ちょっと眠い。
先にお風呂入って明日の準備済ませよう。
はー、いいお湯だった。
今日は久しぶりにイベント行って、興奮気味に歩き回ったから疲れたなぁ。
うん、璃々亜になって何がいいかって、このふっかふかのベッド。
包まれるような寝心地。
おやすみぃ~。
あ、勉強?!
……まぁいいやぁ。
璃々亜、朝5時に起きるいい子だもん。起きてから勉強しようっと……。
おやすみぃ~。
うわーっ、昨日の璃々亜、何で寝たりしたんだ!
お前の頭では、徹夜で勉強しても足りないんだぞ!くぅーーっ。
今日の璃々亜、徹夜でも足りないんだから、睡眠不足で頭の働きが悪くなると徹夜が逆効果になるでしょう?たっぷり睡眠が正解なんですよ?
おお、なるほど。そこまで考えていたんだな、昨日の璃々亜。
そうですよ。さぁ、今日の璃々亜、限りある時間でできるだけ勉強するのですよ……って、脳内璃々亜、うるさい!
えっと、昨日の続き。
あー、もう、科目搾ろう。今更あがいたって無理だ。総合得点とかそういうの捨てた。
えっと、そう、大学は文系に進むつもりだから、理系科目は捨てる。国語、英語、社会。よし、頑張るぞっと。
「今日はロゼッタのパニーニか」
はい?
ロゼッタって、どこの誰ですか?
兄の視線は、食卓に並ぶ朝食に向いている。
ってことは、どれかがロゼッタって名前なわけ?やっばい。アニメのキャラクターしか思い浮かばないんですけど……。
「何度見てもこれ、バラの形には見えないよなぁ」
嘉久が、ぼこぼこのあるパンを指さした。ああ、このパンがロゼッタっていうのか。
パニーニってのは確か具材をはさんだパンだから、ロゼッタっていうパンで作ったパニーニってことね。
やだな、もう。難しい名前とか付けないで欲しいよ。クロワッサンにしたって、三日月に形が似てるからだとか言われてもさ。
こう、もっと、シンプルにさ、アンパン、ジャムパン、クリームパン、カレーパン、焼きそばパンみたいに名前つけてほしいよね。
いただきますをして、ロゼッタのパニーニを口に運ぶ。
ふ、ふわあわわっ、うっま!
はさんであるのは、塩とハーブで味付けられた淡白な鶏肉と、シャッキシャキのレタス。それから、何かの芽。
あ、これ、ブロッコリーのスプラウトだ。それから、クリーミーなドレッシング。マヨネーズベースに、何だろう?すっきりしたハーブが混ぜてある。黒コショウも入ってるかな。
お、い、しぃ~!
うおっ、中心部には、輪切りトマトと、チーズが!
なんだ、この、1つでいくつも味わえる食べ物は!
っていうか、めちゃくちゃ色々はさんであるけど、食べても具がパンの外に出てこない。
何で?
と思っていたら、パニーニを食べ終わった嘉久は、何もはさんでないロゼッタパンを手に取り二つに割った。
おや?ロゼッタというパンは、中が空洞なのか!だから、具がいっぱいはさめるのか!なるほど!
嘉久は、ロゼッタに、ポテトサラダを入れて、その上にきゅうりのスライスを乗せた。
ぐおおっ、ポテサラに味がついているというのに、その上にソースをかけたぞ!ウスターソース。
えええっ、その組み合わせ、何?!
ポテサラにきゅうりまでは美味しそうだ。ソース?想像がつかない。
どうしようか。今食べてるパニーニで十分お腹はいっぱいになりそうだけど……気になる。
嘉久に、一口くれというわけにもいかないよなぁ……。仕方がない。ちょいと頑張りますか!
パニーニを食べ終わると、嘉久の真似してロゼッタを手に取り、ポテサラにきゅうりとソース。
パクン。
うんまっ!
やいほど、ソースが合う!
嘉久、お前天才か!
「璃々亜は、今日は良く食べるね」
もぐもぐ。
ふふ、お兄様もこの食べ方すればいいのに。ちょっとお腹はちきれそうだけど、新たな美食発見ですよ。
「今日は全国模試ですからね、腹が減ってはなんとやらですわ」
まさか、嘉久の食べてるのが気になったからお代わりしたとは言えないので、兄にはそう答える。
「璃々亜……食べ過ぎると、消化するために血液が胃に行ってしまい、頭の働きは鈍くなるんだぞ?試験前は、食べ過ぎない方がいいんだ」
はい?
……。
くそーっ、嘉久め!
罠にはめたな!
お読みいただきありがとうございます。
久々の食事回です。
パニーニって、日本で一般的に想像するそれと、本場の物は違うようです。今回作中に出したロゼッタっていうパンを使った物は本場のやつらしいです。
っていうか、嘉久、お前、璃々亜に知らないところでいろいろ恨まれててかわいそす。




