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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第181話 転んだらしい

 はっきり言って、怪しい。

 黒いジャージ上下に、黒いローファー。

 黒縁メガネと大きなマスク。さらに前髪がメガネの上半分まで覆っている。

 顔は見えないわ、服装は真っ黒だわ。

 ……。職務質問されるね。

 でも、これ、コスプレだから!

 NARUKOのキャラクターですから!通称「姉」です。2年生の双子キャラの姉です。むふぅん。

 鳴子を持って踊りだすと、キレッキレのダンスを見せるキャラですよ。実は超絶美形って設定。もちろん、双子の弟も美形なの。

 鳴子踊りの発表会んときに、メガネとマスクを部長にはぎとられ、主人公びっくりってシーンがあるわけね!お約束ですな!

 さてと。怪しいくらい顔が分からないコスプレ。これで、安心して会場を回れる!

 きゃほーい!

 まずはどこから回ろうかな?

 更衣室を出て、歩きながらパンフレットを開く。

 BL!

 BL!

 まずはBLゾーンへ行くべきか?

 いきなり行って、興奮のあまり叫びださないように、まずはBL以外のブースを見て回って会場の雰囲気に慣れるべきか……。

 そこが、問題だ……。

 せっかくコスプレしたから、コスプレゾーンへ行くという手も……ない。

 それだけはない。

 あそこ、見るのはいいけど、コスプレして行って、うっかり「写真撮らせてください」みたいなのに引っかかって、その写真がネットで拡散したりして、鋭い知り合いに写真から璃々亜の正体がバレたりなんかしたりして……って、悲惨な未来しか想像できない。

 ぐー、どうしよう。どこから回ろう。

 とりあえず、あいうえお順に行くか?って「あ」は壁際のブースだから、ぐるっと一周しちゃうことになるし、午前中は壁際サークルさんは長蛇の列だからなぁ。

 こっちの世界の大手サークルさんも気になるけど……。並んでも買えないしなぁ。

 見て回るのが目的だから、やっぱり、壁際サークルさんは、列がはけてから眺めるしかないよね。

 てなわけで、「い」から回ろうかな?

 何のサークルなんだろう、「い」のブースは、えーっと。

 ドシンッ。

 ドタッ。

「す、すいませんっ、大丈夫ですか?」

 心配そうな男性ん声がかかる。

 うわーん、ころんじゃったよぉっ。

 人にぶつかって転ぶとか、どんなドジッ子だよっ!

 っていうか……。

「わ、私の方こそ、パンフレットを見ながら歩いていて、すいません」

 四つん這いの格好から、立ち上がろうとして、メガネが吹っ飛んでいるのを発見。

 やばいです!

 隊長、これでは敵に正体がばれてしまいます!

 敵ってなんだー、ここは味方しかいないっ、オタクの聖地だぁ~!

 って、違う違う。

 メガネ、メガネ。

 メガネは、ぶつかった相手の足元に転がっている。手を伸ばしてメガネをつかむ。

 あ、あれ?

 メガネを装着して、もう一度相手の靴を見る。

 あ、あれ?

「鳳凰学園の靴……」

 私が今履いてるローファーと同じ。

 学校の校章が小さくついてる。

「え?何で、分かるの?」

 驚きの声が上がる。

 え?

 何でって、あ、あれ?

「早速バレるとは思わなかった……」

 って、焦った声が上がってる。

 ええ?

 ば、ばれる?

 何が?

 と、いつまでも四つん這いでいるわけにもいかないので、立ち上がって、目の前の人物に目を向ける。

「姉さん……?」

 別の驚きの声が漏れる。

「弟……?」

 お互いに顔を見合わせ、指を指した。


 目の前にいるのは、大きなマスクと黒縁メガネ。前髪でメガネの半分を隠して、黒のジャージ上下で、黒の鳳凰学園のローファーを履いている男の人だ。

 つまり、私のコスプレしてるNARUKOの「姉」の双子の「弟」のコスプレをしている。


「きゃーっ、NARUKOの姉と弟ですよね?」

「うわー、すごぉい、再現度高い!あの、あの、写真いいですか?」

 げっ、写真はノーサンキューなんですっ。

 とはいえ、中学生くらいの女の子二人組のキラキラしたお目目を前にすると、断るに断りにくいんですけど……。

 ど、どうしたら……。

 写真は危険。それは間違いないっ。

 いくらマスクメガネ前髪で顔の大半を隠していると言っても……。ほら、芸能人が変装しててもバレるとかあるじゃない?

 どうしよう、断りたいけど……。

 チラッと、弟の顔を見る。

 弟も、私の顔を見る。

 えーっと、もしかして、弟も断りたいけど、断れないパターン?

「う、後姿でいいですか?」

 ま、顔が映らなければ……と、断るに断れない小心者の私は思わず口にした。

「あ、はいっ、ありがとうございます!」

 嬉しそうな中学女子。


お読みいただきありがとうございます。

本もそうですが、スマホ画面を見ながら歩くのは危険です。立ち止まって隅に寄ってから見ましょうね!

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