第180話 変装完了らしい
さて、計画通り、百貨店が立ち並ぶ駅で一度下車。
何も購入しないのに化粧室だけ使うのも申し訳ないので、化粧品を購入。
うん、あれだよ。なんていうか、璃々亜の持っている口紅とか、色が真っ赤なんだよ。
どう考えても、中学生が似合う色じゃないと思うんだよなぁ。真っ赤なルージュは、ある程度年齢重ねてから生きるとおもうんだ。
あ、前世の私、ある程度年齢重ねた後も、真っ赤なのはつける勇気なかったけども……。
「こちらをいただきますわ」
かわいらしいベビーピンクの口紅をチョイス。
ぷるんぷるんの艶が出るやつね。グロス不要。
てなわけで、買ったばかりの口紅と、変装ようのあれこれを手に、化粧室へ。
トイレの入り口あたりにある、あの鏡と椅子の並んでるところね。人がいないことを確かめると、奥を陣取り、まずは髪型チェンジ。
髪型一つで、人の印象はずいぶんと変わるからね。
三つ編みをほどいて、ポニーテイルに。
目の上までかかる前髪ウィッグを装着。ただし、斜めに流して、苺の飾りのついたピンでとめる。
あ、化粧してからの方がよかったな。邪魔だ。まぁいいや。
ファンデは薄く。眉は自分のものよりも釣った感じに。
目も、目じりを上に伸ばしたアイメイクで釣った感じに。
悪役令嬢というほどではないけれど、ちょいときつめの顔。口紅はさっき買ったばかりの……は、使いません。
いや、だって、マスクするし。
てなわけで、大きめのマスクをはめて、百貨店を出る。
出たら、再び電車で移動。時間帯的に、さほど混んでないので空いてる席に座る。鞄から黒縁の伊達メガネを出して装着。
ふぅ。よし。
乗り換え。
ユリカモメに乗ります。
はー、やだ。ちょっと手が震えるわ。
緊張してるのかな私。
嬉しすぎるですよ。これから、本当に、イベント会場に行くんだよ?
ユリカモメの窓から、前世で見慣れた景色が映る。
……。
今日は、待ち合わせの相手は誰もいない……。
みっきゅん……。
元気かな……。
みっきゅんが好きだったサークルさんとかあるかな?こっちの世界では少しずつ違ってるのかな?同人誌はそもそも版権とかの概念がうにょうにょだから、一緒だったりするのかな?
うーむ。
どうなんだろう?
ほとんどの者は、少しずつ違う。
同じだったものは、版権が切れた昔の作品。商標登録とかされてないような小さな商店街の店。そして、NARUKO。
NARUKOは謎なんだよね。なんでなんだろう?
うーむ……。
全然古くないよ。むしろ、最新。
ん?
最新?
……。
まさか、新しいから?
このゲームが作られた時期よりも新しいから?
だから、ゲームの中に反映されてないの?
そういえば、ほとんど世界は同じだ。何らかの権利などが主張されそうな者以外は、同じ。きっと、そういう細かい部分は自動で同じになってるんじゃない?ゲームの中っていうよりも、前世のパラレルワールドみたいな感じだ。
っていうより、一部だけ切り取られて挿げ替えられてる感じ。
挿げ替えてない部分は同じで……。
NARUKOは、挿げ替え作業後に発生した者だから、同じ……っていう理屈とか……。もう、ゲーム制作時期から先の世界は合流とか。
っていうか、ここって、ゲームの中の世界なのか、神様がゲームを元に作った世界なのか……。
うーん、謎。
謎だよね。謎。
……。まぁ、いっか。なんでもさ。
謎を解明したからって、どうにかなるものではない。
今の私に大切なのは……。
「ウエルカムピックサイト!ですわ!」
……。あ、自分で言っちゃった。すいません。痛い人ですね。
今日のイベントは、えーっと、西館のみですか。ふむふむ。
入り口でパンフレットを購入して入る。
早速、パンフレットをめくって、まずは更衣室の位置を確認。更衣室に直行。
更衣室に入ると、空いている場所を確保して座り込む。まずは髪型チェンジ。前髪のピンを外し、目を覆う。これで、ますます顔が分からないですよ。
そして、いつぞや、田中くんにえらんでもらったトレーニングウェアを取り出して、服の上から上着は着る。下は、スカートの下から履いて、スカートを脱ぐ。
素早くコスプレにチェーンジ!
おっと、靴も履き替えなくちゃね。私服のときは、学校指定のローファーの重たい色が合わなかったのです。
学校指定のローファー、よく見ないと分からないところに小さく学校の校章が刻印されてるんだけど、よく見ないと分からないからいいよね。
よし。
更衣室の出口近くに全身がうつる鏡が置いてあった。そこに、全身を映す。
ふわっ。
我ながら即席のコスプレだけど、完璧じゃない?
どっから見ても、NARUKOの”姉”だ!




