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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第173話 夕飯を半分残すらしい

改稿いたしました。

「もうすぐ夕飯の時間だから、このまま移動しようか。璃々亜も、帰ったばかりで疲れているだろう?」

 はぁ~?

 空気の読めない男め!

 疲れているのに来たってことは、やる気満々だってことだろうよ!

 漫画読ませろ!家に入れろ!

 夕飯食べたいなら、一人で行け!

 ぐぬぬぬぅぅぅぅっ。

「大丈夫ですわ。それよりも、あれだけ数があったのですから、少しでもお手伝いしたいのですわ」

 1冊でもいい!

 夕飯までに読ませろ~!

「ありがとう、璃々亜……。俺のために……」

「嘉久様のためじゃありませんわ」

 おっとしまった。本音が口から飛び出したっ。

 自分のためなんだよっ!漫画が読みたいんだぁ~!

 あれ?

 一人で電車にのってかえってきたんだから、途中下車して本屋にでもよればよかったよ!

 誰の目も気にする必要なかったんじゃない?

 しまったぁーーーーっ。

 あ、いや、だめだ。自制する自信がない。

 長時間本屋に居て、夕食までに帰らない可能性とか……。

 そもそも、駅で待っている蜂川さんに心配かけちゃうし……。

 璃々亜行方不明事件に発展したりなんかして、捜索されて、発見されたら、BL漫画を手にニヤついているとか、最悪だ……。

 それに、どこで誰に見られるか分からないから、気を付けないと。

 私は知らないけど、私を知っている人っていうのが、この世界に何人くらいいるか分からないわけだし。

 やっぱり変装は必要だ。

 本屋へ行くなら変装必須。

「お、俺のためじゃ、ない?」

 ガーンとショックを受けてる嘉久。

 あ、ごめんごめん。

「も、もちろん、嘉久様のためでもありますが、目標はKHTでキングの座を獲ることでしたわよね?」

「そうだったな、KHTのためだった、うん、そうだったな」

 おし、嘉久復活。

 そして、私利私欲のために手伝うと言ったわけじゃないよって思ってもらえたかな?

 KHTのため。うん、便利な言葉だ。

 ……。KHTのためだと、アニメも見ないかな?

 見るの手伝うのに。

 社会貢献的なアニメのシーンもたぶん、あるよ。

 漫画原作のものも多いわけだし。

 今度嘉久の家に行ったときに、大量のアニメDVDとか置いてないかなぁ~。

 あったら、嘉久の家で生活したい。


 本日のメニューは、分厚いカツでございます。

 間違っても、衣が厚いんじゃないよ?肉が厚いんだよ?

 2センチくらいあるよっ。

 おいしそう~。

 待て待て、ダイエット、揚げ物とか、ダイエットと方向性が逆向いてるから。

 仕方がない、2切れくらい食べて、あとは残そう。

 頂きますして、箸でカツを一切れ持ち上げる。

 あっ、すごい、衣がサクサクだ。

 切り口から湯気が立ち上り、揚げたてアツアツなのが分かる。

 ソースは、3種類用意されてた。一つは甘口ソース、1つは濃い口ソース、もう一つは味噌。味噌カツのミソ。

 おお、すごい。一度で何度も味に変化をつけて楽しめるとか!

 まずは、甘口ソースから。

 ふわぁ、まろやかなソースの味が口の中に広がる。ソースのとんがったところがない。

 歯を立てると、衣がサクッと音をたて、そして柔らかな肉の程よい弾力。

 甘い。

 肉が、甘い。ソースとは別の甘みがある。そして、揚げ物だけど、少しも油くどくない。何油を使っているんだろう?

 おいしい。

 次は、味噌にしましょうか?それとも濃い口ソースにしましょうか?

 やはり、味噌ですね。味噌。口の中に辛い物入れると、次のものが必要以上に甘く感じるからね。

 ここはやはり、甘口ソース、味噌、濃い口ソース、ごはん、サラダという順番がいいですよね。ごはんとサラダで一度口の中をリセットです。

 うんうん。

 リセット。

 そして、再び甘口ソース、味噌、濃い口ソース。

 ごはん、サラダでリセット。

 甘口ソース、味噌、濃い口ソ……

 あれ?

 た、た、た、食べちゃったよーっ!

 カツ、全部食べちゃった!

 ぐおおおおっ、残してダイエットするつもりが、つ、つ、つもりが……。

 今日は一体、全部で何カロリー摂取したと言うんだ……。


「嘉久、どうだ進み具合は?」

「ああ、まだ半分くらいだが、色々なケースがあるな」

 えええ?

 あの大量の漫画、もう半分も読んだっていうの?

 そのペースじゃぁ、私が読む分がなくなっちゃうじゃんっ。

 嘉久のバカっ!

「ただ、実際にそれを行った場合、どのような反応があるのかが不明だ。例えば、お年寄りが重たい荷物を持っていた場面に遭遇したとして……」

「荷物を持ちましょうかと声を掛けるのは……確かに、難しいところだなぁ」

 何が?難しいんだ?

「ああ、声を掛けられた方は、荷物を持ち去られそうになったと、その漫画にも描かれていた……」

 そういえば、電車で席を譲ろうとしても「年寄扱いするな!」と逆に起こる人もいるとか……。

 さらには、子供を立たせることは虐待だとかいう人もいたり……。

 なんだろうね、批判する人って……。

「確かになぁ、我が校では、車で移動する人間も多いからな。荷物を持つだけじゃなくて、目的地まで送るという形になるなぁ。そうすると、また別の問題も発生しそうだ……」

 あー、うーん、まぁ、確かに。

 我が校の生徒が、頻繁に家まで送ってくれるということになれば……。タクシー代わりに使おうっていう人間も出で来るかもしれない。それに、「何で自分は乗せてくれないんだ!」って言いだす人も出てくるかも……。

 うーむ。

「声を掛けたことで、因縁をつけられる危険もある」

 びくっ。

 今日、男たちに腕をつかまれてどこかへ連れていかれそうになったことを思い出して体がすくむ。

 そうだ。

 世の中いい人ばかりであってほしいけど……、そうとは限らないんだ。

 助けようとして声を掛けたのに、暴言を投げかけられることだって……。

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