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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第172話 なっかーまを発見したらしい

 田中くんが選んだ席は、店内の奥の方だった。

 テーブルは6割くらい埋まってるかな。隣のテーブルは……。

 両隣が埋まっているテーブル。

 ……仲間だ。

 私の目が鋭くなる。

 右隣の席は、男女のカップル。こいつらは仲間じゃない。リア充だ。相反する人間だ。

 左隣の席には、20代半ばから後半と思われる女性が3人。

 テーブルの上には……ま・ん・が。

 漫画がのっております。

 しーかーもぉ、ビ、ビ、ビ、ビ、……ビーーーーーーエーーールゥゥゥーーーーッ!

 間違いないですよ。

 スーツ姿のメガネのインテリっぽい大人の男性が、学生服姿のヤンチャそうな男の子を後ろから抱きしめている表紙なんだよ?

 これで、親子愛を描いた感動の名作だとかだったら、吐く。ないだろう、間違いなくBLだろう。違うかい?同志よ!

 顔を寄せ合って、うふふふーって感じで話をしてる3人組。

 何?

 何なの、その漫画に、うふふーなポイントがあるの?

 ちょー、私も仲間に入れておくれっ!

 とか思ったら、漫画を鞄の中にしまわれた。

 えーっ、そんなぁ、せめて、ここから少しでも見られるかもと期待したのにっ!

 世の中ままらなぬ。

「明日、何時にする?」

「あー、一般入場って10時からだっけ?」

「いや、明日は10時半からじゃなかったかな?」

 はいいいーーーーー?

 一般入場?

 それって、同人誌即売会の話?

 耳が、ダンボ。私の耳よ、もっと大きくなって、左の席の会話をすべて聞かせておくれ!

 田中くんは、ちょうどいいタイミングでトイレに立った。はい、行ってらっしゃい。

 心持、左側に寄る。

「まぁ、どっちでもいいか、並ぶのいやだし、11時に待ち合わせない?」

「そうだね。春コミ新刊はもう買ったし、次はGW合わせでしか出ないだろうから……」

 うん、うん。そうだね。サークルさんも、大きなイベントに合わせて本を出すところがほとんどだから。春コミとGWの間のこの時期は、あんまり新刊出してるサークルいないよね。

「あー、でも、もしかしたらNARUKO本出てるかもしれないよ。カイリセンセーとか、今めちゃハマってるらしいからバンバン本出してるじゃん?」

「そっか。じゃぁ、やっぱり並んだ方がいいかな?」

 ぐおっ、そうか。NARUKOブームがやってきてるんだ。

「そうだね、じゃぁ、10時に待ち合わせて並ぼうか。待ち合わせは、のこぎりんとこでいい?それか、国際展示場前のコンビニとかにする?」

 ふおっ、ってことは、明日は東京ピックサイトでイベントですか!

「コスプレはどうする?明日する?」

「あー、一応持っていこうかな。知り合いがいたらするけど……明日は基本は買いメインのつもり」

「白川、どうした、ぼんやりして?」

 ふ、ふえっ?

 おっと、いつの間に、田中くん戻ってきたの?

 完全に、魂を隣の席に飛ばしてたよっ。

 隣の席だけど、私も仲間のつもりで会話に耳だけ参加してたよ。

 いいなぁ。

 明日、ピックサイトでイベントあるんだぁ……。はぁー、いいなぁ。いいなぁ。

「いいなぁ」

「え?白川も、飲む?」

 ん?

 田中くんに、コーヒーを差し出されました。

 替わりに、半分くらい飲んだアプリコットなんとかを差し出す。

「じゃぁ、交換ね」

 にこっ。

「あ、うん、そうだな」

 ダイエット、ダイエット。

 うっ、田中くん、砂糖入れてないのですね。

 いいんです。ダイエットには、ちょうどいいのです。

「ああ、ごめん、砂糖いる?」

 え?何で分かったんでしょう?

「くすくす、白川、苦いって顔してたよ」

 おっと、ポーカーフェイスさん、また行方不明ですよ。

 ちょっと戻っておいで、私のポーカーフェイス。

 田中くんに笑われてしまった

 ……。

 うん、でもいいや。

 田中くんが楽しそうで、何だか、私も楽しい。

 えへへ。


 スタパを出て、田中くんと駅で別れた。

 電車に乗る前に、蜂川さんにメールしたので、迎えの車があるからと、家まで送ってくれようとする田中くんを断った。

 だって、田中くん、ずいぶん遠回りになっちゃうんだよ?

 だけど、男たちに絡まれた件があったためか、すごく心配してくれた。

 あれ?もしかして、お嬢様が一人で電車に乗れるのかっていうのを心配してくれたのかな?

 どっちだろう?


 ゆうしょくじかんの30分前に自宅に到着。

 急いで、嘉久の家に向かう。

 近くて良かった!

 玄関で呼び鈴鳴らすと、メイドさんなのかな?女性の声。白川ですと名乗ってみたが……。

 ここ、璃々亜ですって言った方がいいのかな?

 2分ほどで、ばたばたと嘉久が出てきた。

 かなり急いできたのか、息が少し上がっている。っていうかさ、急いでも2分かかる家ってどうなの?不便だよね。ある意味。

「璃々亜!夕飯の迎えにきてくれたのか?」

 違うって。

「いえ、あの、帰ったら作業のお手伝いをすると約束していましたので」

 と言うと、嘉久が「ああ、そういえば」って顔をする。


いつもサンキューなのなの。

同人誌即売会をご存じない方のために、通称コミケと呼ばれることが多いのですが、

コミケはコミック○ーケットの略称の意味が根本にございますので、人によっては同人誌即売会だと理解せず、夏コミ冬コミと呼ばれる年に2回のコミックマーケットのことだよねって思うかもと思ったので、同人誌即売会と書いております。

そして、中の人は同人誌即売会のことを「イベント」と呼びます。

「明日イベントだ」

「○日のイベント合わせで新刊出す」

「次のイベント、何着る?」

などなど。

そして、同人誌即売会には、コスプレOKのものとNGのものがございます。どのイベントでもコスプレが見られるわけじゃないです。

それから、イベントごとに特色があります。

男性向けジャンルが多いイベント、女性向けジャンルが多いイベント、年齢層高めのイベント、年齢層低めのイベントなど。

どうでもいい豆知識でした。


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