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【書籍化】オタクガール、悪役令嬢に転生する。【web版】  作者: 富士とまと


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第114話 嘉久は赤の他人らしい

 ふぁい!土曜日ですよ!

 でも、二度寝もせずにぱっちり目が覚めました。

 そして、勉強しています。

 我ながら、立派すぎない?この調子なら、学年トップとか取れちゃうんじゃない?

 ……ええ、分かってます。

 努力で追い越せない壁があるってことはね。だって、努力してるのは私だけじゃないんだよ?

 才能のある人も努力するんだからさ。その差は縮まりはしても、なかなか追い抜くことは……。だからって努力を放棄する人が一番ダメだと思うわけね。

 勉強って、役に立つよ?


 例えばさ、鬼畜設定の都キャプテンが出てくる同人誌に「フレミングの左手の法則を、お前の体に叩き込んでやる」みたいなこと言い出したりするんだ。

 右足をあっちに伸ばして、左足をそっちに伸ばして的な体位になるわけだが……。ああ、そっから先はもにょもにょなんだけどさ……。

 フレミングの左手の法則ってのがわからないと、それを体で~ってセリフが出てきた時の、その先のワクワク感が減るわけだよ、わかるかな?

 どんなBL同人誌を読んでも、それを100%楽しむためには、勉強は必要!マジですよ!……ふふふふふ。腐。


 おっと、違う。えーっと、よう社会に出てから「もっと勉強しておけばよかったなぁ」って話をする人がいるけど、あれ、マジだよ。

 ……BL抜きにしてもね。本当だよ?前世でアラサーまで生きてた私の実感。

 なので、今、せっかく高校生からやり直しできてるので、勉強するのです。誰かに勝つためでも、何かの目的のためでもないよ。

 勉強しとけばよかったーって思わないため。ただそれだけ。

 

 朝食前まで勉強。

 

「璃々亜……昨日は、ありがとうな」

 朝食に現れた嘉久にお礼を言われました。はて?なんのことだろう?

「あのメールがなければ、食事も忘れるところだった」

 あ、あれか!やっぱり食事もとらずに回っていたか。

 同じ班の人、かわいそす……。

 うちは、轟くんのおかげで、定期的に飲食タイムがありましたよ!しかも、美味しいもの目白押しだった!轟くんありがとう!

「璃々亜は、いつも俺のこと考えてくれてるんだな……」

 嘉久が、ちょっと照れたような顔をしてつぶやいた。


 まていっ!

 違うわ!

 あんな団体引き連れて園内うろうろしてたら、いやでも目に入るって!

 嘉久のことなど考えてたわけじゃなくて、目に入っただけだ!


「違うぞ、嘉久。璃々亜はお前のことを考えていたわけじゃない」

 兄は、スマホを取り出して、画面を嘉久に向けた。

「璃々亜は私のことを気遣ってメールを送ってくれたのだ」

 あ、ごめん、兄。

 それこそ、嘉久にメールした「ついでに」送ったんだ。

「生徒会の仕事が大変だろうと……こんな、癒される写真まで添付してくれたんだ……」

 という兄の言葉に、嘉久がむっとした顔をする。

「璃々亜、写真……ほしい」

 チラッと私を見る。

 うえーっ、やだよ。写真添付のメールって、その時のノリが大事でしょうよ。

 冷静な時に言われて送るのって、なんか違うっての!

「俺には、パンケーキの写真で、どうして敦也兄には友達と一緒の写真なんだよ!不公平だ!」

 

 あっ!

 友達と一緒の写真……。

 私、芽維たんと皐月たんと一緒の写真を兄に送ったんだった……。それを見て、兄は癒されるって……。

 嘉久は……。

「友達と一緒の写真……欲しいですか?」

「もちろんだ!」

 ……そうか。

 芽維たんと皐月たんの写真、ほしいよね。

 二人とも可愛いし、それに、耳つけてる写真はとっても希少価値がある!


 ああ、もしかして、私ってば、うっかりヒロインと攻略対象である兄や嘉久との距離を縮めちゃってないか?

 なんたる不覚!

 できれば、なるべくイベントごとは後回し、後回しにしたかったのに……。

 兄はすでに二人の顔を知っていて会ってるから今更だけど……。嘉久も、私と一緒にいるところをチラッと見たことあったかもしれないけど、写真できっちり顔を覚えられちゃったわけだよねぇ……。

 あーあ。

 でも、写真を手元に持っているか持っていないかってのはまた別の話だよね。手元に写真があって、ちょくちょく見てると、知り合いのような錯覚をしちゃって、学校で会った時にうっかり話しかけちゃうなんていうハプニングが発生しかねない。


「お断りいたします。家族ならいざ知らず、赤の他人に勝手に友達の写真を渡すわけにはまいりませんから」

 うん。

 言い訳として完璧だよね。

 写真に写っている人には肖像権とかなんかあるだろうから、勝手に人に渡すのはダメだよね。拡散したら大変だ。

「あ……あ……あ、」

 嘉久は断られるとは思っていなかったのか、口をパクパクさせている。

「赤の、た、他人……」

 あ、うなだれた。


「まぁ、確かに嘉久は家族ではないな」

 兄が、嘉久の頭をぽんと軽く叩いた。

「だが、家族ではないから赤の他人とは……」

 ああ、そうか。そこにショックを受けていたのか。

 うん、まぁ、一緒に食事をする幼馴染に他人はないな。

「ごめんなさい。嘉久様。言葉が過ぎましたわ。家族ではないと言いたかっただけですの」

 嘉久が顔を上げる。

 だけど、まだ表情は不満げだ。


「なってやる!」

 ん?

「絶対家族になってやる!」

 嘉久がグーを握りしめて突き上げた。

 ゴチンッ。

 そして、兄が、げんこつで嘉久の頭をど突いた。


「いててっ」

 痛がる嘉久。

 うおっ!京様ボイスで痛がるとか……。

「痛くないだろう?これくらい」

 兄が、都キャプテンボイスで嘉久をいじめるとか……。

 あう、何をして、痛がらせてるの?

 やだ、もう、朝っぱらから、エッチィー!ふふふふ腐。


 おっと失礼。

 今日の朝食を始めましょうか?

 すでに、早間さんがカートに朝食をのせて運んできてくれてますよ?


 兄が、嘉久のこめかみをぐりぐりしている。

「痛い、痛い……」

 ぐおっつ、京様ボイス、脳内録音!ふはははっ。いろいろ使える便利なセリフをゲットさせていただきました。ふ腐。

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