1-7
昨夜に書き上がってましたが投稿出来ずに寝てました。
本日は2話分投稿です、とー。
1-7~1-8です。
生まれ変わってからの私は波乱万丈です。
いえ、ながらスマホ運転のトラックに轢かれた前世も程度の差はあれ波乱だったかも?
うん、これは私の天運という事なのでしょう、証拠は能力値の運がG+ですね。
さておきまして、昨日赤眼様観察と蜂撃破の成果としてレベルが上がったのですが、新たなスキルや魔法を覚えました。
あ、何気に裁縫レベルが上がったのは糸を縒って針に変化させたからなのでしょうか?
それとも針を使うという行為自体に裁縫が関係しているからでしょうか?
スキルについては謎が多すぎです。
どこかにウィキペディアが落ちていませんかね、切実に。
話が逸れましたが新たなスキルや魔法の事でしたね。
クラススキルであるテリトリーですが、自身の生活や活動領域に居る間、職業ニートのクラススキルの効果がアップする、という物でした。
流石ニート、といった感じのスキルですが、現在習得しているスキルが集中力増加と省エネルギーですので期待薄です。
ニートに期待しちゃいけないって事ですね、よい教訓になりました。
そしてお待ちかねの魔法ですが、光魔法がレベル3になったのでヒーリングとトリートメントという回復魔法を覚えました。
ヒーリングはゲームでもよくあるHPを回復させる魔法で、怪我を治すといった効果です。
欠損した部位を修復したりするほどではないですが、魔力の高さに応じて効果も上がるようです。
なお、欠損部位が発生するとHPの最大値や能力値の筋力や器用、敏捷の値にマイナス補正が掛かるようですね、魔法の解説によれば。
次にトリートメントは潤いを促す、何てことはなく、状態異常を回復する魔法でした。
状態異常といっても全てではなく、睡眠、睡眠不足、気絶、恐慌、幻影などの精神に関係する異常を回復するようです。
状態異常といえば毒や麻痺のような身体に影響する異常は水魔法で覚えるらしいです。
光魔法なのだから盲目とかも回復できそうな気がするのですが、目に光が射すとか言いますし、でもこちらも水魔法のようですね。
さて、またもや攻撃魔法を習得できなかった訳ですが、極太針による飛針射撃があるのでもういいですね、ちくしょーです。
その極太の針ですが、あの時は急を要する状況だし生成に時間が掛けられなかったから直径1cmほどでしたが、無理をすればもっと太い針も作れる事が解りました。
ただし生成は出来ても形状を保つ事が出来ず、すぐに解れて崩れてしまいます。
どうやら針という認識は1cm止まりだったようですね、それ以上だと釘とか杭という認識になりそうです、私からしたら1cmでも極太の釘なのですが。
なお針の生成に掛かる時間ですが、極細の物を複数で1秒程度で、極太だと1本辺り1秒です。
まあ、極太針は1本ずつしか生成出来ないですが。
それでも十分なほどの破壊力を持った攻撃手段ですから不満などあろうはずがないのです。
前世で見た中国の達人が使う飛針はガラスを撃ち抜いてましたしね、魔法で飛ばしたら動物でも狩れそうな気がします。
妖精さんは肉食ではないはずですから自衛ですよ、自衛手段。
と、兎も角今日も一日頑張りましょう!
むしゃむしゃむしゃ、早速ルーチンを開始して蜂が襲撃して来ないか索敵モードを追加です。
索敵モードとは、視界を穴の外に飛ばしておいて音だけは桃(仮)から直径50cmほどの全方位の集音という行為です。
これを丈夫な妖精糸で蓋をした穴の中から行っているので、安心安全な穴倉生活なのです。
うん、良い感じにニートの経験点が貯まっていきますね、むしゃむしゃ。
この桃(仮)にやって来て数日経ちますが、毎日数時間掛けて食べているのにまだまだ果実がぎっしりです。
いえ、嘘です。
実はこの桃(仮)なのですが、夜間に成長しているらしく、少しずつ実が大きくなっており、果肉も増量されているのです。
まだ最大値になってなかったのですね、桃(仮)さんは、と思わずさん付けです。
すでにスイカサイズになっている桃(仮)は現在進行形で育っているのですが、他の実と比べても明らかに大きいです、約倍くらい。
何故こうなっているか不明な異常な事態なのですが、私としては大助かりです。
何せ私の現在の体長は12cm強といったところなので、周りの普通サイズだと厳しいのですよ。
桃(仮)もそうですが、私も一体どこまで大きく育つんでしょうね、謎ばかりです。
あ、蜂が2匹やってきましたね、迎撃モードに入りましょうか。
昨日のように極太針で撃墜してもよいのですが、魔法幼生体サクラとしては物理ではなく魔法で仕留めたいところです。
しかしながら攻撃魔法を覚えていませんから現在の魔法を応用して何とかするのですが、思いついたのは風魔法で飛行能力を奪う事です。
や、気絶させればよいじゃないか、と思われるでしょうが、昨日試した結果あれはどうも落下している間に気絶を回復するようなので却下です。
なのでウィンドでちょっとした試みを。
皆様は空気砲という物はご存知でしょうか?
圧縮した空気を撃ち出す仕組みの空想科学を、某科学者がある程度まで再現したあの実験で有名なやつです。
それを再現して羽を潰してしまおう、という事なのですが、言うだけは簡単でも難しい物でした。
まず、どうやって圧縮するの?から始まり、どうやって風向を定めるかなどなど、いくら科学知識があろうとも再現する為の道具がないと厳しいのですよ。
なのでそういう物は魔法で解決しまして原理だけは科学知識を使うという事でやってみました。
そして出来ました空気砲。
と、言いますか風の新魔法扱いになってっしまいましてブロウと名付けました。
和訳するとウィンドの効果の方がブロウなのでは?と思ってしまいますが、風撃と書いてブロウと読む、みたいな感じでお願いします。
そして肝心の効果なのですが、赤ちゃんのだだっこぺちぺちレベルからボクサーのストレートぐらいの幅がありまして、本気の一撃で蜂が粉々になって即死でした。
溜めに少々時間が掛かるのが欠点ですが、某忍者マンガの彼のように両手の平で合わせて空気塊を作る演出をしたいものです。
皆様はお気付きでしょうが空気砲はどこ行った?という何時もの状況です。
げ、原理は一緒なのですよ、多分。
そ、そういう訳でして、魔法幼生体サクラも攻撃魔法を手に入れたのです!
なお、あくまでも風魔法ですから透明な圧縮空気弾を撃つという見た目地味でしたので、桃(仮)の果肉をほんのちょっとだけ混ぜて桃色の風撃にしておきました。
魔法幼生体ですかららぶりぃさも必要だと思います、はい。
蜂を2匹倒しましたがレベルは上がらず、ルーチンを続けながら警戒モード続行です。
と、行きたいのですが正直気疲れして来ました。
ここ数日の間警戒をし続けていましたからそろそろ別の事を、とそうでした、そうでした。
赤眼様観察があるではないですか。
そういう訳でして警戒は集音だけに止めて置き、視界は主様の根元に向けたました。
うん、今日も赤眼様は根元の寝床にいらっしゃいますね、何だか安心しました。
熊は近くで見ると大きいですし獣臭が半端ないので恐怖を覚えますが、離れた場所から観る分には可愛らしいですよね、熊さんって感じです。
あののんびり寛いでいる感じがもう堪りません。
そして赤いけどあの円らな瞳が・・・
あれ?
気のせいでしょうか、赤眼様と目が合ったような気がします。
今日の赤眼様はなぜか根を背凭れにして仰向け状態で寛いでおりまして、顔を上げているのですよ。
なので視線操作しなくともそのご尊顔を拝謁させて頂いているのですが、と言葉が怪しくなるくらいどきどきしております。
これ、こっちを見てますよね?
誰だって偶には空を見上げる事もあるでしょう、上を向いて歩く事だって。
これだけ立派な主様の樹木なのですから仰ぎ見る事もするでしょう、条件反射的に。
ですが赤眼様はどう考えてもこっち、厳密にいえばこの桃(仮)を見ているのです。
何か興味をそそられる要因でもあるのでしょうか?
はい、ありまくりですよね。
何せ他の実よりも圧倒的に大きいです、とっても目立つはずです、そりゃ蜂だって群がりますよってぐらいに。
あと、一昨日から蜂の死骸などが降ってきますからね、上から。
さらに大きな音とかもしてますし、ブロウの炸裂音は半端ないですから。
十分過ぎました、ごめんなさい。
このままだと興味本位なのか食欲なのか排除なのかは解りませんが、ここ落とされますよね?
赤眼様の体長だと届かない位置にこの実は生っていますが、魔物でしかもボス様ですから相当なジャンプ力だったり遠距離攻撃手段持ってますよね。
まあ、排除だけなら投擲で撃ち落としそうですが。
こ、これは困りました。
もしかして、転生後最大の危機かもしれません。
視界の倍率を変えて赤眼様を遠目から観察しつつ戦々恐々としていたのですが、しばらくすると赤眼様は顔を森側に向け、何時ものパトロールに出かけました。
ふぅ、生きた心地がしませんでした。
最弱、ではないようですが、まさに羽虫の如き存在である私がボスに睨まれたら終っていると思います。
あの円らな瞳は魔眼ですしね、比喩表現だけではなく本当に終わるかと。
でもその魔眼という事を考えると目線が合ったのに恐慌状態に陥らなかったのは、今のところ私に対して敵意を持っていない、という事でしょうか?
恐らく魔眼は常時発動ではなく魔力を込めると発動とかそういうスキルだと思いますので、使うほどの動機はなかったのかな。
だとすれば状況は最悪ではなく良くないといった程度でしょう、そう思いたいです。
やはりあまり派手な行動を取らずに大人しくしておきましょう、出来るだけ。
だって生き残る為には戦わないといけないですからね、その為に派手な行動を取っているだけです。
ほ、本当ですよ?
べ、別に魔法だひゃっほー、飛針つえー、とか思ってないですよ、本当に本当です。
折角魔法の世界に来たのですからちょっとぐらいは、とか思ってないです、ええ。
さて、苦しい言い訳は置いておきまして、攻撃以外の撃退手段、もしくは防衛手段を確立しなければ。
外敵が蜂やハエだけであれば近寄って来てもウィンド辺りで押し返し続ければそのうち諦めてくれそうです。
ですが私を直接狙う敵だけではなく、桃(仮)を狙う敵が現れたらウィンドでは諦めてくれそうにないかと。
その敵とは鳥やリスといった動物たちです。
彼らは風が吹こうが気にしないでしょう、突風でもない限り。
ウィンドは基本的に微風程度ですし、現在の私だと扇風機の強風程度までの風量が出せるようになりましたが、鳥やリスなどの小動物を吹き飛ばす事は出来ません。
では鳥やリスを撃退する手段といえば大きな音で追い払う、というのが前世知識にありますが、それをすると赤眼様の興味をもっと引きますからね、却下です。
続いては眩しい光で、という手段もありますが、これも赤眼様の興味を引くでしょうし、虫を呼び寄せますからもっと却下です。
ぜ、前世の知識が役に立ちません。
役に立たないのではなく、役立つ知識を得ていなかったという残念な私です。
ですがヒントぐらいは前世にあるはずです。
私の身を守るイコール桃(仮)を守る、なのですから果実栽培農家さんを参考にしてみてはどうでしょう?
鳥害対策でネットで覆うみたいな事をドキュメンタリー番組で言っていた気がしますが、あれだけでは害虫対策にはなりませんね。
害虫対策といえば農薬や殺虫剤散布なのでしょうがどちらも用意できません。
あと、果実が袋で包まれている映像を見たことがありますね、なぜ包んでいるかの理由は知りませんが。
私が出せるヒントは以上です、お疲れ様でした。
もう、面倒ですから妖精糸で包んでしまいましょうか、と投げやり気味に思ったのですが、これ意外と良い手かもしれません。
うん、糸に嫌悪感満載のフェロモンを混ぜれば中々の防衛手段となりそうです、精神的にも。
思い立ったが吉日と申しますし、早速作業に取り掛かりましょうか。
さあ、私の裁縫技術が唸りを上げる時が来たようですよ、きゅぃー!
作業が完了したのは日も落ちて結構経ってからでした。
流石にスイカサイズの果実を全て包み込むとか簡単ではないですね。
お陰様で種族とニートのレベルが上がりましたよ。
も、もう、ゴールしてもいいですよね?