1-8
2話連続投稿の2話目です。
1-7-1-8です。
外装リフォームが完成した我が家の桃(仮)ですが、遠目から見たら変化がない立派な桃色球体です。
元々私の持つ色素が桃色、サクラ色だからか、それとも桃(仮)の果実を食べに食べた結果なのか、生成する糸の色が全く一緒だったからです、むしゃむしゃ。
一応色無しの生成りである薄い肌色か白色の糸も生成出来ますので3色糸です。
かと言いまして、白や生成りの球体とか目立つので、それでなくとも目立つこの我が家をこれ以上やらせる訳にはいかないのですよ!
さておき、魔力と嫌悪フェロモンを練り込んだ私特製の妖精糸、鑑定名で妖精のいたずら糸、は虫や鳥、動物などは手に取るのを躊躇するレベルのオーラを発する代物です。
この妖精のいたずら糸というのはフォークロアランク、要するに古い言い伝えの民間伝承的な貴重さで、すごく珍しい物のようです。
妖精がいたずら好き、というのは妖精種の種族スキルのフェロモン生成で相手の気分を操作するから、もあるようですね。
美味しそうな見た目と匂いの料理なのに何故か食べたくないという感覚に陥ったり、みたいな事をしたんでしょうね、迷惑な話です。
ここで少し気になったのですが、鑑定結果で出てくるランク、物の価値を表す項目なのですが、一体どれだけ存在するのでしょう?
一番下が価値無しでノット、次が粗悪品でプア、普通でノーマル、高品質でハイ、希少でレア、は想像できます。
それ以上の物だとおそらく今回の伝承でフォークロア、伝説でレジェンド、幻想でファンタジー、神話でミストロジーあたりでしょうか。
レジェンドとファンタジーのどちらが上かは分りませんが多分このような分類なのでしょうね。
でも、これだと9つですか。
何となく、あと1つぐらいありそうな気がしますね、魔法やスキルのレベルの最大が10ですから。
すぐには思いつかないので、ちょっと違う観点から見てみましょう。
おそらく人が作ったか、神様などの上位の存在が作ったのか、素材が高位の魔物なのか、その物を使って何かを成しえたか、とかそういう違いがあるのでしょうね。
そう考えると、ノット、プア、ノーマル、ハイは人が作った物なのでしょう。
レアは高位か希少な魔物を素材にした物なのでしょう。
フォークロアやレジェンドはそれを使って何か成しえたのでしょう。
ファンタジーやミストロジーあたりは高位存在が作った物なのでしょう。
物語で出てくる勇者が持つ聖剣や神剣などはファンタジーやミストロジーなのかな、多分。
そして日本で有名な刀剣である村雨などは、史実だとハイ、物語でフォークロアやレジェンドになるのでしょう。
この事から多分ですが、もう1つの分類は認知度が高い高品質な物、ファイマスかファインかマスタークラス、になるのかな、取りあえずマスタークラスとしておきますが。
有名、最高級、匠級、という意味の物で、物の数値的価値は高品質だけど、付加価値が加わって価値が上がった物、という扱いだろうと予想しました。
そうなると順番はノット、プア、ノーマル、ハイ、マスタークラス、レア、フォークロア、レジェンド、ファンタジー、ミストロジーとなるかと。
ただしマスタークラスとレア、レジェンドとファンタジーの価値は数値で見るか価格で見るかで変わってきそうです。
うん、これでこのファンタジア世界の謎が1つ解消されました!
などと語れるほど何も起きないのですよね、むしゃむしゃむしゃ。
リフォーム完了してから2日程経ちましたが、蜂はおろか小鳥、他の虫がここに近寄って来ませんでした。
フェロモンが効いたのかな?と思いましたが、遠目で見ても気が付かないとはいえ、ある程度近寄ればぶら下がった糸玉だと分ります。
怪しくて近寄りませんよね。
糸を使う生物の代表は蜘蛛でしょうが、桃色の糸を吐く蜘蛛なんて普通の虫であるはずがありません。
どう考えてもこの糸玉は魔物の蜘蛛が巣作りした結果だと判断するでしょう。
でも残念、妖精種幼体イモムシなサクラちゃんでした!
・・・増々ボッチ度が加速しちゃいました、しくしく。
ま、まあ外敵に襲われる心配が無くなった、という事なのですから気分を変えて生きて行きましょう。
ですのでこの2日ほどやっていた事でもご報告を、と思ったのですが、何時ものルーチンである観察と警戒しつつ食べる、訓練を繰り返していただけです。
やっている事は地味な行為、正にニートな行動だった訳ですが、だからなのでしょう種族と職業のレベルが上がりました。
魔法やスキルは上がりませんが、経験点はどんどん溜まってますからその内レベルアップするでしょう、微々たる増加量ですが。
何となく分ってきたのですが、種族や職業に関連しない魔法やスキルの経験点は獲得量が補正が入って少なくなるのでしょう、そして関連あれば増加。
うん、ニートが普通にニートしてて戦闘力アップなどと違和感半端ないですから、正解だと思います。
神様が下さった恩恵である加護や適性のお陰である程度レベルアップしやすい環境ですが、なかったらほとんどレベル1でしょうし、習得もしてなかった気がします。
そう考えると他の妖精種幼体たちはちゃんと成体になれるのでしょうか?
通常のイモムシよりも大きいとはいえ最弱存在なのは変わらずですし、ほとんど成体になれずに死んでる可能性が高いですね。
妖精という種族が家族や仲間の概念を持っているかは分りませんが、成体である大人たちの庇護下でないと難しいでしょうね。
・・・まだ妖精さんを見かけていないのですが、私。
も、もしかして私はRDG?
巫女に転職しないとまずいですか?
などと現実逃避を交えながら何時ものルーチン、もうニート活動と呼ぶ事にしますが、していた結果、レベルアップ以外にも変化がありました。
桃(仮)の果肉がどんどん少なくなっていく、です。
私がレベルアップすると体も成長していきますし、その分食欲や食事量が増加します。
実を育てる、種を成長させる為に果肉を増加する量と私の消費量のバランスが崩れ、どんどん実が細ってきました。
当然と言えば当然の結果なのですが、我が家崩壊の危機です。
その事実に気が付いた時は少し慌てましたが、すぐさま対処に取り掛かりました。
そう、外装リフォームだけではなく、内装リフォームも行ったのです!
あ、詳しくその時の様子を説明とかテレビじゃないのでしませんが、結果だけ言えば現状の大きさを維持した内装リフォームは完了しました。
やった事は球体の整形に必要な骨組みに妖精針を使っただけです。
針金で出来た球体オブジェみたいなのをイメージしていただければよろしいかと。
球体の中心はもちろん種ですが、種を囲うように妖精針を巡らせ、皮を支えるように網目の妖精針を骨組み、種と皮の位置関係を整えるように柱を妖精針で、という感じです。
うん、しないと言いながら説明しましたね、整形の様子。
さておき、フルリフォームした我が家で新たな虫生、じゃなかった妖精生を歩んでいる私ですが、やっぱりやる事はニート活動です。
どんどん食料である果肉を消費しつつも日々を過ごし、等々迎えたのでした。
本当の妖精になる事を。
その日は良く晴れた日差しも柔らかい麗らかな昼下がり。
ニート活動に精を出していた私の耳、風魔法越しに小鳥の囀りなんかが聞こえてくる、本当に平和な日でした。
平和な日々の到来。
外装リフォームしてからというもの外敵の襲来がぱったりと止み、敵に怯える事無く過ごしていた為そう思ってました。
ですがそれは間違いだったのです。
平和ボケ、という言葉がありますが、正にその状態だった私は危機を知らせる情報をスルーしていたのです。
何せ小鳥の囀りというものに平和だなぁ、としか思ってなかったのですから、イモムシなのに。
そして私のボケた思考をあざ笑うかのように突然我が家が揺れました。
じ、地震!?
と慌てて体を固定し始めましたが飛ばしている視界に映る光景は一切揺れておりません。
赤眼様ものんびりしてますし。
何が起きてるの?と桃(仮)の周りに視界を移すと二匹の小鳥がくっ付いており、嘴を突き立てているではありませんか!
きゅぃー!?
思わず叫んでしまいましたが、意味のないただの叫び声です。
人語だったら悲鳴のきゃー、です。
妖精のいたずら糸の効果で近寄って来なかった小鳥の来襲に驚いて悲鳴を上げましたが、でもそれだけです。
すぐに落ち着いて現状身の危険がない事に気が付いたのですが、再び危機的状況である事に気が付きました。
針の家は突破できないでしょうが、小鳥二羽分の重みで落ちちゃうのでは?
そう思った私は小鳥を排除する事にしました。
まず行ったのは風魔法、いな、もはや音魔法ノイズによるダイレクトアタックを二羽にそれぞれ仕掛けて気絶させました。
気絶した小鳥たちは自重を支えきれず落下していくのですが、途中で気が付いて地面衝突とはなりません。
攻撃されたと気が付いた小鳥たちはそのまま逃げてくれたらよかったのですが、どうやら敵対心を煽ってしまったようで桃(偽)に再び攻撃を仕掛けてきたのです。
あ、桃(仮)じゃなくて桃(偽)としてるのは、もはや果実じゃないでしょ、我が家は、という事で偽としておきました、悪しからず。
さておき、小鳥を鑑定してみたら状態が激高になっており、問題は種族がストライクバード(幼児期)という魔獣だと判明しました。
そう、魔獣です、魔獣。
赤眼様も魔獣なので初遭遇ではありませんが、今回が初めて魔獣と戦う事になったのです。
このストライクバードは成体でも鷹程の大きさしかありませんが、集団で獲物を襲い、上空から急降下して嘴で刺し、爪を突き立てる、という戦法を使ってきます。
風の精霊の影響を受けた魔獣なので素早く、肉食ゆえに人も襲う危険な魔物、らしいです。
魔法などの遠距離攻撃は無いそうですが、バードストライク、とでも言うのでしょうか、急降下襲撃されたら堪りませんよね、あの大きさだと。
そして乳児期は親元で雛してますから自分で狩りをせず、幼児期になると自ら狩りを行い、体が小さい時は主に虫を狙うそうです。
鑑定さんによればですが。
まあ、ともあれ追い払わないと今はひっついて嘴で突くだけですが、その内勢いよくストライクしてきそうですから相手が近くにいる間に仕留めましょう。
飛針だと私が外に顔を晒す必要がありますので、ここは風魔法のブロウで滅多打ちにしちゃいましょう。
きゅぃー!
音声を抑えてもなお直接耳に複数の炸裂音が鳴り響き、小鳥たちはボコボコになりながら落下していきました。
あ、赤眼様がキャッチしてそのまま租借されてます。
あの大きさだとおやつ感覚で食べてそうです。
赤眼様が二羽目を口に入れて嚥下した時、私の体が一気に熱くなりました。
どうやら大幅にレベルしたようです。
早速ステータスチェックしたかったのですが、それどころではありません。
体が熱く、そして痛い。
子供の時に味わった成長痛に似た感じの痛みが体中を駆け巡り、私は意識を手放したのです。
目は覚めましたが周りは真っ暗です。
どうやら数時間気を失っていたようで、もうすっかり夜になってしまった模様。
私の身に何が起きたのか正確に知りたかったので明りを灯す事にしました。
「きゅぃー」
私の頭上に光魔法のライトで作った光源が生まれ、辺りを照らすと我が家の中に居るようです。
やはり人は暗がりでは落ち着きませんね、明るくなると安心します。
安心したのですが、二つほど疑問が生まれ首を傾げると三つになりました。
まず一つ。
きゅぃーと何時ものイモムシ鳴きをしたのですが、ちょっと声質が変です。
可愛いですよ、自分で言うのもなんですが。
ですが、こう自然に出たきゅぃーではなく、何かの物真似をしたかのようなきゅぃーでした。
もう一つ。
光源を作る魔法ライトを使った時の使い易さが以前よりも断然使い易かったのです。
こうすんなりと発動した、と言えばよいのか、コンセントレーションや魔力操作を同時使用したかのようなスムーズさでした。
魔法レベルが上がったのでしょうか?
最後に。
首を傾げた感覚に違和感がありました。
慣れない動き、と言えばよいのか、それとも懐かしい動き、と言えばよいのか判断に困ります。
うーん、と悩みは尽きませんが、取りあえずステータスチェックでもしてしまいましょう。
私は顎に手を添えて、兎に角自己能力確認スキルを使ってみました。
あれ?
顎に手を添えて?
思わず呆然と自分の両手の平を目の前に持ってきて眺めて・・・
「て、て、て、手だあああ!?」
そう、私は妖精さんに変身していたのです。
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名前:サクラ=シンドウ(女/0歳)
種族:???(LV1)
状態:混乱
所属:幻惑の森
職業:???(LV1) メイド(LV15)/ニート(Master) *高校生(LV11)
HP:??/?? MP:???/??? SP:??/??
筋力:? 器用:? 敏捷:? 知力:A 魔力:? 感知:? 精神:C 幸運:G+
種族スキル:糸生成/フェロモン生成/針生成/???/???
クラススキル:集中力増加/省エネルギー/テリトリー/???
スキル:HP回復率上昇(LV2)/MP回復率上昇(LV3)/SP回復率上昇(LV1)/魔力吸収効率上昇/料理(LV4)/裁縫(LV4)/家事(LV5)/算術(LV4)
自己能力確認/鑑定(LV2)/魔力操作(LV4)/魔力付与/身体強化(LV4)/並列同期/探索(LV2)
光魔法(LV4):ライト/コンセントレーション/リモートビューイング/ヒーリング/トリートメント/???
風魔法(LV4):ウィンド/コントロール/サウンド/シューティングアシスト/ウィンドシールド/???
風魔法(創作):アクセラレータロアー/ブロウ/ノイズ
融合魔法(風光):リモートセンス
ギフト:異世界神の加護(小)/全言語解読/風属性適正/光属性適正
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お読みくださってありがとうございました。
イモムシ少女サクラよ、君の事は忘れない。




